今年も春がやってくる。雪化粧の山々に日ごとに茶の色が増してきて、野山のあちこちが白やピンクに彩られる。薄桃色の桜がまぶしい新緑に代わるころには、流れの中は全盛期を迎え、渓魚たちは腹いっぱいにエサを食(は)む。そんな季節はもうすぐだ。仕掛けを結ぶ手を休めてしばしお付き合い願いたい。
河川の変化
夏から初秋にかけて、フィールドで10cm程度のコッパアマゴがうるさいくらいにエサに反応する経験は誰にでもあると思う。あれだけいたはずの新子たちは翌年どこへ行ってしまうのだろう。また、数年前までどこの川の脇にでも群れていたアブラハヤやカワムツたちの姿も心なしか減っている気がする。この原因はいったいどこにあるのだろうか。
地球温暖化が叫ばれて久しい。私のホームグラウンドの長良川では、雪代らしきものはほとんどなくなったという認識だ。ここ数年、3月の大雨が山の雪を一気に溶かしてしまうからだと考えている。梅雨らしい梅雨もない…、かと思うと一点集中でとんでもない豪雨‥。
これらを耳にし、目にするたびに、何ともどんよりとした気持ちになってしまう釣り人は私だけではないはずだ。
気象変動までコントロールするのはもちろん不可能だが、1人1人が環境を守るための小さな努力をしていくことは可能なはずだ。
美しい自然環境
私たち釣りファンは、釣れる魚があって初めてその釣趣を満たし、またその川へ回帰する。種々のストレスや都会の喧騒から逃げるために山へ向かうのだ。アマゴのいない川、ゴミがあふれたフィールドでは心も体も癒やされるはずがない。
「魚がいる、美しい自然環境を守ろう。」毎年申し上げていることだが、今こそこの思いを全ての釣り人が心に強く刻んでもらいたい。そういう気持ちでフィールドに立ち、いいアマゴに会い、未来への活力としてもらいたい。
1人でも多くの読者諸兄が2019年を良い釣りで終われることを祈念している。
<週刊つりニュース中部版 冨田 真規/TSURINEWS編>