東海エリアで人気爆発中のヒラメ釣り。生きたイワシを泳がせて狙うこの釣りは食味はもちろんのこと、アタリがあってからハリ掛かりするまでの駆け引きも魅力の1つ。今週は各海域で年々人気が高まっているこの泳がせのヒラメ釣りを紹介したい。
寒ビラメの魅力
日増しに寒さも厳しくなると、釣りに行くにも勇気と決心が必要となってきた。
ままよと意を決し家を飛び出してはみたものの、海上をわが物顔で吹き渡る季節風は頬を刺し、降りかかる飛沫は容赦なく手先の感覚を奪っていく。
いったい何の修行に来ているんだよ俺は……なんて日もこれからは増えてくる。
はたから見ればこんなクソ寒い時期に行かなくても、春まで待てば文字通り「ひねもすのたりのたりかな」な釣りが楽しめるのにと思われるだろう。
なぜ行くか。
釣り人には愚問である。
さらに水温が下がりエサも減る厳冬期に備え、多くの魚種が越冬する力を蓄えるために活発にエサを取る。
身も締まり脂の乗った身は水温の高い時期とはまるで別物だ。
寒ブリに寒サバ、寒ザワラ、文字にするだけでも喉が鳴るようだ。
しかし冬期に「寒」を冠する魚で忘れてはならないのがヒラメだ。
適応できる水温帯が幅広いため、狙おうとすれば年中釣ることも可能だが、やはり寒ビラメは別格だ。
魚体は産卵後に比べると倍以上に厚みを増し、太くなった尾柄部は強烈なパワーで釣り人を魅了する。
食味は言うまでもないがトンデモない。
キリッと締まった白身でありながら、上品な脂をまとい、生でも火を通してもそのうま味はまさにトンデモないとしか形容できない。
これだけ書けばコタツでヌクヌクしてる場合ではないと分かっていただけるだろうか。
今回は生きイワシを泳がせて狙うヒラメ釣りを紹介したい。
寒ビラメ釣りのタックル
サオは2.4m前後が万能!
まずは準備するタックルだがロッドは1.8~3mで、イワシの泳ぎに影響が少ないよう負荷がバットに乗る製品をチョイスする。
調子で言うと5対5から6対4あたりだ。
手持ちで通すならショートロッドが取り回しが良く、誘いや取り込みも容易だが、波気があって船が跳ねる日や上下動の大きいミヨシ付近に釣り座を構えた日などは、ヒラメが違和感を覚えてイワシを離してしまうことがある。
海況や釣り座に合わせて長短使い分けるのがベストだが、取り回しも楽でありながらヒラメの食いも妨げない両者の中間的な2.4m前後の専用ザオも各社から発売されているので、1本だけならそちらを準備するとバッチリだ。
快適な釣りを楽しむなら電動リール!
合わせるリールだが、伊勢湾近辺でのヒラメ狙いは、水深30mから深くても60mまでの浅場がメーンのため、大型は必要ない。
PEラインの1.5~3号が200m程度巻ける中小型の両軸リールを用意する。
中層でタナを探って釣るわけではないので手巻きでも全く問題ないが、60~80号のオモリをメーンに使用する。
グラムに換算すると200~300gなので、手巻きはまあまあ筋トレに近い。
より快適に釣りを楽しむなら、小型でパワフルな電動がベストだ。
寒ビラメ仕掛けの注意点
仕掛けは胴つきで、前述の通りオモリは60号~80号を予備も含めて用意しておく。
ハリは親バリが伊勢尼の10~11号や丸セイゴの17号程度、孫バリも同じく伊勢尼の同サイズを使用するが、最近は孫バリがトレブルフック仕様の製品が流行のようだ。
確かにフッキング率は圧倒的に上がる気がするが、のみ込みを待たずに浅く掛かってしまうとバレも増えてしまうため、ベテランの中には好まない人も多い。
ハリスは親子サルカンを介して、5~7号のフロロカーボンを60cm~1m程度取る。
その下には捨てイトにナイロンの4号程度を20~50cm取っておけば、根掛かりしてもハリや獲物のロスが防げる。
市販の製品をそろえるのが手軽だが、自作も容易なのであれこれ考えながら工夫して、準備するのも釣りの楽しみだ。
自作する場合は注意点がいくつかある。
まず、親バリにだけはソフトビーズや夜光玉を刺しておくこと。
刺していないとハリが半回転して、イワシにもう1度掛かり弱らせるばかりか、ハリ先が埋もれてフッキングも妨げてしまう。
それから親バリと孫バリの間隔を最低15cmは空けておく。
イワシの泳ぎを制限しないためには重要だ。
最後に、ハリスや捨てイトの長さは釣り人のこだわりがあって工夫のしどころではあるが、1つだけ気を付けたいのは、ハリスと捨てイトの長さは必ず違う長さにしておこう。
ヒラメはオモリに触ってしまうと、イワシを離してしまうことがあると言われていることに加え、両者が同じ長さだと回収時の手前マツリが多くなるためだ。
小さなことだが、これらに気を配っていればより快適に釣りを楽しめるはずだ。
<週刊つりニュース中部版 APC・峯卓/TSURINEWS編>