加賀百万石の武士道を発祥とし、今もなおアユの伝統釣法として引き継がれているのが、アユの毛バリ釣り。それが、通称「ドブ釣り」である。今回はその釣り方をガイドしたい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・森雨魚)
アユのドブ釣りとは
近年の「動」のトモ釣りとは対照的に、「静」のドブ釣りは、初期の遡上稚アユの動物性プランクトンを捕食する食性を生かした釣りであり、関西の河川をはじめ、オトリ店のない小河川や天然遡上の多い河川では、今ではオーソドックスな釣りとなっている。
ひと雨後の水でアカのとんだ状態の河川や、最盛期・終盤でも水深のある緩やかな流れに群れを成して潜み、流下する動物プランクトンや川虫などを捕食する個体は、美しい毛バリに果敢にアタックしてくる。
毎年解禁の日には、そんなドブ釣りの繊細なサオさばきと、たまらないスリル感に魅了された釣り人たちが夜明けと同時に釣りはじめ、200~500匹の釣果を上げる。
使用するのは毛バリ
ドブ釣りの定番となる毛バリの御三家は、「茶熊」、「青ライオン」、「赤金ラメ」。それぞれの毛バリカラーをまずはローテーションし、釣りポイントに応じた当たり毛バリを見つけるのが、釣果倍増のポイントとなる。
例えば、晴れた日は「茶熊」、曇った日は「青ライオン」、ややアタリが遠のいたリ、濁りがある時は「赤金ラメ」などと、手をかえ、品をかえての攻めの釣りでチャレンジすれば、自分の描いたシナリオ通りの釣果を手にすることができるだろう。
なお、オーダーメイドで発注をかけると、自分の釣りイメージにマッチした毛バリやネーミングを付けて購入することもできる。これも楽しみのひとつ。
先鋭なステンレス製の毛バリが水中を優雅に流れて生命感をかもし出せば、「クッ・クッ!クッ!!」というアタリがサオ先から手元に伝わる。そのたびに、思わず笑みがこぼれてしまうものだ。
サソイと取り込みは、一連の動作で!
釣り方は、オモリで川底をたたくように上下にゆっくりとサソイをかけて上流から流し込む。サオ先にアタリが出てもあわてずに、テンションかけてサオを立て気味に上流に向け、しっかりハリ掛かりさせる。
取り込みは、手尻のサオから順々にサオを仕舞い込み、釣れたアユを浮かしながら、水面を滑らせるように手前に引き寄せる。仕掛けとサオの長さがほぼ同寸になったら、手前にきたラインを手で持ってタモに収める。スムーズな一連の動作で取り込むのが大切だ。
サオを早く立てすぎたり、無理なフッキングをすると、テンションが抜けて水中バラシとなることがあるので注意しよう。また、一気に引き抜くのもタブーとなる。ハリ掛かりしたらまずは、釣り人が落ち着くことが大切だ。