あくまでも個人的な感覚だが、クマゼミの声を聞くと梅雨が明けることになっているのだが、今年は様子が違う。クマゼミが鳴きだしても相変わらずの梅雨空が続いている。おかげで各河川の水位は本流志向のわれわれには適水量を維持しているし、ありがたいことに例年になく涼しい。そんなわけで7月半ばに、木曽川漁協管内(長野県木曽郡木曽福島町)の木曽川本流を訪れてみた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 APC・三重渓流倶楽部・冨田真規)
木曽川本流上松地区で竿出し
国道19号線を北上し、上松地区のいつもの大淵に到着したのが午前6時半。若干の色は付いていたが、水量もやや高でいい感じ。
空を眺めながらカッパをベストの下に着るか上に着るか思案しながら河原へ出る。ミミズをハリに刺して仕掛けを振り込み、手に付いた泥を洗おうと流れに触れると、「冷てぇっ!」。やはり雨続きのせいで水温は下がっているようだ。
それを裏付けるように流れからの反応は冷ややかだ。少しずつスタンスを下流に移しながら底波を探ること1時間。わずかに触るようなアタリは1、2度あったがハリ乗りには至らず、1回目の探索は異常なしで終了。
2巡目で37cmイワナ登場
流れ込みに戻って2巡目に取りかかった早々だった。目印をゆるりと水没させるアタリに聞きアワセの要領でサオを立てて生命体を確認する。根詰まりのように川底でとどまった後、上手に向かってゆっくりとはう様子は大イワナの証し。たっぷりと手応えを楽しませてくれたのは37cmの勇者。
トロ瀬で35cmアマゴと対面
直後にもう1匹骨酒サイズが遊んでくれたが、以降は再び沈黙。1つ下の淵へポイントを変えることにする。若干小さめだが、それでも30mは続くトロ瀬に4Bオモリを転がしていく。
底を掃くように探っていくが、そう簡単に魚がミミズを見つけてくれるわけでもない。緊張の糸も途切れがちで、水上に頭を出した岩に腰を下ろしつつ、惰性で仕掛けを送っていた時だった。
仕掛けがサオと一直線になる流ししまいで、いきなりギュンっとばかりに穂先が水没。次の瞬間にはハリスが飛んだ仕掛けが目の前でヒラヒラ…。テンションはいきなりマックスで、心臓はバクバク。震える手でハリを結び直し、祈る思いで流れに対峙する。こいよ、こいよ…。
ドラマはすぐにやってきた。流れになじんだ仕掛けがゆっくりと動きだしたところでカッと鋭いアタリ。アワせたサオはいきなり満月だ。底波でクビを数度振り、流れの中を猛突進。水面で散るシブキが白く、大アマゴを確信。上から下へ、手前から向こう正面へと走り回ることしばし、無事タモに迎え入れたのは35cmの大アマゴ。