伊藤さとしのプライムフィッシング【早春のチョウチンセット:第1回】

伊藤さとしのプライムフィッシング【早春のチョウチンセット:第1回】

伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「早春のチョウチンセット」。目まぐるしく乱高下する気温・天候が特徴の早春は、竿の長さでタナをかえられるチョウチンがうってつけだ。

(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)

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淡水の釣り ヘラブナ釣り

加須吉沼で実釣

テーマ初回は埼玉県加須市にある週刊へらニュース協定・加須吉沼での実釣編をお届け。2月22日(月)、もみじ桟橋中央付近の北桟橋向きに入釣、まずは竿17尺の段底で開始。

伊藤さとしのプライムフィッシング【早春のチョウチンセット:第1回】加須吉沼概況(作図:週刊へらニュース 伊藤さとし)

「ここ最近は底釣り全般が不調」と同池オーナーの及川氏から聞いていたが、とりあえずチャレンジしてみることにした伊藤。ところが2時間打って、触りはほとんどなし。ウキが動かなくては解説できないので、竿10.5尺のチョウチンウドンセットに釣り方も今回の”テーマ”も変更することにした。

もっともウキが動くのがチョウチンとの情報だったので、すぐに釣れだすかと思ったが、そうはたやすくないようだ。下ハリスを伸ばしたり下バリの号数を落とすなど、あらゆる選択肢を試すも好転しない。アタらないところをみると、タナが違うのだろうか。

伊藤 さとし

「セッティングを極限まで食い渋り対応にしたけど、タナが違うのかもしれないね。12尺竿でやってみるよ」

 

1.5尺の変更ですぐアタリ

釣り方は同じで、竿だけを変更。食わせはもっとも軽く仕上がる『感嘆』。下ハリスは70cm、下バリはタクマ1号。タックルとエサは下図。

伊藤さとしのプライムフィッシング【早春のチョウチンセット:第1回】タックル図(作図:週刊へらニュース 伊藤さとし)

わずか1.5尺の竿変更で何が変わるのかと感じていたが、伊藤の読みはズバリ的中。再開1投目から触って、バラケが抜けた直後のツンで初ヒット。しかも魚がデカい。

伊藤 さとし

「この魚じゃあ、なかなか食ってこないのも理解できるね。時間はかかったけど、これでどうにか取材はできそうだね」

 

タナの見極めが難しい3月

伊藤のウキはグラスムクトップで、エサ落ち目盛は食わせを付けた状態で1節半出し。いわゆる抜きセットだが、何も水面直下からバラケを抜いてはいない。沈没してもいいから一度はトップをナジませて、そこから数回の誘いをかけてトップを水面上に出す。触りがあればそのまま待ち、触りがなければタテ誘い。アタればヨシだし、動かなければ数回の誘いをメドに打ち返す。

これだとさらに深いタナなら、もっとアタリは増えませんか?

伊藤 さとし

「何とも言えないけど、今のままで不足はないから変えるつもりはないかな。春だからウキをもっと動かせるのではと思うだろうけど、大方失敗するケースが多いよね。それに、もしタナを深くしてアタるなら段底でもアタっただろうし。それがないのだから、より深いタナはリスキーに感じる。むしろ日当たりがよくて暖かいから、短竿のほうが面白くなるかもしれないよ」

 

“春は浅場を釣れ”って話ですか?

伊藤 さとし

「それはおもに底釣りでしょう、それも極端な浅場ね。でもそれには時期尚早だよ。3月は上旬と下旬で釣り方がまるで違ってくるから、一年で最も難しい時期なんだ。つまりタナの見きわめも難しい」

 

試行錯誤で20枚ゲット

話を実釣に戻そう。アタリが出始めてからの12尺ダナでウキはほぼ動きっきりだが、なぜかヒット率があまりよくない。

伊藤さとしのプライムフィッシング【早春のチョウチンセット:第1回】使用したバラケ(提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)

そこで伊藤は、ここからは逆の対応をとった。下ハリスを短くして、下バリもタクマ1号から同2号にチェンジ。必要なら『感嘆』だけではなく『力玉大粒』も使用して、どれがもっとも効率のいい組み合わせかを探っていく。

正午までに20枚をカウント。この時期にこれだけ釣れれば、魚の大きさを考慮するなら悪くはない数字だ。

底釣りは不調

そこで午後からは取材を度外視して、あえて不調の底釣りに再チャレンジする。しかもバランスの底釣り。竿は18尺、上エサは『ダンゴの底釣り芯華(3月上旬新発売予定)』で、食わせは『わたグル』単品のグルテンセット。

伊藤 さとし

「午後になればもっと動くかと思って底釣りに戻してみたけれど、やはりダメかぁ」

 

そもそも底釣りに不可欠な、ウキの戻しがない。この状態ならば、底付近に魚がいるのかいないのか、いても魚影が薄いのかさえも判断がつかない。

伊藤 さとし

「上バリに付いているのは、集魚効果が高くて底でしっかり持つ新エサなんだ。にもかかわらずウキは動かないんだから、きょうに限っては底釣りはないのかもね……」

 

14時に納竿。底釣りではオデコだったので、釣果はチョウチンセットでの良型旧ベラ計20枚だった。

次回も「早春のチョウチンセット」です。

<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
加須吉沼
TEL:0480(61)0899
この記事は『週刊へらニュース』2021年3月5日号に掲載された記事を再編集したものになります。