最上川は、山形の「母なる川」と呼ばれ、芭蕉の句にも詠われた東北の大河だ。今回はアユの好釣り場として紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース特別版 APC・藤崎信也)
最上川の概況
山形と福島県境の西吾妻山に源を発し、山形県内を北流、西流し、酒田市内で日本海へと流入。流程は229km、県面積の75%を流域面積に持つ。
山形県の河川は、県南の一部を除き、そのほとんどが源流から河口までを越県しないで流下。そのため、他県の影響を受けることなく内水面事業を行うことができる。秋に下流域で採捕した親アユから採卵し、育成した1代限りの養殖種苗を県内の漁協に分配。この天然に近い種苗は、放流後も元気で、地域の固有性を色濃く残している。
最上川には、この放流量をはるかに上回る天然遡上があり、最上川水系には400以上の支流があり、その多くにアユが生息している。
最上小国川
山形と宮城県境の山中に源を発し、最上町、舟形町を流下して最上川に合流する。流域には、赤倉温泉、瀬見温泉があり、初夏には蛍が飛びサクラマスが遡上、秋にはサケが上がってくる。同河川の清流で育ったアユは「松原鮎」と呼ばれ”味、香、形”の三拍子揃ったアユとして珍重され、東北一の名川として人気。
釣り場は、最上町赤倉温泉付近から舟形町富田の最上川合流点までの約35km。なかでも、多くの大会が開催される舟形町の一の関大橋周辺河川敷が整備され、公衆トイレがありテントも張れる。近くには、若あゆ温泉があり、遠征には最適。
初期は白川出合いから瀬見温泉にかけての最上町内が狙いめ。白川出合い上流は、おらだの川公園から少し下ったポイント。浅い流れが中心だが、流れが絞られた場所には良型が着いている。
砂利工場前から新淵までの鵜杉は、大石が点在する早瀬が1kmほど続く好釣り場で数・型ともに有望。
瀬見温泉に入るなら義経大橋から瀬見橋がお勧め。静淵から深瀬、早瀬と流れが変わり、その下流には短いが急瀬があり良型が付いている。
盛期は、松原、長尾、長沢辺りの魚影が濃く、瀬見温泉から松原橋にかけては、駐車スペースが少なく崖を下りて入川しなければならないので、竿抜けの大釣りが期待できる。
早瀬と平瀬が交互する流れで超一級ポイント。
長尾橋上流は玉石底の平瀬、下流は岩盤底の早瀬になっており、橋の脇から川に下りられる。魚影が濃く、釣果が安定。
長沢エン堤から砂利屋裏までは、平瀬、チャラ瀬、早瀬、深瀬と変化に富んだ流れが続き、釣り人は多いが、魚も多い。静かにじっくり釣れば釣果が伸びる。
下流域では、長者原橋下流と、富永橋下流に良い瀬があり、川幅が広く気持ちよく釣りができる。天然遡上の魚が多いのでので盛期〜終期がいい。また、小国川より10km上流の山をひとつ越えた場所に尾花沢市を流れる丹生川がある。下流には鮭川があり、その支流の真室川がある。小国川で濁りがでたときはこれらの支流へ移動するといいだろう。