プロアングラー『児島玲子』引退単独インタビュー 立ち止まって考えたい

プロアングラー『児島玲子』引退単独インタビュー 立ち止まって考えたい

2020年3月に引退する児島玲子さん。二十年以上、プロアングラーとして第一線で活躍してきた彼女に、『釣り』という仕事に携わってきて感じたこと、気づいたこと。そして、気になるこれからのこと。釣りにまつわる想いを単独インタビューした。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS 編集部)

アバター画像 TSURINEWS編集部

インタビュー その他

女性アングラーへメッセージ

いま若い女の子たちがたくさんメディアに出ていて、そろそろ世代交代していってもいいんじゃないかなと思います。私が釣りを始めた頃、本当に女の子がいなくて、いまは女性が釣りをするっていうことがそんなに珍しく見られないんですけど、やっぱり今回の質問でも「女性としてどうですか」っていう質問があるくらい、まだまだ女性は少ない。

プロアングラー『児島玲子』引退単独インタビュー 立ち止まって考えたい週刊つりニュース1999年10月22日号の紙面より(提供:TSURINEWS 編集部)

男女比が半々になるくらいになればいいって、そこを目指してたというか。それぐらいの気持ちで、もっと女性の人にも知ってもらいたいと思っていたんですけど、その部分については次の若い彼女たちがやってくれることだから。私は、見守る立場にいってもいいのかなって思います。

「女性だから」っていう特別な扱いを受けていることはまだまだ少なくないと思うんですけど、でもどんな扱いをされようが、そこに甘えないで、一人ひとりが『当たり前のことが普通にできる』。そういう意識を持っていけば、いつか「女性だから」ではなく、女性だって別にそこにいたって何も違和感もなく楽しめるようになると思います。女性アングラーの活気は上がってきてるけど、もっともっと次のステップに踏み出して欲しいなと思います。

プロアングラー『児島玲子』引退単独インタビュー 立ち止まって考えたい若い世代へタスキを渡す(提供:TSURINEWS 編集部)

釣り業界へのメッセージ

例えば釣具が高い問題とか。(笑)まあ、でも趣味のものだからね。カメラとかだって、高くても欲しい人がいていいんじゃないかなとも思うし。

私は全然知らないところから釣りを知って、自分で釣具を揃えて海外に行って釣りをしたりするようになって。世界を見ても、日本は釣りの文化って進んでいるので、もっと多くの人に「釣ったからすごい」とか「大きいからすごい」とかではなく、身近に釣りを感じるような、温かい遊びとして広めてもらえたらなと思います。

私なんかが『プロアングラー』とか言ってるからいけないのかもしれないけど(笑)。でも、わかりやすく言ったらプロアングラー、っていうことにしているだけで、私たちの役割って、けして人よりたくさん釣るとか、すごいでしょ?ってことではなくて。私が目指してたプロっていうのは、子どもにすべての釣りを教えられるくらいのプロっていうこと。釣りをやったことのない人に、「竿をこうやって持つんだよ、アジだったら下のほうにいるよ、シロギスは砂地にいるよ」っていうことを教えられるっていうのが私の思うプロです。

それは何のために、っていったら啓蒙活動だと思っていて。釣り=日本が誇る文化だと思うし、釣りをするということで水辺の生き物を知ったり。日本の景色だけではない、自然をより知ってもらうためにも、釣りはいいツールだと思う。そういう自然のなかで、例えば親子で、自分が生まれた故郷の川や海っていうのが思い出になるような、そういう遊びにしていってもらえたらなと思いますね。

プロアングラー『児島玲子』引退単独インタビュー 立ち止まって考えたい「プロアングラー」とは(提供:TSURINEWS 編集部)

もちろん、その先にはハイテクな道具を使って、大きな船に乗って沖に出たいっていう夢をいつか持つかもしれないけれど、でもやっぱり初めの入り口ってもっと身近で温かな遊びだと思うので、そういうところを大事にしていってもらえたらなと思います。

昔に比べて釣りは変わりましたか?

やっぱり手軽になったっていうのはありますね。釣具がよくなったっていうのが、女性が入ってきやすい環境になったんじゃないかなって。子どもに対しても同じ。圧倒的に軽くなっているし、小さかったりコンパクトだったりするものでも強度が出ていて、片手でもやりとりできるような道具がどんどん増えている。だから、そういうふうに性能がよくなっていくってことは、釣りしている人にとってはありがたいことだと思います。ただ、釣れすぎちゃうかもしれないですね。

今後、世界と同じようなルールは必要だと思いますか?

釣りをしているからこそ、自然を守るという気持ちにいくべきだし、魚を釣りすぎてしまうってことも、国で決めてとかっていうより、親が子どもに教えれば済むことなんですよね。でも、やっぱり今後を考えたら、そういうルールを作ったりっていうのは、海外と同じように必要かもしれませんね。

私も釣りは続けるし、この先10年後も、釣り番組や釣り雑誌や新聞、Web…と楽しみに見ていきたいと思う。だからこそ、よりよい環境づくりだったり、そういうことをみなさん続けていってほしいなと思います。

今までいろいろな国に行ったからこそ思うのは、日本って魚の種類がもの凄く多いんですよ。黒潮が当たってて、親潮もあったり。冷たい潮と温かい潮があって。縦に長いから季節もある。いろんな生息域が交じり合ってるところなので、世界的に見ても特殊な地域だと思うんですよね。こんなに恵まれている環境ってことを釣りしているからこそ感じたし、だからこそ壊しちゃいけないっていうか。みんなにもそれを感じて考えてほしいし、マスコミもしっかり考えて伝えていくべきだと思います。

プロアングラー『児島玲子』引退単独インタビュー 立ち止まって考えたい釣りを身近で温かい遊びに(提供:TSURINEWS 編集部)

次のページで釣り業界復帰の可能性を直撃!