おなじみの根魚・メバルはほとんど通年釣ることができるターゲットだ。晩秋(11月)~梅雨(6月)までとシーズンが長い。しかしこのかわいいメバルくん、夏になると沿岸からは姿を消してしまう。では夏季は一体どうしているというのか?夏のメバルの姿に迫る。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
メバルのシーズンオフ・夏
夏はメバルのシーズンオフで、ほとんど釣ることができない時期になる。一部、磯や岩礁帯で姿を見せることもあるが、多くは朝夕マヅメの回遊個体で、クロメバルという体が緑や青がかったものだ。春に産まれた新子にもお目にかかったりする。
メバルが抜ける水温は20℃
メバルは比較的海水温にはおおらかな魚である。適水温が14℃で、秋から初冬のメバルはこれくらいから反応し、マイナスはともかくプラスは3℃くらいまで気にしないでアタリが続くが、高い水温は嫌う。20℃を超えると、あまり回遊せずに沿岸に残る個体以外は、ほとんど沖に抜けてしまう。
「梅雨メバル」といわれる、6月~7月初旬まで釣れる群れもいるが、彼らの動きは海水温と共に雨量とも絡む。海水温がなるべく20℃以下で安定している状態で、小雨くらいの海ならばメバルは連発することがある。
夏のメバルはどこへ?
では、夏のメバルはどこに行くのか?上でも述べたが、沖に潜る群れが多い。なぜ沖に移動するかといえば、沖の深い海の方が、水が冷たいからだ。メバルの適水温14℃に近くなるからだろう。しかし、そうは言っても活性は全体に落ちるのか、あまり沖の深場に潜ったメバルを狙うような話を聞くことはない(あえて狙う魚でもないからかも?)。
沿岸にほとんど完全に居着いている群れでも、まったく釣れなくなる。カサゴの活性が高くなり、カサゴが先に食うこともあるだろうが、明らかに抜ける瞬間がくる。おそらくこの種の居着きは、堤防際のマイナス方向にあるスリットにでも潜るのだろう。あるいは、キャスティングでは届かない、ちょい沖の地形変化に身を隠すのかもしれない。
新子がデイ・ナイトに反応する場合も
夏。メバルが沿岸でまったく釣れなくなるかといえば、そんなこともない。
潮通しが良いポイントではわずかながら回遊もあるだろう。そもそも個体数が多いところでは時期関係なく、バンバン出るかもしれない。ニクいのは、春に産まれた新子である。体長まだ5cmにも満たないような仔メバルが、果敢にもアタックしてくることがある。
ちなみに上の画像のメバルは、昨年、泉南の夏、穴釣りで掛かった魚である。また、ちょっと珍しい夜のクロメバルを見ることもある。下の画像は、確か初夏のアジングのゲストで突然来た良型メバルだ。ずっとシロメバルだと思っていたが、どうにもクロっぽい。こういうアクシデントもある。
デイカサゴを狙った底のダーティングでヒットしたり、マイクロメタルに食いついてきたりと、夏でもメバルは出る。だが、あえて狙い物にすることもないわけだ。
カサゴゲームの時期
根魚で言うと、夏は圧倒的にカサゴの時期となる。場所によってはハタ類やアコウが反応する時期で、マヅメには数釣りが狙えるとも聞く。カサゴは引き味が単調な魚ではあるが、あるゾーンに突入すると毎投バカスカ釣れたりと、これはこれでたいへん面白い。メバルに飽いていた初冬~春の半年の釣りの感覚を、いい意味で狂わせてくれる。
夏のカサゴはパターンを作りやすいし、プラグでも狙いやすい。メバルで培った経験を、メバルの表層から、カサゴのボトム周りへと移して、カサゴゲームを楽しんではいかがだろうか。いずれまたメバルは現れるので、それまで彼らを沖や堤防の中で休ませてあげよう。
<井上海生/TSURINEWSライター>