「森のエビフライ」をご存知でしょうか。リスが松ぼっくりの中身を食べるためにかじることによって、エビフライの形状になったものです。いかにも魚が好みそうな形状をしています。本記事ではこの森のエビフライを使って魚を釣り上げます。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)
目次
森のエビフライを知っていますか
まずは、この写真を見てください。写真の右が普通のエビフライ。左が「森のエビフライ」です。左はまるでエビフライに見えますが、なんと原材料は松ぼっくりのみです。
エビフライ比較(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)リスが食べた跡
リスが松ぼっくりの中にある種子を取り出すためにかじり尽くした松ぼっくりがこのような形になります。
正体は松ぼっくり(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)まるでエビの尻尾のように見えるところは、リスがかじり残した松ぼっくりの先端の部分です。
リスがかじった松ぼっくり(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)ルアーにして魚を釣ってみる
「森のエビフライ」を道端で発見し、これは天然のルアーになるのでは!? と思い、魚を釣るという発想が生まれました。今回はこの「森のエビフライ」を利用して魚を釣ります。
森のエビフライはどこにある?
そもそもどこに森のエビフライがあるのか気になると思います。餌になる松ぼっくりが実るアカマツなどがあり、付近にリスが生息している場所であればどこでも見られる可能性があります。リスは落ちている松ぼっくりではなく、中身の種子が成熟している樹上の松ぼっくりをかじり、森のエビフライを作り出します。
落ちている森のエビフライ(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)例を挙げると、筆者がメインで釣りをしている新潟県上越市では、日本スキー発祥の地「金谷山」付近の森にリスが生息しています。この森のアカマツの根元などに落ちていることがあります。
同じところによく落ちてる(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)森のエビフライが作られるのは秋
森のエビフライはいつでも見られるわけではありません。魚が季節によって食べるエサに違いがあるように、リスにも松ぼっくりを好んで食べる時期があるようです。筆者が見つけたことがある季節は秋、9月~11月ぐらいです。この頃には松の下に作られたばかりの新鮮な「森のエビフライ」があります。
冬はむきエビに?
秋以外でも見つけられますが、冬を越すと雪や湿気による劣化で、尻尾部分が潰れて「むきエビ」状態になってしまっているものが多いです。
見つけるコツ
森のエビフライを見つけるコツは、一つのマツの下を少し探して見つからなければ、次のマツへ移動することです。なぜかというと大抵の場合、同じ場所にまとまって落ちているからです。
写真のようにある場所にはたくさんエビフライが落ちており、無い場所には全然ありません。今回は11月頃に道路上にあった森のエビフライを拾って保存し、7月に使用しました。
ジグヘッドに付けてみる
釣りに使ってみようと思い、ジグヘッドのフックをエビフライの真ん中辺りに刺してみますが、5分ほど格闘してもフックが全然入っていきません。フックを真ん中に通すのは諦め、貫通させる長さが短くなる尻尾の付け根部分であればフックが貫通しそうだと思い、そこへフックを刺すことにします。
エビフライリグ……?(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)割れないように少しずつフックを押し込み、なんとか貫通させることができました。尻尾付け根の部分しか貫通できなかったので固定するために、エビフライの頭部分と尻尾部分にナイロンラインを縛り付けて固定します。
甲殻類系ワームみたい?
こうしてジグヘッドに取り付けるとキジハタ狙いに使用する甲殻類系ワームに見えないこともないです。取り付けることができました。いよいよ実釣します。
いよいよ実釣
キジハタなら釣れるのではと思い、新潟でのキジハタ最盛期7月の岩礁帯で挑戦します。試しに早速キャストしてみると、森のエビフライ自体が軽いため風の影響を受けやすく、飛距離は伸びません。恐らくワームを使った場合と比べると飛距離は落ちていますが、20mは飛んでいるので使えそうな手応え。
リフト&フォールで狙う
大きいカーリーテールのワームを使っているとテールが動いている巻きごたえが多少ありますが、森のエビフライでは尻尾部分が水を受けているような抵抗感や振動は手元に伝わってこず、スーッとした巻きごたえとフォールの感覚。
使用感的にただ巻きではアピール力が無いと思われるので、甲殻類が跳ねて動いているように見せるためにリフト&フォールで攻めることにします。
本命キジハタが釣れた!
