暑い日差しに夏の到来を感じるまもなく、列島を冷やす梅雨の雨。「冷え」に悩まされやすい梅雨の時期ですが、美味しい魚を食べて予防することができるかも知れません。
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今年も梅雨入りが近づいてきた
おそらく史上最も「らしくなかった」GWが終了したと思ったら、早々に真夏日が発生。エアコンの力を借りたところ、早速夏風邪にかかってしまいました。気温の急激な変化というのは本当に我々を苦しめます。
このまま順調に季節が進むと、6月にはいよいよ梅雨に入ります。いまのこの暑さが嘘であるかのように気温がぐんと下がり、日によっては20℃に到達しないようなときも。湿度だけは多いために汗をかき、ついついエアコンを効かせてしまって気がつくと手足の先がキンキンに・・なんてことはよくある話です。
今年は新型コロナウイルスというたちの悪い病原もあり、例年以上に梅雨時の体調管理に気をつけたいところ。外出も思うようにできない中、冷えを防ぐためにできることはないでしょうか。
食べ物で冷えを撃退できる
「冷えは万病の元」という言葉がある中国では、古くから「食事」によって冷えを防ぐことが大事であると考えられてきました。これは現在の栄養学でも裏付けられており、代謝を上げ、体温をしっかり保つために効果的な栄養素や食材についても知見がたくさんあります。
これらのうち、我々素人でもわかりやすく、そして容易に摂取することができる栄養素は以下の3つです。
・ビタミンE……血行を良くし、末端部の体温上昇を防ぐ
・ビタミンB群…主要栄養素の代謝効率を上げ、筋肉の合成を促進する
・タンパク質……筋肉の原料となる。筋肉が増えると基礎代謝が上がり、体温が下がりにくくなる
(『手足の冷え(冷え症)の予防』「くすりと健康の情報局」第一三共ヘルスケアHP)
「サカナ研究所」としてはやはり「これらの栄養素は、サカナでも摂れるの?」という点が気になるわけですが、ご安心のほど。いずれも、魚貝類にも多く含まれています。具体例を紹介していきましょう。
梅雨冷えに効く魚を食べよう
梅雨冷えに効く魚を栄養素ごとに紹介します。
ビタミンEが多く含まれているもの
身近な食材では、イワシ、キス、アユなどがあげられます。(『ビタミンE』「旬の食材百科」)良質な不飽和脂肪酸が含まれており、栄養価の高さが魅力的なイワシはなんとなくわかりますが、ちょっと意外なのがキス。夏が旬の魚であり、イワシとともにちょうどこの時期に店頭に並ぶようになります。脂溶性ビタミンであるビタミンEは脂と一緒に摂取するのがよく、イワシならフライや天ぷら、キスはもちろん天ぷらがおすすめの食べ方です。
また、ビタミンEは様々な魚の内臓や卵巣、精巣に多く含まれているという特徴があるため、内臓ごと食べられる魚もビタミンE源としてはおすすめ。今が旬であるアユにはとくに多く含まれており、塩焼きや天ぷらで内臓のほろ苦さを楽しめば、同時に冷えの予防にも繋がります。
ビタミンB群が多く含まれているもの
魚介で摂りやすいのはB2(カツオやマグロなどの赤身)、B6(ウナギ)、B12(イワガキ、アサリなどの貝類)など。(『ビタミンB群の働き、多く含まれる食品を紹介』森永製菓 プロテイン公式ページ)夏場のスタミナ食として知られるウナギですが、実は冷えにも効果があると言えます。
カツオやマグロなら鉄火丼、鉄火巻など生食料理にすると、女性に不足しやすい栄養素の代表である鉄分ととも摂取できるのでおすすめ。ビタミンB群は水溶性のため、生食のほか、汁物などにしてエキスごと楽しめる料理のするのが良いでしょう。
タンパク質
魚介類の多くは、アミノ酸スコア(必須アミノ酸の含有率評価)が100の良質なタンパク質を含んでおり、タンパク源としては非常に優秀な食品であると言えます。
その中でもとくにおすすめしたいのがサケ。サケには良質なタンパク質が多く含まれているだけでなく、タンパク質の代謝に関わるビタミンB群もすべて含んでおり、筋肉を増やして代謝を上げるには非常に好適な食品なのです。(『魚介類(鮭,マグロ,ツナ缶など)のタンパク質について解説!含む量や調理法などを紹介』森永製菓 プロテイン公式ページ)
スーパーで安価に手に入るのもありがたいところ。旬の野菜とともにホイル焼きにすれば、栄養バランスの良いメニューとなるだけでなく、皮に豊富に含まれるコラーゲンも一緒に摂取することができます。
このように、気軽に手に入る魚でも、これらの冷えに効果的な栄養素を豊富にとることが可能です。美味しい魚介をたくさん食べて、万病のもとになる冷えを防ぎましょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>