『山奥の池に潜む正体不明の巨大魚を狙う』。令和の日本にもこんな心踊る釣りがまだある。夏の楽しみの1つとして毎年恒例にしている大鳥池のタキタロウ釣行に今年も行ってきた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター夏野)
スーパーボール仕掛け?
タキタロウは30~40mの深場に潜んでいるとされている為、岸から離れた水深あるポイントを狙いたいのだが、大鳥池はボート禁止なので沖を直接狙うことはできない。そこで駄菓子屋で見つけたスーパーボールをオモリ兼ウキとして用いたキャスティングで出来るだけ岸から離れた深場を狙う作戦を考えた。スーパーボールは重量もほどほどにあり、水にも浮き、何より安い(ありがたい)。
エサは岸際にいるアブラハヤ。これを使った泳がせ釣りをまずは試してみる事にした。ポイントは昔タキタロウらしき巨大魚が捕獲されたという東沢のインレットの急深になっている辺り。頭の中で考えただけで上手くいくか全くわからない様な思い付きの作戦だが、今年もタキタロウにチャレンジ開始だ。
まさかのヒット到来!
HITをただ待っているだけでは暇なので木陰で本を読みながら待つことにした。スーパーボールを時々横目で観察しているつもりだったが、いつの間にか本に没頭していたようだ。周囲は日が傾き夕まずめを迎えていた。ここでようやくスーパーボールの動きが何やらおかしい事に気がついた。この日、湖面にはごく僅かだが岸に向かう風が吹いており、仕掛けは少しずつ手前方向に流されていた。
……はずなのだか、今はスーパーボールがゆっくりと逆方向の沖に向かって進んでいる様に見える。「目の錯覚か?」と思った瞬間、今度はスーパーボールが沈み始めた。「何かがかかってる!!」
34cmイワナが登場!(提供:TSURINEWSライター夏野)今回使っているスーパーボールは重さのある大きめのサイズ。これを沈めるのはそれなりにパワーのある魚だ。慌てて握った竿から十分な手ごたえが感じられ、一気に期待が高まる。
なかなかのファイトの末、上がってきたのは34cmのイワナだった。「本当に釣れるじゃん!」ほとんど思いつきに近い作戦が成功し、実際に尺上サイズの魚が釣れたのだ。これで俄然面白くなってきた。
大物がヒット!
更なる大物を狙って再び泳がせ釣りを開始。針に先ほどより大きめサイズのアブラハヤをつけた。すると着水直後に勢いよくラインが出始めた。間違いなく何かが食いついている。だがまだエサを咥えているだけのはずだ。ここは焦らずしっかりとエサを食うまで糸を送りこむ。ゆっくり30ほどカウントしてからベールを返すと同時に竿を大きく煽って一気にフッキングをかけた。「重い!」
さっきの尺上イワナとは明らかに重みの違う手ごたえが伝わってきた。さっきは鳴らなかったドラグが鳴り始め、慌てて締め直す。魚は逃れようと勢いよく左右に走りまわっている。「かかった時のイワナってこんな動きしたかな?」そんな事を思った瞬間、竿が急に軽くなった。仕掛けを巻き上げてみると、アブラハヤは針についたままだったが、下半分には齧られた跡がはっきりと残っていた。
来年もタキタロウを狙う
フッキングのタイミングを間違え逃してしまったが、もしそれが無くてもあのまま最後まで釣りあげられたかについては自分の中で疑問が残っている。今回は携行の利便性と荷物の軽量化から短く柔らかいパックロッドを選んだが、最後は明らかにパワー負けしていたのだ。また短竿では遠投の飛距離も思ったほど伸びなかったが、もう少し沖までキャスティング出来ればさらにチャンスが広がると思う。
今回の最大サイズは36cm(提供:TSURINEWSライター夏野)最後にかかった魚が何だったのかはわからないままだが、これまで大鳥池で釣ったどの魚よりも重く強い手ごたえだったのは確かだ。もしかしたらタキタロウに少しだけ近づいた瞬間だったのかもしれない。また1年かけてあれこれ考えながら攻略法を模索するのだ。仕掛けを改良して道具も買い揃えよう。謎の巨大魚タキタロウへの興味関心は増すばかりである。来年の夏が今から楽しみだ。
<夏野/TSURINEWSライター>
大鳥池

