著者は小学生の頃から釣りを楽しんでいるのだが、その長い釣り人生の中で何度かトラブルに巻き込まれたことがある。さらに近年は、残念ながらマナーの良くない釣り人が増えたように感じている。今回は、著者が経験したトラブル・マナー違反エピソードを幾つか紹介させてもらいたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
キャストの方向問題
著者が学生の頃に遭遇した、非常に不快な出来事を紹介したい。もしかしたら読者の皆様の中にも、同じ経験をした方がおられるかもしれない。
親友と明石港へ
ある日著者は、チョイ投げでキスやハゼを狙うため、親友と共に明石港を訪れた。港内でチョイ投げをして楽しんでいると、隣に小学校高学年くらいの孫を連れた老人が、何も言わずドカドカと入ってきた。釣り場はほぼ貸し切り状態で広く空いていたにもかかわらず、その距離は2m程度。ほぼ真横だ。
キャストの方向に問題が
著者はその頃既にそれなりの釣り歴があり、当然目前に向かって真っすぐキャストしていた。だが隣の老人は、あろうことか堤防に向かって真横(平行)にキャストしてきたのだ。
当然オマツリする
このキャスト方向は著者の仕掛けに対して垂直方向にあたるので、(おかしな話だが)著者は慌てて仕掛けを回収しようと試みたのだが、当然のごとく仕掛けはオマツリしてグチャグチャになってしまった。すると隣の老人はいきなり、「どこ向かって投げとんじゃ!」と罵声を浴びせてきたのだ。
会話は成り立たず
いきなり隣に入ってきて、かつ真横に投げるような老人だ。当然、こちらの話には聞く耳を持たない。喚き散らかした挙句、「海にぶち込んでやろうか」等と暴言を繰り返してきたのだ。これは流石に口論しても無駄だと感じ、黙って別の場所へと移動することにした。ちなみにこの老人、去り際までずっと喚いていた上、新たにやってきた釣り人にも理不尽な暴言を吐いていた。今思い返しても腹立たしく、悲しくなる出来事だ。
離島遠征でも同じ出来事が
大学時代、父と共に神津島に遠征し、遠投マウスでソウダガツオを狙っていた時も、真横に入ってきた老人にほぼ同じことをされた。この時は、「ここはワシらの場所じゃ!お前のようなガキが来るところじゃないんじゃ!早く島から出ていけ!」と言われたことが記憶に残っている。
どうやら相手が子供(著者は童顔)だと見ると、このテの老人は強く出るようだ。後にお世話になった宿の若旦那から「あの人は定期的にトラブルを起こしている、出来るだけ離れた方がいい」と助言をもらったのだが、どこにでもこういう老人はいるらしい……。
外道のリリース問題
釣り場に放置された外道魚を見て、著者は少年時代よく涙を流していた。次に紹介するのは、そんなエピソードだ。
外道魚を放置
小学生の頃、漁港の堤防で父とメバル釣りを楽しんでいると、隣で釣っていたチヌ狙いの老人が、釣りあげたボラやフグを全て堤防の上に放置し始めた。これは「キャッチ&イート派、食べない魚は元気なうちに即リリース」の著者にとって衝撃の出来事だった。
リリースしない理由
幼い著者は「命をもらうなら責任をもって食べるべき」だと考えていたので、勇気を振り絞って「なぜリリースしないのですか」と老人に尋ねてみた、すると帰ってきた答えは、「また同じ魚が仕掛けに食ってくるから、死なせてから捨てる」というものだった。
最初は我慢するも……
自分が釣った魚ではないため、勝手に触るわけにもいかず耐えていたのだが、釣りをしていると後ろから「ビチビチッ」「ギュッギュッ」という音が止めどなく聞こえてくる。段々辛くなってきてしまい、ついには涙が止まらなくなってしまった。
泣きながらお願いする
とうとう我慢できず、泣きじゃくりながら「お願いですから逃がしてあげてください」と訴えに行くと、「ワシが悪かった、頼むから泣かんでくれ、次からちゃんと逃がすから!」と老人は約束してくれた。
この返答は大変嬉しかったのだが、先のボラやフグは瀕死の状態で沖へと流されていった。あの時の光景は、今でも忘れられない。
入釣場所の問題
著者は現在渓流釣りをメインに楽しんでいるのだが、コロナ過に陥ってから渓流釣り愛好家が激増し、マナー違反が目立つようになった。2023年の解禁日に遭遇した出来事を紹介したい。
入渓場所問題
著者は早朝の暗いうちから目的の河川を訪れ、上・下流とも1キロ以上車がいないことを確認してから夜明けを待って入渓した。渓流釣りでは、先行者がいれば最低500m、可能であれば1キロ程度開けて(できれば下流側に)入渓するのが暗黙のマナーだ。
なぜか先行者に遭遇
ところが、200m程度釣り上がったところで、何故か先行者に遭遇してしまった。自分が先行者の車を見落としていたかもしれないと思い、「すみません、追いついてしまったので脱渓しますね」と一声かけて、やや下流側から静かに脱渓した。この時、何故か不思議そうな顔をされたのが印象に残っている。
自分の車の前に
移動するために自分の車へと戻ってきて、著者は驚いた。なんと著者が停車している場所から100m程上流部に、車が停車していた。そう、マナー違反をしていたのは先ほど遭遇したアングラーだったのだ。渓流釣りのマナーを知らないからこその、先ほどの「不思議そうな顔」だったのだと合点がいった。
マナー違反だらけ
これにはさすがにガックリ項垂れつつ、「いっそのこと、大きく移動しよう」と乗車。少し上流の様子も見ておこうと車を走らせたところ、なんと約200mおきくらいの感覚で車が停車していた。
これではもはやマナーもクソもない無秩序状態だ。これでは当然釣りにならないので、仕方なく別の谷に移動。そこからは普通に釣りを楽しむことが出来たが、なんだか釈然としない気分だった。
マナーを守れてこそ一人前の釣り人
今回紹介したエピソードは、著者の釣り歴の中でも苦い経験としてハッキリ記憶に残っているのだが、同じような経験をして不快に感じた方もおられるのではないだろうか。これらのエピソードの他にも、釣り場にゴミを捨てたり、横入りしてきて大騒ぎしたりするなど、マナーのない釣り人の話は後を絶たない。その結果、多くの好釣り場が閉鎖され、どんどん釣り場が減っているのが現状だ。
そういった事が無いように、この記事を読んでくださったあなたが、率先してマナーを守れる素晴らしいアングラーであることを期待したい。そして、著者のような苦い経験をする方が少しでも減ってくれたらと切に願う。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>