漁業の大敵として駆除が進められているカワウ。なかなか進捗がよくない中、意外な新兵器が登場しました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
漁業を崩壊させる黒い悪魔「カワウ」
近年、温暖化や沿岸環境の悪化など、様々な負の要因がわが国の漁業を苦しめていますが、とある生き物の増加もその要因の一つとなっています。その生き物とはカワウ。
カワウはいわゆる「鵜」の一種で、黒いペリカンのような見た目をしています。このカワウが近年非常に増えていて、漁業に大きな悪影響を与えているのです。
カワウ(提供:PhotoAC)カワウはその名前とは関係なく、海にも川にも生息しており、どこでも潜水して魚を暴食します。そのため養殖生け簀や養殖池の幼魚が盛んに狙われ、大きな漁業被害が出ています。また近年、土地の保水力が下がったり、用水の取りすぎなどが原因で河川の水位が低下しており、アユやウナギなど商業価値の高い魚がカワウに食べられやすくなってしまうという現象も起こっています。
駆除作戦も効果は頭打ち
カワウはかつて河川環境の悪化、農薬や化学物質の影響で大きく数を減らし、絶滅が危惧される事態に至りました。そのため保全活動が行われたのですが、その後さらに進んだ環境変化が彼らの生存に適した環境を生み、結果として生息数が爆増してしまいました。
それによる漁業被害の増加を受け、2006年には環境省が主体となって一大駆除作戦を展開することに。20年で生息数を半減させることを目標としてスタートし、一定数の減少は見られたものの、被害が収まっているとはいいがたい状況です。
魚を捕食するカワウ(提供:PhotoAC)カワウの駆除が難しいのは、集団で大きく生息地を移動する習性があるため、駆除が盛んではない地域や場所に逃げ込まれてしまうためです。またカワウは肉や羽毛の価値がほとんどなく、捕獲後もゴミとして埋設や焼却が必要となり、大量に捕獲してもその後が面倒であるというのも狩猟者が猟に及び腰となっている理由といわれています。
新兵器は「ドライアイス」
そんな厄介なカワウの駆除ですが、先日とある「意外な新兵器」が導入されるというニュースが話題になりました。その兵器とはドライアイス。
キンキンのドライアイス(提供:PhotoAC)カワウの卵はその一部だけでも凍ってしまえば孵化はしません。親鳥が巣を空けている間にドライアイスを置いて凍らせ、卵を孵化できない状態にしておくと、巣に戻った親鳥はその孵化しない卵を温め続け、繁殖の機会を失います。これにより、増加を抑えることができるのだそうです。
この方法は都市部のカワウコロニーなど、鳥獣保護区になっていて一般的な駆除ができない地域で効果をあげられるのではないかと期待されています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

