生物のゆりかごと言われる海。あらゆる生き物が生息していますが、両生類だけいないのはなぜでしょう?
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
爬虫類も鳥も哺乳類もいるのに……
地球上の7割を占める海。あらゆる生き物は、かつて海で生まれ進化の過程で陸上や淡水に適応したとされています。
現在でも、陸上に生息する生き物より、海中に生息する生き物の方が種類も数も多いと考えられています。その中にはクジラやウミイグアナのように、かつて陸に適応した後に、再び海に帰っていったような生き物もいます。
ウミイグアナ(提供:PhotoAC)そんなあらゆる生き物を育む海に、なぜか存在していない生物のグループがあります。それは両生類です。
両生類が海にいられない理由
両生類は「両棲」とも書きますが、これは陸上と水中で生きるという意味です。両生類のほぼ全てが、幼生の時期を水中で過ごし、成体になるとそれまで持っていたエラを捨てて陸上に住みかを移すという習性をもちます。
両生類の代表生物イモリ(提供:PhotoAC)しかし、この水中というのは「淡水中」のことで、海水の中にはいません。海水の中で生きていくことができないからです。
彼らの皮膚は、我々ヒトにとっての粘膜に近い性状をしており、体表から水分やそれに溶けた酸素を取り込むことができます。しかし海水の浸透圧は体液よりも高いため、もし彼らが海水中に入ってしまうと体内の水分がどんどん外へ吸い出されてしまい、体を保つことができなくなってしまうのです。
かつては海にもいた!
しかし、先日面白い発見がありました。なんとかつて海で生きていたと見られる両生類の化石が見つかったのです。
ゲロトラックス・マリティムスと名付けられたこの種の化石が見つかった場所は、かつてやや深い海であったと考えられるところであり、海水性であった可能性が検討されました。その後の調査により、骨の中に含まれていた放射性物質「ストロンチウム」の同位体の値が海水のそれと極めて近接していることがわかり、彼らが海中で暮らしていたことがほぼ確実となったそうです。
オオサンショウウオと同じくらいの大きさ(提供:PhotoAC)彼らは体表近くに鎧のような骨を兼ね備えており、これで全身を覆っていたと考えられます。これにより浸透圧の差で体液中の水分が失われるのを防いでいたようです。
加えて、彼らは成体になってもエラを保持したままで、これにより周囲の水分から皮膚呼吸で酸素を取り込む必要がなく、これも海水中に適応できた理由だと見られています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

