伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「早春のチョウチンセット」。今回は3月終盤の注意点について解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)
まずは真冬仕様で
3月もそろそろ終盤を迎えます。魚の活性も徐じょに上がっていますが、この時期のチョウチンセットはどのような戦略で狙えばいいでしょうか?
「啓蟄(けいちつ)が過ぎたとは言え、水中はまだまだ冬と同じでしょう。ゆえにタックルもエサも、真冬仕様セッティングのまま始めるのがセオリーでしょう。そこから活性を見極めつつ、可能なら”やや強い”釣りにチェンジすればいいんじゃないかな」
“強い”とはどういう意味でしょうか?
「仮に竿は8尺だと仮定しよう。真冬を想定するなら、ウキはチャカに毛が生えた程度の浮力のものを使うだろうし、トップもグラスムクが主流なはずだよね」
はい。そのウキを替えるのですか?
「浮力はそのままでいいから、トップをPCまたは細パイプにして、バラケをそれまでよりも支えやすくする」
いきなりウキ(オモリ負荷)を大きくはしないのですね?
「それだと季節が、冬から一気に晩春に飛んだことになるよ。浮力を高める必要があるほど活性が上がればいいけど、おそらく3月終盤ではそこまでの釣況ではないだろうからね」
ハリスは?
「スタート時は真冬仕様セッテイングのままでいいよ。たとえばいつも70cmで始めていたなら、そのままの長さでやってみる。ハリスの長さは釣況に反映しやすいから、長すぎればすぐに気づくはずだからね。逆に短すぎて触りが出ないことのほうが情報不足になって、次の一手に結びつけるのが難しい」
なるほど。まずは”弱い”セッティングでウキを動かし、そこから必要であればハリスなりウキなりをチェンジすればいいのですね。
「春はとくにね。だから決め打ちはよくない。朝は寒くても日中になれば気温が上がり、水温も上昇する。ゆえに朝のうちは低活性でも10時をすぎたら激変するなんてことは少なくない」
「春だから」はNG
バラケのタッチはどうでしょうか?
「ブレンドとかタッチは真冬仕様のままでOKでしょう、スタート時はね。そこから必要であれば、より圧を強めにして抜く度合いを調整すればいい」
活性が高まったからといって、バラケを抱えたままの釣りではないと?
「この時期はね。盛期なら沈没バラケもありだけど、今それをやってもほぼウキは動かない。むしろ真冬仕様のままのバラケと食わせで始めれば、セッティング同様にウキからのサインを得られやすいはずだからね」
決め打ちはよくないと言うなら、竿の長さも同様ですね。
「もちろん、春は短竿でいいなどと決めつけてしまうと痛い目に遭うかもしれないよ。とくに水深がたっぷりあるような釣り場ではね」
風対策も重要
その他に、春の注意点などはありますか?
「風対策だろうね。いきなり暴風になったりもするから、風予報のチェックは必須だろうね」
その場合は風裏に入釣しろということですか?
「それもそうだけど、いちばんは流れだよ。チョウチンであれば、多少風が強くても振り込みはできる。でも流れが悪い方向だと、誘いをかけづらくなる。無風・微風が理想だけど、そうでないならせめて左右からの流れか後方からの流れだろうね」
つまり手前方向への流れがダメなんですね。
「手前方向にウキが流されるのが、もっとも誘いをかけづらくなるから、その釣り場の流れが風向き次第でどう発生するのか。それを風向き予報と照らし合わせて、入釣ポイントを決めるといいよ」
次回は「春は底釣りが面白い」です。
<週刊へらニュース伊藤さとし/TSURINEWS編>
加須吉沼
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