陸っぱりのルアーフィッシングを始める時、大体の人は汎用性が高い「万能ロッド」を探す。今回はライトゲーム大好きな筆者なりの万能ロッドを考察してみた。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・井上海生)
8~9ftのロッドは扱いにくい?
私はもともとブラックバス釣りをしていて、5年くらい前に海釣りに転向した経緯がある。そのとき始めたシーバス釣りのロッドが9ftもあるのには、いささか驚いた。バス釣りで使うのは6ft前後だ。そして海でシーバスをやるほど、9ftという長さが(個人的には)邪魔にしかならないものだと感じてバスロッドに戻した。
どうやら9ftというシーバスロッドの長さは、あくまでリバーシーバスを狙うためのもので、「大遠投してあの流れの中にこのシンペンを通したい」というような考えによるレングス設定のようだ。海の万能ルアーロッドとして9ftのシーバスロッドが勧められていることがあるが、その点は疑問に感じる。特に入門者にとって、この長いロッドの取り回しは大変だ。
少なくとも足場の良い波止のルアー釣りで、本気でシーバスをやるにしても、合間にエギングをやるにしても、8~9ftの竿を使うと、「もっさり」として扱いにくい感じがする……。そこで、ショアの足場の良い波止のルアー釣りのロッドレングスを、再考したい。
おすすめは7ft前後のロッド
個人的におすすめしたいのは、7ft前後のバスロッド。調子はMかML調子だ。このレングスならば100gを切る製品も多いので、1日投げても疲れないし、とにかく取り回しがいい。9ftから持ち替えてみると、爽快感すらある。
私自身が使っているのは、7.1ftのMLバスロッド。たいていの釣りはこの長さのロッドで対応できる。というより、これ以外の長さと強さを要する釣りはせず、代わりに釣りの密度を上げている。合わせるリールは2500番、PEラインの0.5号。重くても14gまでしか投げないので、このタックルで十分対応できる。
ターゲットと条件
上記のバスタックルでできる海のルアー釣りは、タチウオワインド、15g前後のウルトラライトショアジギング、2.5号までの秋エギング、チニング、キワ・橋脚打ちのシーバス、ボートシーバス、グルーパー(ボトムライトワインド、ワームずる引き)……など。ターゲットとなる魚はほとんど余裕をもって取り込める。
ただし、「足場の高さは3~4mまで」という条件付きだ。それ以上足場が高くなると、風の有無にかかわらず、ラインメンディング(キャスト後のラインをできるだけ真っ直ぐになるように管理する事)が難しくなる。
足場の良い波止が7ftロッドの活躍の場だ。大型魚を掛ければタモが必要となるのは、ロングロッドを使っても同じなので、そこは短竿のハンデと考えるべきではないだろう。
チニングロッドが最適解か
海のショアゲームでの万能ロッドといえば、シーバスロッドかエギングロッドを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。しかし、それはある程度以上、釣りを知った人向けのものだと思う。エサでやるにしてもルアーでやるにしても、魚の釣り方をある程度分かった人なら、このレングスもうまく扱えるだろう。
これから釣りを始めようという方におすすめの万能ロッドは、ズバリ「チニングロッド」の時代かもしれない。ティップが入りやすく、長さも7ftちょいと適切だ。上に挙げたようなターゲットは、ほとんどチニングロッドでカバーできる。
万能ロッドは存在しない
これから釣りを始めたいという人に、「なんでもできる竿を1本教えて」と言われると、少し困る。でも、よくされる質問の一つでもある。そもそも、私は「万能ロッド」は存在しないと思う。というのも、ある程度のテクニックと経験値があってこそ、そのロッドを万能のように使える、と考えているからだ。
バスに習熟している人はバスロッドで海釣りでもなんでもできるし、私のように年中アジングをしている人間は、アジングタックルでほとんどの魚は獲れる(サワラやタチウオなどの歯魚は除く)。
2本あれば釣りの幅が広がる
しかし、あえて「万能ロッドを教えて」との問いに答えるならば、「2本は必要です」と言いたい。波止ならば、前述のように7ftのチニングロッド、バスロッドのMかML。ただし、ガイドの海水対応は要確認だ。
そして忘れてはいけないのは、ライトゲーム用の竿は必ず別に1本必要ということ。合わせるリールのサイズは、ライトゲーム竿用に1000番、万能ロッド用に2500番をそれぞれ目安にしてもらいたい。
というのも、万能ロッドと言われるものでも、ライトゲームへの対応力は非常に低い。メバルはともかく、アジングに至ってはほぼ不可能だ。
逆に言うと、ミニマムな装備でいくならば、上記の2タックルだけでほとんどのソルトルアーフィッシングに対応できると思う。
<井上海生/TSURINEWS・WEBライター>