5月24日、京都・京丹後市網野町の浅茂川漁港出船の丸田丸にて、午後便でのマダイをメインとしたテンビンフカセ釣りを楽しんできた。いよいよ日本海方面も夏の様相で、マダイを始めチダイや大型イサギ、メジロがサオを曲げてくれた。釣果の決め手は?!
完全フカセとテンビンフカセ違い
浅茂川漁港の丸田丸乗船場で待ち合わせたのはこの方面に足繁く通う、片岡浩さん。今年5月に入って同船宿に乗るのは3回目だが、過去2回は完全フカセでの釣りで、テンビンフカセは今季初めてとのこと。
まず、この方面での2大釣法と言えるテンビンフカセと完全フカセの違いについて。
テンビンフカセ
テンビンフカセはその名の通り、全長70~100cmのテンビンを使用し、テンビンにはカゴ、オモリを装着。クッションゴムの先には全長10~15mの2、3本バリ仕掛けが繋がる。
釣り方はオモリで沈めて、ハリ先までの位置をイメージしながらタナを固定し、まきエカゴからこぼれるエサと仕掛けの先にあるさしエサを同調させる釣りで、基本的にエサが取られればタナを上げ、残れば下げる調整をしていく。
完全フカセ
対して完全フカセはオモリやテンビン、カゴなどはいっさい使わず、フロロカーボンのミチイトの先にテンビンフカセ同様の仕掛けを結ぶだけのシンプルなスタイル。これを潮に流し込み、フロロカーボンの比重による沈下で、船上から上まきするまきエサとの同調を測る。
たいていの場合は船長が狙った魚礁やシモリなどの潮上に船をかける。船の位置は潮の速さと水深で決定する。そして、船上から潮に乗せてまきエサと仕掛けを魚礁などに向けて流し込んでいると、まきエサの筋につられて食い上がってくる大型の魚をヒットさせる釣り。いわば、タナを固定するのではなく、上から徐々に探っていき、食い上がってくる魚との接点を探る釣り。
当日のタックルとエサ
さて、今回はテンビンフカセの釣りで、片岡さんはオモリ30号、全長10mの2本バリ仕掛けをチョイス。
オモリの号数は目安としては水深(m)=オモリの号数(号)を基本とするが、潮の流れによってワザと軽くすることで船から仕掛けを離して広範囲に探ることも。
当日は水深54mラインでスタートした。
用意したエサはまきエサ、さしエサともに生オキアミ。半日で3kg板が2枚の計算で、片岡さんの定番は「まきさし用」として売られているMLサイズ3kgと、大きめのLLサイズが3kg。
さしエサ用のオキアミは別に、「アミノ酸α」や「アミノリキッド」などで、オキアミの身を少し締めたものも使用する。
上潮がほんの少し東へ行っているが、底の方は、ほぼ止まっている感じ。オモリは30号も50号も仕掛けがなじむとミチイトは同じ角度になる。こんな場合はオモリを外してカゴとテンビンの重さだけで沈める方法もあるし、逆に手返しを考えて重めのオモリを使う方法もある。
まずは魚を寄せる
「まずはオモリを重くしてまきエサをしっかりとまき、魚を寄せることに専念してみます」と片岡さん。数投まではさしエサが残ったが、それ以降は取られるようになった。さしエサが取られれば少しずつタナを上げてくる。片岡さんは1m刻みでタナを上げつつ様子を見る…が、エサは残らない状態が続く。
タナ調整の考え方
タナの設定方法だが、テンビンの先には全長10mの仕掛けが付いているので、潮の流れを考えなければテンビンを着底させてから仕掛け分の10mを巻き上げれば、仕掛けがなじんだ状態で、先バリのさしエサが海底付近になる。これが1投目、つまりまきエサが入って居らず魚が寄っていないのを想定した状態だ。
ここからさしエサの残り方でタナを調整していくが「マダイ狙いの場合はタナを上げても、さしエサが底から10mくらいまでを目安としています」とは片岡さん。
それでもさしエサが取られれば、今度はまきエサを入れずにしばらく釣ってみたり、逆に浮いたエサ取りをかわすために、再び底ギリギリを釣ってみたり…という作戦に出る。
このテンビンフカセの釣りは、夏場になるとエサ取りとの戦いとなり、エサ取りが少ない時間帯、つまり早朝と夕まづめが時合いとなることが多い。当日は午後便なので、メインタイムは17時を回ってからの予想なので、まずはのんびり構えつつ…の釣りである。