キャスト2投目、すでにフォール中にラインにアタリらしき反応アリ! だが魚が小さすぎるのかヒットはせず。開始早々アタックがあり、興奮が抑えきれません! 何度かキャスト・アクションさせていると、再び根掛かりではない反応が。
これは釣れるかもしれないと思いながらキャストし、着水後そのままフォールさせている最中にヒット! サイズは大きくなさそうだが、しっかりと合わせてフッキング。慎重に回収してくると20cmほどのキジハタ! 森のエビフライで釣れました!
釣れるんだ……?(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)フォール中にヒットしたためか、フックが下顎に貫通しており、「釣った」というより「釣れた」と言ったほうが正しいかもしれません。が、それでも正真正銘「森のエビフライ」で釣りあげたキジハタ!
釣れてきてくれてありがとう! という思いと、これで釣れちゃうのかよ! という思いが入り混じりましたが、釣れたのでとにかく嬉しい!
ルアー変更でキジハタにカサゴ
釣り上げた後、サイズアップを目標にキャストし続けますが反応は一切ナシ。30分間森のエビフライには無反応だったのでルアーチェンジをします。同じグラム数のジグヘッドにカーリーテールのワームをつけたものにチェンジすると即キジハタがヒット!
ワームは即ヒット(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)さらにスピンテールジグに変更し、キャスティングするとこちらもすぐにキジハタがヒット。
他のルアーに変えると連発ヒット。カサゴもヒットしました。
カサゴもヒット(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)他のルアーではこんなに釣れるのに、なぜ「森のエビフライ」では反応がなくなったのでしょうか?
スピンテールにも(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)水につけると笠が閉じてしまう!
ここで使用していた森のエビフライを見てみます。尻尾部分が完全に閉じていてむきエビのような状態になっています。簡単に言うとこれは松ぼっくりの特性によるもので、乾燥していると笠の部分が開き、水分があると笠が閉じます。
しっぽが閉じてしまう(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)後日海水に浸けてみましたが、10分程経過すると同じように尻尾部分がほとんど閉じてしまいました。
参考URL:「松ぼっくりがあったとさ | 科学コミュニケーターブログ」
尻尾閉じると釣れない
この特性によって尻尾が閉じ、ルアーとしてのアピール力が減ってしまったようです。改めて釣れたときのキジハタの写真を見てみると尻尾部分が閉じ始めているが完全に閉じたわけではなく、まだ開いています。
この後、使用を続けていると何の反応も無くなりました。操作感に違いはないですが、どうやら尻尾部分が開いているとシルエットや波動が出てアピール力があるようです。
濡れると色味も変わる
もう一つ原因として考えられるのは、濡れてエビフライ全体の色が深い焦げ茶色になること。関係ないかもしれませんが、この日のキジハタには魅力的に見えなかったようです。
濡れると色もかわる(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)10分限定ルアー?
ちなみに釣行から帰り、1日乾燥させると再び尻尾部分が復活しました。森のエビフライは使えてもアピール力は10分ほどしか持続しないようです。魚を釣ることができましたが、自然が生み出した天然ルアーは、自然素材ならではの弱点を併せ持っていました。
また、普段利用している市販のルアーの凄さもあらためて実感できました。
まだ開いてるエビフライ(提供:TSURINEWSライター・ハマゴウ)この記事の着想
今回はなぜ森のエビフライでキジハタをターゲットにしたのかというと、満たしてほしい条件を3つ満たしていたからです。
1点目はキジハタの性質的に上から落ちてくるものに興味を示すこと、2点目は大きな口で森のエビフライを飲み込める点、3点目は釣り場にある程度数がいて、釣れることが期待できる魚。この3つを満たしていたキジハタをターゲットに選びました。
YouTubeから影響
また、この企画の着想を得たきっかけは、フリーライター・生物ハンターとして活動している平坂寛さんのYouTube動画「タフグミでマグロを釣る」や、「釣りのエサなんて『タフグミ』でいいんだよ【グミで鯛を釣る】」でした。
特に、「タフグミでマグロを釣る」の後半部分で平坂寛さんが話されていた、「皆さんもグミで、髪の毛で、あるいは他のあっと驚くようなもので魚を釣ってみてはいかがでしょうか」という言葉に触発されて計画を練り、キジハタを釣ることができました。
この記事を読んだ皆さんも森のエビフライや、あっと驚くようなものを日常生活や旅行・アウトドアの最中に見つけ出し、魚を狙ってみてはいかがでしょうか。
<ハマゴウ/TSURINEWSライター>


