今月のテーマは「両ダンゴのチョウチン釣り」。茨城県古河市にある三和新池での実釣を交えながら、この釣りのキーポイントを考えていこう。〝秋はタナを釣れ〟とはよく言ったものだが、これはチョウチン釣りにこそふさわしい格言。竿の長さでタナを決め、良型かつ食い気のある魚を探し、チョウチンらしく豪快なアタリを楽しむ。両ダンゴシーズンも終盤に突入。今一度、この釣りに向き合ってみよう。第3回は魚を寄せるとは、どういうことかについて。
チョウチン釣り
魚の活性は十分ある。釣り座、竿の長さも決まった。であれば次に考えるのはセッティングとエサということになる。チョウチン両ダンゴにおける理想的なウキの動き、これを出すにはどうすればいいのか?
「よく解説などでそのような話が出ます。これが理想的な動きだと。ですがいくらウキの動きがよくても、釣れてこなければ意味がありませんし、チョウチン釣りをしているならできれば型もそろえたい。
そういう観点から言うなら究極は『狙っているタナに食い気のある良型を必要な量だけ寄せて食わせる』でしょうね。
これが実現できれば、自ずとウキの動きは理想に近づくはずですし、そもそも釣りが簡単になっているはずなんです」
竿替えの決断力も
たとえば13尺竿で始めたとして、まずは13尺タナ付近に魚を寄せる。これが最初の目的ですね?
「はい。ただしエサを打つだけでそのタナに寄ってくるほど、この釣りは甘くありません。上ずり下ずりなど、さまざまな想定外が起こる。それをコントロールしてはじめて釣りのスタートラインに立ったと言えるでしょうね。」
魚を寄せることは単に釣りのスタートラインに立っただけだと?
「はい。そこからどう釣るかが重要なことですからね。ですがまず今は寄せることが肝心です。ところが釣り人の創意工夫に反して、魚は別の所に寄ってしまうことも多々あります。であれば寄るのを待つばかりでなく、釣り人のほうから近づいていくことも必要なんですよね」
それが竿替え?
「そういうことです。今や釣りの情報は余りあるほどです。セッティングやエサにしても、それなりの適正な数値やブレンドで始めているでしょう。にもかかわらず魚がタナに寄ってこないと言うことは、そもそも13尺という竿の長さにムリがあると考えるべきです」
つまり魚のタナはもっと上だと?
「いえ、そうとは限りません。もしかしたら食い気のある魚は、もっと深いのかもしれない」
でもタナに寄ってこないと感じたのなら、何かしらサインが出ていたはずですよね?
「それがイコール上ずりと考えるのは早計でしょう。仮に上ずりだとしても食い気があるなら、ジャストなタナとまではいかなくとも、上から追いかけて食ってくるはずです。
でもそれがない。だとすれば、上にいる魚はウキを動かしているだけで、さほど食い気があるとは言えない魚かもしれませんから」
なるほど。つまりウキを動かすのと食い気があるとは別の次元の話だということですね?
「はい。できるだけ食い気のある魚を寄せる。これが仮に成立したならば、魚がエサを追いかけて食ってもおかしくないはずです。なのにそれがないというなら、食い気のある魚は、もっと別のタナ(もしかしたらポイントの違いも)にいるかもしれないわけです」
ですがウキが動いていると、このまま続けていれば釣れてくるのでは、とも考えてしまいます。
「そこなんですよね難しいのは。天候や時間帯によって魚のタナは変化しますから、そのまま粘って正解ということもあります。また竿を替えたからと言って、そのタナに魚が寄ってくる保証はどこにもありません。ですから竿替えには相当な決断力が必要だということですね。ですが同じダメならやってみたほうが後悔は少ないとは思いませんか」
次回も「両ダンゴのチョウチン釣り」です。
<週刊へらニュース 戸張誠/TSURINEWS編>
三和新池