エソと呼ばれる魚をご存知でしょうか?釣り人ならばある意味馴染み深い魚ですが、魚屋やスーパーで見かけることがほとんどないことから知名度の低い魚でもあります。一方、我々が良く知る「さつま揚げ」や「蒲鉾」等の練り物の原料として利用されており、なくてはならない魚なのです。この記事ではエソについてご紹介します。
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エソは種類が多い
エソはヒメ目エソ科に属する魚の総称。日本からは28種のエソ科が記録されており、主な種としてマエソ、アカエソ、オキエソなどが知られています。
エソ科の魚は浅海から深海にかけて幅広く見られる他、南日本をはじめ日本各地に分布し、地域によっては食用として利用されいます。
また、エソ科は同属間で形態が非常に似ていることから、分類が難しいグループでもあり、未だ和名のない種も存在。既知種であっても見分けるのは簡単ではありません。
意外とエソは美味しい魚?
エソ科の魚は砂地や岩礁域に生息し、特に浅海域で見られるマエソやアカエソは釣りにおいてよく見られることから釣り人からは歓迎されない魚のひとつです。
しかし、悪いイメージとは反対に身の色は透き通るような白色で、焼き上げるとエソならではの香りが楽しめます。また、鮮度の良いものは生で食べても非常に美味しく、骨を取り除いて作る刺身は絶品です。
他にも練り物の原料として重要な魚であり、底引き網や定置網で多く漁獲されるマエソ属の魚は重宝されています。
名前にエソと付く魚は多い
エソといえばアオメエソも重要な水産資源ですが、実はこちらはエソの名前ではなくアオメエソ科という異なるグループに属します。このように標準和名に「エソ」と付く魚はヒメ目をはじめ深海性の魚に多くいますが、ほとんどがエソ科ではありません。
エソ科の特徴としては顎が非常に大きく、その後端が眼をはるかに超えることや犬歯状の歯が発達することやが挙げられます。
エソを使った郷土料理
一部の地域ではエソを用いた郷土料理が存在します。
鹿児島の「つけあげ」
つけあげは関東で言う「さつま揚げ」のことで、鹿児島県の全域に伝わる郷土料理として現代に至るまで愛されています。つけあげの原料にはトビウオやアジ等、様々な魚が使用されますがエソも原料のひとつです。
また、2020年に日本初記録種として標準和名が付いたマエソ属のツケアゲエソは、この魚の体色がつけあげを彷彿とさせることに加え、つけあげの原料にもなることが由来になっています。
大分・佐伯市の郷土料理「ごまだし」
ごまだしはエソ、ごま、みりんを混ぜた郷土料理で、佐伯市で日常的に食べられているといいます。ごまだしの用途は炒飯やお茶漬けなど多岐にわたりますが、うどんに乗せて食べる「ごまだしうどん」が一般的です。
近年ではエソがあまり獲れないことからアジやカマスで作ることもあるとか。
エソは一般的ではないものの練り物の原料として重要であり、地域によっては郷土料理として愛されているのでした。釣りにおいてはリリースする方が多いと思いますが一度食べてみてはいかがでしょうか?
<サカナト編集部>