久々に美味しいアジが食べたい、という家族のリクエストを受け、金アジ釣りに出かけてきました。当日は低気圧通過直後ということで、魚の喰いは渋り気味だったものの、船中30匹前後(トップ51匹)+多彩なゲストという悪くない釣果。当日の状況をレポートします。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)
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金谷沖の「金アジ」釣り
金アジについての定義というものは特に存在しないのですが、簡単に言うなら「回遊せず、比較的浅い根に居つく、体高があって金色に輝くアジ」を指すのだそうです。回遊しない、ということで、奴らは運動不足。「アジの中でも金アジは特に脂が乗っている」という理屈は、シンプルでわかりやすいです。
そんなアジの中でも、金谷沖(金谷~竹岡)の浅場で釣れる金アジは、金谷の頭文字「金」と相まって特に有名で、金谷港がある富津市内には、金アジを使ったアジフライを看板メニューとしているお店が点在しており、週末はこれを目当てに訪れる観光客で交通渋滞が起こる程。美味さは折り紙付きです。
そんな美味しい金アジを求め、金谷へ、金曜日に出かけてきました。
アジ釣りのタックル&仕掛け
今回お世話になった光進丸では40号のアンドンビシを使用するので、タックルはそれを背負える竿が基本。また、狙う水深も浅いことから、リールは手巻きが中心となっています。要するに、湾奥~横浜周辺で使用するLTアジ用と同様。勿論仕掛けも然りで、船宿仕掛けはハリス2号2本針。タックルもビシも、光進丸では無料でレンタルが可能とのことなので、初めてであればこれを利用してみると良いでしょう。因みに当日は、船中約3割の方がレンタルタックルを使用しており、本命の釣果は大多数の方が筆者より上でした(汗)
また準備するクーラーボックスは、日によっては35cmオーバーが中心になることもある他、クロダイや青物といった嬉しいゲストも混じるので、LTアジ釣りにしてはちょっと大きめの25~35Lがおすすめ。帰宅後のことは気にせず、バンバン釣りましょう!
朝一は青物混じりにアジゲット
5時集合で5時50分に出船。船はしばらく港内で停泊し、協定時間の6時になるとポイントに向けて走り出します。因みに金谷周辺(金谷~竹岡)のアジのポイントへは、他の港の船は入ることができない決まりがあることも特徴の一つ。ポイントに到着しても大きな船団はできないため、船長は縦横無尽に群れを追ってくれます。
船は20分程北に向けて走り、観音様が2時の方向に見えるポイントでスローダウン。指示棚は上から8~9m。船長「根掛かりするから棚は上からとってね」とアナウンス。仕掛けを落とし、ビシを9mで止め、コマセを出して仕掛けの長さ分巻きます。
底付近は根掛りも厄介なのですが、この日はフグも多く、指示棚よりも下げてしまうと微妙なアタリ&ハリス切れも多発。かといって、棚を上げすぎると、青物が喰ってしまってのハリス切れもポツポツ。実は出船前、数日前より青物が多くアジが散ってしまったとの情報を聞いていたため、この日は厳しい釣りを覚悟していました。
しかし、上手く敵?の襲撃をかわすことができれば、アジはポツポツ釣れ、常連さんは前半戦で30匹超え。そして下手な筆者はと言うと……前半戦だけで仕掛け4つロスト。本命ソコソコに、ゲストと遊ぶ時間長めでした。
フグに苦戦も好ゲスト登場
アジはポツポツ釣れていたものの、青物が多く、船中ハリス切れが多発していたことを嫌ってか、船長8時過ぎに移動を決断。水深20mのポイントへやってきました。ここでは、青物の襲撃こそなくなったものの、アジのアタリも少なめ。魚探の反応も薄いのか、船はちょい移動を繰り返します。
しかし、基本は20cm前後なのですが、この頃から船中35cmオーバーもポツポツ釣れだしました。しかし筆者は相変わらず狙う棚が下なのか、フグの仕業と思われるハリス切れ多々。しかし、これはこれで悪いことばかりでもなく、棚が低いからこその良いゲストもチラホラ。アジを釣りつつ、「攻め」の五目釣りを続行します。
ラストに超浅場でイナダ
終了時刻である12時を目前に、最後の1時間は金谷港目の前の、超浅場でやることになりました。浅いということで、釣れるアジは小さいかと言うとそうでもなく、周りでは30cmオーバーも混じっている様子。
