南日本の田んぼで猛威を振るう外来生物ジャンボタニシ。その対策に「米の友達」のあの食材が効果的だと判明しました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
奈良の田んぼに「梅」が撒かれる
平坦な地形を生かし、稲作が盛んにおこなわれている奈良県。その田んぼに近年、ある「食材」が撒かれるようになっています。
その食材とは「梅の実」。しかもただの梅ではなく、梅酒作りに使われた後の「漬け梅」です。
漬け梅(提供:PhotoAC)なぜこんなことをするのかというと、イネの大害虫(貝)であるジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の対策のためです。ジャンボタニシは若いイネを盛んに食い荒らして田んぼの収穫量を大きく下げてしまうのですが、漬け梅が撒かれた水田では被害が減少するのだといいます。
なぜ梅が効果的?
いったいなぜ、漬け梅を撒くとジャンボタニシがイネを食害しなくなるのか。その理由はなんと彼らが「漬け梅が大好き」だから。漬け梅を撒いた田んぼでは、ジャンボタニシがイネよりも漬け梅のほうを好んで食べるため、結果としてイネの食害が防げるのだそうです。
ジャンボタニシ(提供:PhotoAC)ジャンボタニシはどうやらアルコール発酵した植物性のものを好むらしく、例えば酒粕を撒いても同様の効果はあります。しかし酒粕は水流で流出してしまったり、カラスなどが食べてしまうために効果時間が短いという欠点がありました。
そこで、アルコールの風味があって容易に流出せず、また近隣の和歌山県などで大量に発生する「廃棄物としての漬け梅」を流用してみたところ、大きな効果があったのだそうです。
研究が進むジャンボタニシ対策
我々の魂ともいえる米の生産に悪影響をもたらすジャンボタニシは、まさに日本人の大敵。本来南方系の生物であり、これまでは西日本でしか確認されてこなかったのですが、近年の温暖化もあって分布域を拡大しており、その対策は喫緊の課題となっています。
ジャンボタニシに食い荒らされた水田(提供:PhotoAC)大型の貝で水質や水温の変化にも強く、薬剤が効きにくいジャンボタニシは現在でも難防除害虫のひとつですが、生態の研究が進みいくつかの対策が効果的であることがわかりました。現在では専用の農薬が開発されたり、生態に即した対策が開発されています。ちなみに上記の「漬け梅」による対策は、地元の県立高校生によって発案されたそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>



