おいしい魚が食べたくて釣りをしているが、スーパーの魚はどれがいいのか分からないという人も多いのでは?今回は今が旬の本ガツオの見分け方を、奈良県中央卸売市場の丸中水産株式会社勤務の筆者が紹介します。
(アイキャッチ画像提供:webライター・有吉紀朗)
新鮮な魚の見分け方
新鮮な魚を見分ける三つのポイントは…
①目が澄んで濁ってないこと
②お腹にハリがあって割れていないこと
③エラの色が鮮紅色なこと
…と書くと、そんなこと誰でもわかるし基本なので、釣り好きから良妻賢母に贈る魚の見分け方をお届けしたい。「鹿児島から焼津に向かうトラックが、高速道路上にカツオを散乱」というニュースから、今回は旬のカツオを取り上げてみた。
初ガツオ
「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」という句が有名、また江戸時代には「女房を質に入れても…」と言われていたらしいが、このころの初ガツオは1匹三両もしたという記録が残っている。今のお金に換算すると20万円だとか。
1匹丸ごと購入するのであれば、オススメは引き釣りで漁獲したもので、関東なら外房勝浦、近畿では和歌山南紀で水揚げされたものが12時間以内で鮮魚店やスーパーに並ぶ。和歌山ではケンケン、外房では引き縄と呼ばれているが、釣り方は同じである。
※マイボートでのトローリングはビルフィッシュトーナメントとか特別な許可がない限り禁止。
この他、一本釣り、まき網で漁獲されるが、私たち釣り人が船からのフカセやズボで釣り上げるカツオの方が鮮度がいいのは言うまでもない。では実際、スーパーの水産コーナーや鮮魚店でカツオが1匹売られていれば、どこを見ればいいか?
目を見ると見誤ることも!
目を見て鮮度を決めるというのは間違うことも多い。というのもカツオを釣れば塩氷で処理することが多いからだ。塩氷は目をすぐに濁らすので、濁った目でも鮮度のいい魚が多い。
背中の色、お腹の縞がはっきりしたもので、背中の尾っぽに近い部分がザラッとしたもの、さらに身が硬いものが鮮度見極めのコツだ。ただし、おろしてみると身の色が悪く、見かけだけのこともある(言い訳っぽく聞こえるが、言い訳しなければ納品先に怒られる)。
尾丙部が細く、顔が小顔のものは脂があることが多いのだが、これは他の魚にも共通すること(人間もウエストが細くて小顔がうれしい)。
寄生虫には注意!
生のカツオは歯応えも、香りもいい。鉄分、コラーゲンも豊富で女性の味方なのだが、デメリットは寄生虫。テンタクラリアは無害だが、アニサキスは食中毒の原因となる。虫が多いのは腹側と中骨周辺。1mmくらいの虫もいるので見て除去しても安全とは言い切れない。
でもこれは私たちが釣り上げた魚も一緒。大手スーパーの中には寄生虫によるクレームが怖くて生カツオを販売していない店もある。-20℃以下の冷凍や加熱すればアニサキスは死滅する。
スーパーでは冷凍が狙い目
ただ、実際スーパーで魚に直接触れられる店は少ないし、生のカツオ丸ごと置いている店も少ない。また水揚げが少なければ私のような貧乏人が購入できる値段ではない。と言っても釣りに行く小遣いに比べたらよほど安いといつも小言を頂いている。
そこでリーズナブルにカツオのタタキが食べられるのが解凍のカツオタタキ。ロイン(三枚おろしの半分)を焼きあげたものが真空になって入荷している。スーパーではこれを切って商品にしている。
ネギや玉ねぎまで乗っている商品もあるが、もっとおいしく食べるなら、冷凍のままのカツオタタキを購入して、半解凍で刺し身に切る。解凍は流水で15分ほど。
中心はやや硬いほうが切りやすい。自宅にバーナーがあればもう一度炙るのがオススメ。鮮度のよくない生カツオよりうまいと感じることもあるのでオススメだ。