開高健を知っていますか?50年ほど前に釣り紀行「オーパ!」で名を馳せ、世界中を旅した芥川賞作家です。2027年に「オーパ!」取材50周年になるのを前に、開高健記念会主任を勤める筆者が、彼の生涯と作品を振り返ってみたいと思います。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター菊池英則)
芥川賞作家「開高健」
開高健は、1930年生まれ。1958年に「裸の王様」で芥川賞を受賞したのち、ベトナム戦争のルポで知られるようになります。しかし、30歳代後半から幼い頃に好きだった釣りを再開し、世界中を巡って数多くの釣り紀行の作品を残しました。
開高健(提供:TSURINEWSライター菊池英則)「私の釣魚大全」
1970年代初頭に出版されたこの本は、当時の「旅」という雑誌に連載した釣りエッセイをまとめた短編集です。開高自身の釣り体験のほか、福岡県筑後川で鯉を抱きかかえて捕らえる男性「鯉とりまぁしゃん」の話などが掲載されています。
「私の釣魚大全」(提供:TSURINEWSライター菊池英則)作家の井伏鱒二と一緒に湖に出かける「井伏鱒二が鱒を釣る」の章では、井伏がイクラ餌でのウキ釣りなのに対し、開高はルアーやフライで臨むなど、釣り方の違いも書かれています。
「フィッシュ・オン」
1974年発売。冒頭よりアラスカでのキングサーモン、スウェーデンでのパイク(カワカマス)釣り、アイスランドでのブラウントラウト、ナイジェリア、タイなど、世界中の釣り紀行の短編集が掲載されています。
アラスカでキングサーモン(提供:TSURINEWSライター菊池英則)中でも、「ナクネク川の恐怖」と呼ばれる、アラスカでのルアーを使ったキングサーモン釣りの話は有名で、リールのドラグ調整の末、彼が見事に魚をキャッチした写真も紹介されています。
「オーパ!」
ブラジルのサンパウロ大学講師の誘いにより、開高らは、1977年にブラジルのアマゾン川取材を決行します。中でも「ピラーニャ」(ピラニア)は、飽きるほど釣れ、その歯の鋭さと、獲物を食べ尽くす恐ろしさを日本に紹介したことでも有名です。また、「トクナレ」(アマゾンのブラックバス)釣りでは、その魚体の美しさが写真で紹介されています。
「オーパ!」(提供:TSURINEWSライター菊池英則)アマゾン川は、一面、湖のように広いのですが、数日のうちに湖が干上がって牧場になるなど、ブラジルの自然スケールの大きさの描写は、日本人の読者を驚かせました。高価な本でしたが、当時のベストセラーになりました。1978年に発売され、2027年に取材から50周年になりますが、その文章と写真の美しさは、今なお、現代の釣りファンを魅了してやみません。
<菊池英則/TSURINEWSライター>


