日本の秋の風物詩「秋鮭」が、いよいよピンチです。実はいま漁獲量が極めて減少しているのです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
今年のサケも全くダメそう
「秋鮭」という言葉が季語になっているほど、我が国で親しまれてきたサケ。かつて秋になると日本の広い範囲で漁獲されていましたが、実はいま漁獲量が極めて減少しています。
北海道の秋鮭漁業(提供:PhotoAC)水産庁は今年度の秋鮭の定置網漁による漁獲が、1万トンを割り込む予想であると発表しました。主要漁場である北海道近海への来遊量も365万トン程度と見られており、これは2003年の6%程度に過ぎません。
この予測を踏まえ、道内各地の漁協では、産卵に関わる親魚を増やすため網を入れる時期を遅くする、または短縮するといった処置を検討しています。
代わりに増えるのは「サーモン」
しかし「鮭が獲れなくなった」という話を聞いて不思議に思う人も多いかもしれません。実はコンビニで売られている鮭おにぎりなどの原料は「コーホーサーモン」や「ニジマス」など、秋鮭とは別の魚なのです。
コーホーサーモン(提供:PhotoAC)鮭が獲れなくなるにつれ、食味が似たこれらの魚の需要が増えつつあります。かつてはチリやノルウェーからの輸入ものがほとんどでしたが、近年は国内でも養殖が盛んに行われています。
和名が「銀鮭」であるコーホーサーモンは鮭として流通することもありますが、それ以外のニジマスやサクラマス、掛け合わせ品種などは基本的に「〇〇サーモン」と呼ばれることが多いようです。
いつか「サケ」は過去のものに?
上記の「〇〇サーモン」たちは餌や飼育方法に多くの工夫があり、結果として素晴らしい食味を持つものが多いです。佐渡サーモンや信州サーモンのように地域名ブランドを冠した「ご当地サーモン」も多くなっており、鮭不足を感じさせることは一般的にはなくなりつつあるように見えます。
伝統的な鮭寒干し(提供:PhotoAC)しかし前記の通り、秋鮭は全国各地で漁獲され、その地域の食卓、ひいては文化にも大きな影響を与えてきた生き物です。鮭が取れなくなるということは、我が国の伝統や文化が失われることと同義なのです。
今のままでは10年以内にほとんど獲れなくなる可能性も指摘されており、なんとかしないといけません。現状日本最後の秋鮭漁獲地となっている北海道では現在、鮭が遡上しやすいように川の環境を改善するなど様々な施策を行なっています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

