「史上最悪の侵略的外来生物」と呼ばれる生き物が生息域から逃げ出し、問題となっています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
印旛沼から「ナガエツルノゲイトウ」が流出
先日、複数回にわたり千葉を襲った豪雨災害。広い範囲が甚大な被害を受け、いまだにその爪痕が残っています。
印旛沼(提供:PhotoAC)中でも最も大きな被害があったのが、千葉県北部に位置する印旛沼。かつて江戸時代に干拓が試みられたものの、大きな水害によって断念された歴史がありますが、今回も大雨により堤防が決壊し、大規模な氾濫が起きてしまいました。
そして氾濫の際、その印旛沼から非常に問題のある生物が逸出してしまったことが報道されました。その生物とは「ナガエツルノゲイトウ」です。
「史上最悪の侵略的外来種」
ナガエツルノゲイトウは南米原産の抽水植物です。アクアリウム用の水草として日本に入ってきましたが、逸出や遺棄によって自然環境に定着し、今や東日本から西日本の広い範囲で大繁茂してしまっています。
印旛沼のナガエツルノゲイトウ(提供:PhotoAC)この植物はちぎれた茎の1本からでも容易に再生し、水中を漂ったり、あるいは陸上に根を張りながら、どんどん大きな群落を作っていきます。やがてその水域を埋め尽くし、水底から水面に至るまで覆い尽くして、他の生き物が生きられない環境を作ってしまうのです。
その侵略性の高さ、また駆除の困難さから、昨今メディアでは「史上最悪の侵略的外来生物」という二つ名をつけられています。
人的被害を出す恐れも
ナガエツルノゲイトウはもともと止水域を好む植物で、印旛沼では大量に繁殖していました。今回の豪雨災害で印旛沼の堤防が決壊した際に、このナガエツルノゲイトウが大量に流出し、周辺の水域に流れ込んだと見られています。
ナガエツルノゲイトウ(提供:PhotoAC)また印旛沼の排水機場では、流れてきたナガエツルノゲイトウの群落が水門に詰まり、それを除去する作業も必要となっています。水門に詰まったままでは、再び増水が発生した際に排水がうまくいかず、再度水害につながってしまう可能性もあります。
生態系を破壊するのみならず、我々の命に直結する部分でも被害をもたらす恐ろしい存在。それが「史上最悪の侵略的外来生物」と呼ばれる所以なのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


