名手・山本太郎氏が実釣を通して解説していく『チヌ釣り伝道師!山本太郎の好釣果へのターニングポイント』。今回は、2020年の総括と年始の狙いめや攻め方を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 山本太郎)
コロナ禍で乗っ込みを逃した2020年
2020年は、チヌ釣り歴40数年にして、これまでにない苦く苦しい経験を味わった。皆さんも知る通り、全世界を恐怖に陥れているコロナウイルスはいまだ出口が見えない未曽有の事態だ。
チヌ釣りをなりわいとしている私にとって、最初に困惑させられたのは今季の早春。例年1月から4月にかけての春、釣具業界の一大イベントであるフィッシングショーが各地で開催されるが、横浜、大阪と辛くも開催されたものの、それ以降のイベント、講習会等は軒並み中止に追いやられた。
そして、関わりを持つ各メーカーからは、およそ2カ月間近くに及ぶ釣行の自粛要請が掛かり、カカリ釣りにとっては開幕ともいえる「春の乗っ込み期」は、全く釣りに行けない状況となってしまった。もちろん、このときはわれわれだけではなく、一般の釣り人たちも各々自粛した人も多く、各地のエサ店、渡船店も悲鳴を上げたと聞く。
低調気味の今シーズン
毎年「春の乗っ込み期の釣れ具合でそのシーズンを占う!」といっても過言ではないので、正直言って今シーズンのチヌの豊・不漁はぼんやりとしてつかめていない。
一時期チヌがよく動いていたタイミングもあったが、今シーズンは下の上という感想が否めない。もしかしたらチヌが次々と乗っ込んでくるタイミングに釣り人のまくエサも、それ以降の状況に影響があるのかも知れない。
2020年、師走に突入した12月初旬、今季絶不調だった鳥羽方面で中・小型が数釣れだしたものの、それまで好調とはいえないながらも釣れ続いていた五ケ所湾や旧南島町(南伊勢町)、尾鷲湾などの釣り場はバッタリとチヌの食いが止まった。どこのエリア、どこの渡船店からも口をそろえて「今シーズンは例年より3度近く水温が高く、まだ秋の海なのだが……」とグチが出ている。
釣りブーム到来も慎重に
自粛明け(!?)となった6月以降、屋外なら心配は少ないだろうと、今度は釣りをはじめとするアウトドアの遊びが見直され、釣りはこれまでにない空前のブームとか。確かに平日でも渡船店やエサ店の駐車場は多くの車が止まっていた。
空前の釣りブームは大変うれしいことだが、野外だから大丈夫と、安心し切るのは少々危険を感じる。くれぐれもご注意を!
さて、ここまでは下の上(三重県下)であった状況も、年末年始を迎える今後が大変気になるところ。豊漁を願うのは当然だが、良く釣れて多くの釣り人たちがドッと釣り場に押し寄せるのも少々考えもの。難しいところだが、そこはうまく乗り越えてスマートにチヌ釣りを楽しんでいただきたい。