コロナウイルス感染拡大の影響により、中国からの輸入が停滞。社会的な問題となっています。実は釣りで使う『虫エサ』も、種類によっては中国からの輸入が大半を占めています。「釣餌専門店サワムラ」へ、新型肺炎感染拡大による影響について取材しました。
(アイキャッチ画像提供:釣餌専門店サワムラ)
釣りに欠かせない「虫エサ」
イソメ(ゴカイ)という生き物をご存知でしょうか。主に海の砂の中や岩の隙間に棲み、有機物や小動物を食べて暮らしています。
「足の生えたミミズ」のような外見や、ヌルヌルした質感から嫌われやすいイソメですが、魚たちにとってはごちそうです。釣りエサとしては大変メジャーで、初心者から玄人まではば広く使われています。
イソメ・ゴカイにはいくつかの種類があり、釣り方や対象魚によって使い分けられています。代表的なものに、よく動いて魚にアピールし、値段も安価なため幅広い釣りで用いられるアオイソメ(アオゴカイ)、やや高価ですが匂いが強く、タイやイサキなど高級魚が狙えるホンムシ(イワイソメ)、シロギス釣り師に愛されるジャリメ(イシゴカイ)、丈夫でエサ取りの小魚に強いため大物狙いの釣りで使われるユムシなどがあります。
これらのエサは「虫エサ」と総称されており、陸からの釣りから沖釣りまであらゆる釣りで活躍する、釣り人にはなくてはならない存在なのです。
「虫エサ」が品薄状態に
しかし、これらの虫エサは、実は中国からの輸入が大半を占めており、今回のコロナウイルスによってその流通も滞っています。
釣り具屋に行けば当たり前のように買えたイソメも売り切れの日が続き、ユムシなどの一部の商品は次回の入荷も未定となっているのが現状です。
現状や今後の展望を、「釣餌専門店サワムラ」に取材しました。
生産元が稼働停止の状況
原産国である中国ではイソメ類は様々な地域で採集・養殖が行われています。しかし、今回のコロナウイルスの影響により、そのいくつかは現在稼働していないそうです。
流通の問題以前に、生産量自体が低下している状況。これは予想以上に深刻です。
現状は、何とか稼働している企業から少量を輸入をすることにより、ギリギリ売り上げを保てているのが現状のようです。
時期的要素で消費者への影響が最小
中国からの仕入れ量が少なくなっていても、そこまで大きな影響が出ていないのは、今が釣りのオフシーズンだからのようです。
例年1~2月ごろは釣り人も少なく、釣りエサ業界はそもそも閑散期です。逆に、繁忙期はGW前後で、この時期の売り上げを「10」とした場合、2月の売り上げは「1」程度しかないそう。
あまり売れない時期だったからこそ、少ない仕入れ量でも消費者への影響が最小限に抑えられているというのが現実なのでしょう。
今後の展望
この現状が続けば会社的に大きな損失を被るのは明白な状況。輸送便の運航状況に左右されてしまうため、明日から急に入荷がなくなってしまう可能性もあり、先行きは不透明なようです。
また、この現状が長引いてしまうと、GWの繁忙期にも大きな影響がでてしまい、消費者である釣り人にとっても他人事ではなくなってきます。
GWにファミリーフィッシングを計画していたのに、釣りエサが売ってないから中止せざる得なくなった・・・。そんな事態にならぬよう、一刻も早いコロナウイルスの感染収束が望まれています。