新緑の季節を迎えると、虫たちがエサを求め木々の新芽に付きはじめる。こうなると渓流を泳ぐ魚たちは、水中のエサだけでなく、上から落ちてくるエサを意識するようになる。毛バリを使ったテンカラ釣りが本領を発揮する季節の到来である。今回は、入門者に向けたテンカラ釣りを解説。初回は、テンカラの概要とタックルについてです。
テンカラの概要
テンカラの語源は諸説あるが、羽虫に似せた毛バリで、魚(アマゴ、イワナ、ニジマスなどの主に渓流魚)を釣る釣法であることは、日本全国共通で間違いない。
昔から「職漁師の釣法」などと畏怖をもって見られてきた傾向があるが、今はタックルも充実し、入門のハードルは低くなっており、渓流釣り初心者にも手軽にできるようになった。過去にはテンカラ釣りブームもあったもののしばらくは下火になっていたが、近年再び脚光を浴びてうれしい限りである。
テンカラのサオ
タックルは、基本的にテンカラザオとライン、リーダー、毛バリがあれば釣りができる。用意する道具が少ないのが特徴だ。
まずテンカラザオだが、硬軟、長短それぞれあるが、初心者が購入するポイントは、3.6m~3.8mの7対3または6対4調子、80g以下を基本にするといい。
極端に長い短い、硬い軟らかいは避けること。サオの選択は、必ずサオを振ってみてピタリと止まるのを選ぶこと。
安価なサオはブレが大きく80gを超えるのがあるので大変疲れやすい。
テンカラのライン
ラインは、以前はテーパーライン「よりイト」が主流だったが、現在は特に関東圏を中心にフロロカーボンイトのレベルライン「単イト」が大部分を占めるようになった。
テーパーラインの利点はよりイトなので軟らかく誘いがかけやすいところ。欠点は高価で、ラインに重みがあるために毛ばりが着水後引きずられるところだ。
一方でレベルラインの利点は、安価で長さ調節が簡単なところと、ラインに重みが少ないために毛ばりが引っ張られないところ。欠点は単イトのため誘いが直線的になってしまうなどだ。テンカラ用ライン3.5号~4号の2種類を用意すればいいだろう。
これからテンカラ釣りに入門されるアングラーは、レベルラインから入ることをお勧めする。長さはサオと同じに合わせて、慣れてきたら徐々に伸ばすといい。
ラインの先に付けるリーダーは、フロロカーボンの0.8号~1.2号を、矢引(約80㎝)の長さで取り付ける。このリーダーの長さや号数は狙う魚の大きさや川幅でかえる。
テンカラの毛バリ
最後に毛バリだが、これは大きく分類すれば普通毛バリと逆さ毛バリの2種類がある。普通毛バリはフック軸に対してハックル(鳥などの羽根)が直角に出てる。一方で逆さ毛バリはフックに対して上にハックルが巻いてある。普通毛バリは水面もしくは水面下を自然に流して魚を誘うが、逆さ毛バリは主に水面下で釣り人自身がサオをあおり誘いをかける。
初心者は普通毛バリの6号~8号のボディー、ハックルが視認性のいい白色もしくはクリーム色を揃えるといいだろう。最初は見やすい色を選ぶといい。
自分で巻くのがベストだが、最初は市販の毛バリで十分だ。
その他に用意するものは、エサを使った渓流釣りスタイルと何らかわらない。小さめのタモ網があると、大物に対応できるし、リーダーや毛バリ交換はタモ網の上で作業すればロストがない。