ただし、この周辺は青物も回っているようで、一気に竿が曲がってハリスプチン、も目立ちだしました。船長も「イソメは小さくね」と、青物回避対策を再びアナウンス。しかし、新品の仕掛けがなくなり、アジもそこそこの数を確保した筆者は、捨てずにとっておいた中古の一本針仕掛けに長めのイソメをつけ、上の棚でじっと待つ作戦を選択。ドラグを再調整し、その時を待ちます。
しかし、何も起こらないまま時は過ぎ、終了の時間に。素直にあきらめて仕掛けを回収します。すると、リールのハンドルを2回転させた所で竿が突き刺さり、糸が10m位出ていきました。ゆっくりゆっくり、途中何度かクラッチを切って糸を出しながら丁寧に寄せ、無事ネットイン。43cmのイナダを確保し終了となりました。
最終釣果
筆者の釣果は、本命のアジは全て25cm以下と、サイズはイマイチながら数は26匹とまずまず。しかし、トップは40cm前後のメガアジ交じりで51匹とのことでした。
つい1週間前まではトップ100以上の釣果が続いていただけに船長は不満気でしたが、お土産としては十二分。ゲストには目もくれず、アジ専門で頑張ればもうちょっといけたかな、なんて思うも、勿論後悔はなし。第満足で終わることができました。
金アジは美味
金谷でアジといえばアジフライが有名ですが、やはり新鮮な金アジは、釣り人の特権レシピ・新鮮な刺身で堪能したい所。
帰宅後捌くと、予想通り、まな板と包丁が脂でベタベタになりました。また、イナダこそ脂のノリはイマイチでしたが、カンパチのソレはアジに準ずるもの。次回も気配があれば、積極的に青物を狙おうと思います。
青い身を持つアナハゼも釣れた
見た目が黒っぽくヌルヌルしていて、更に口の中がやや緑がかった青という、どう見ても美味しくなさそう、というよりも、そもそも毒々しくて食べることすらできなさそうな魚が釣れました。
その魚の名前はアナハゼ。2年ぶり2匹目です。
因みに名前は一応アナハゼですが、ウロコがなくヌメリが強いこの魚はハゼの仲間ではなく、カジカの仲間とのこと。勿論、食用として持ち帰りました。
アナハゼの刺身は青色
実はアナハゼ、今回釣った魚の中では本命よりも嬉しかった魚。仕掛けロスト多発した根本の原因は、この魚が早い段階で釣れてしまったことにあります。できればもう一匹釣りたいな、と。前回アナハゼが釣れた際(日立沖ムラソイ狙い)、同行者に「食べられる魚」であることを教えてもらい持ち帰ったのですが、刺身にせず、から揚げにしてしまい、ずっと後悔していました。というワケで、今回釣れた貴重な1匹、念願の刺身にして頂こうと思います。
アオダイ、イラブチャー、ドリー等々。外見が青い魚は数多く存在するけど、身が青い魚、というより色が青い食材なんて、そういえば殆どないですよね。青い食材でパッと思い浮かんだもの……ガリガリ君、ブルーベリー、チョコミント、ブルーチーズ。天然のものに絞ると、ブルーベリー、ブルーチーズ。……ブルーチーズの青カビは、厳密に言うと青じゃなくて深緑かな。
兎にも角にも、今回の釣行にて、天然の青い刺身はおろか、青い食材自体、珍しいものだと気づかされました。気になって執筆を一旦放り出し、近所のスーパーへ偵察に行ったのですが、見つけた青い食材は、輸入品コーナーにあったソフトキャンディーとチューブに入りのゼリーのみ。口に入れることができるもの、という所まで範囲を広げてみても、歯磨き粉が辛うじて1種類見つかったのみ。
よくよく考えてみれば、実は筆者の勤めている会社は菓子メーカーなのですが、工場で働く従業員は全て青いゴム手袋の着用が義務づけられていて、その理由はというと、「青ならもし製品に破片が入ったとしても、すぐ見つかるように」。青とは、食品にとってそういう位置づけの色なのです。
刺身は……予想通り奇麗な青!
そして肝心の食味はというと、家族が食べることを固く拒んだため、筆者が1人で検食。結果は……甘み、旨味が劣るシロギス、が率直な感想。とはいえ、しっかりとした食感があり、悪くはないです。
因みに唐揚げは、上品な白身魚のシロギスに負けず劣らず。ただ、火を通すとで、悲しいことに奇麗な青い色も消えてしまうようです。そういえば「悲しい」とは 、英語でI feel blue だっけ? ……失礼しました。
この海域で釣りをする際は、今後も積極的に「根に潜む青物」も狙っていこうと思います。
<尾崎大祐/TSURINEWSライター>