世界的に見てもユニークな日本の鮮魚加工品「くさや」。好きなので自作してみました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
和食魚料理の極北「くさや」
世界中には、魚を使って作る非常に個性的な食品が多々あります。世界一臭い食材と言われるシュールストレミングはニシンの発酵食品ですし、2番目に臭いと言われるホンオフェはエイを熟成させたものです。
そして、そのような「臭い魚食材」のひとつが我が国においても知られています。それはくさや。
くさや(提供:Photo AC)見た目こそ普通の魚の干物ですが、その臭いは誤解を恐れずいうと肉の腐敗臭、さらにいうとうんちの臭いにも近いです。あまりにも臭いことから通常は真空パックで販売されており、街中で食べる時には様々な配慮が必要となります。
味は絶品!
くさやは、塩を年貢として収めていた伊豆諸島の島々で、塩をあまり使わないで済むように造られた特別な干物です。そのため伊豆諸島ではいまも名物となっており、島のあちこちでくさやを焼く匂いが漂っています。
焼いたくさやは生の時より幾分ましな風味ですが、それでも知らないで口にしようとはとても思えません。しかし思い切って口にすると、まろやかな塩気の中に濃厚な旨みが広がり、普通の干物よりはるかに美味しいことに気づきます。
トビウオのくさやとアシタバ(提供:Photo AC)臭みを抑えるために、八丈島などでは同じく特産の香味野菜アシタバを混ぜ込んだマヨネーズを付けて食べたりしますが、これはまさに絶品。一度食べればこの独特な匂いすら食欲を誘う香りに変わるのです。
自作してみた
筆者はこのくさやが大好きで、しばしば恋しくなります。先日もふと食べたくなり、色々調べた上で自作してみることにしました。
一般的な干物は、魚を塩水に漬けてから干し上げますが、くさやはその塩水を何度も再利用します。その過程で塩水の中に魚の成分が溶け込み、それを細菌や酵素が分解して、くさや液という独特の風味をもった液ができます。その液につけて干すことでくさやとなるので、まずはくさや液を作らなければなりません。
しかし今から魚を漬け込み発酵が起こるのを待ったのではいつまで経っても完成しません。そこで今回は「市販のくさやを塩水に漬け」て簡易くさや液をつくり、それに漬け込むことにしてみました。
くさやを漬け込んだ塩水は二週間ほどでくさやと同じ匂いを発する液体となり、期待が高まります。事前に釣っておいた手頃サイズのアメリカナマズを開き、一晩漬け込んだのちに乾燥して完成とします。
自作くさや(提供:茸本朗)ルーフバルコニーに出したコンロで焼き上げると、強烈な匂いを発しながらも美味しそうに焼き上がり、食べてみるとくさやの味そのもの。大成功です。今後はこの液さえあればいくらでもくさやが作れるということであり、勝利の喜びを出来立てのくさや、そして青酎(伊豆諸島特産の芋焼酎)とともに噛み締めました。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

