スルメイカ釣りで好釣果を得たいと思うと、シャクリなどの誘い方に意識が行きがち。しかし、小細工よりも釣り全体の効率を上げ、バラシを減らすことが重要だと唱える船長もいる。今回、三重県鳥羽沖での実釣を通し、押さえるべき要点を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
ブランコ仕掛けにスルメ
黒川さんと浦野さんは、坂口船長の号令とともに250号のオモリを着けた直結のプラヅノ仕掛けを投入。魚探を見つめる船長から「210mから170mまでを探ってください」と指示が飛び、各人が探っていくと幸先良くスルメイカが上がり始めた。ひと流し目はブランコ仕掛けの人によく当たった。
直結とブランコの使い分け
この釣りでは、直結仕掛けとブランコ仕掛けが使い分けられる。前者はトラブルが少なく誘いやアタリもダイレクトで、マシーンのようにイカを釣りまくるのに適する。反面テンションが抜けるとイカがバレやすいのが弱点。どちらかと言うと慣れた人向けの仕掛けだ。
当日使用した直結仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)一方、ブランコ仕掛けはサビキ仕掛けのように枝スを介してプラヅノが複数本接続されたもの。プラヅノの動きに自由度があるぶん、よくアクションし掛かったイカがバレにくいのが強み。ビギナーにはこの仕掛けを勧める船長も多い。
最初はハリ数控えめで
なお、いずれもプラヅノの数は7~15本だが、ハリ数が多いほど仕掛け絡みのリスクが高まる。慣れないうちは7本バリを選択しよう。
ブランコ仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)スルメ4連掛けを達成!
次の流しで浦野さんのサオが大きく曲がった。追加で乗ってきているようでサオの曲がりが増す。仕掛けの上端が見え、まず1匹、続いて2匹、海中にはまだまだスルメイカの姿が見える。朝一番から見事4連達成となった。
朝イチから4連が決まった(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)浦野さんのサオはよく曲がり込む胴調子の1.8m。曲がりがあるぶんしっかりプラヅノが動くようキビキビとしたシャクリで攻めていた。
シャクリ方
シャクリの加減はイカの活性や使っている道具によっても変わるが、大切なのはシャクリ終えた後プラヅノがバックしないように誘うこと。スルメイカは一方通行で上昇していくアクションを好むと言われる。
このため、シャクリの合間にイトフケが出ないよう操作する。仕掛けが勝手に上下しやすい波の高い日に、この動きを確実にこなすためにも、負荷がゆるんだ瞬間に素早くイトを巻き取れるパワフルな電動リールが必要だ。
ウネリには胴調子の竿
その後の流しでも単発またはダブルで浦野さんはコンスタントに釣果を追加していく。まだ前夜のウネリが残っており、船がせわしなく揺れる。このような条件下、胴調子の浦野さんのサオが誘いとやり取りの面で貢献しているようだ。
波があるなか胴調子のサオが奏功(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)イカの活性ごとの攻略法
海域やイカの活性によって変わるが、キビキビとメリハリをつけてシャクった方が良い場合と、サオを斜め下に向け、リールを巻きながらサオの胴でグイグイグイとじわじわシャクった方が良い場合がある。
2枚潮や3枚潮の状況では、ミチイトにたわみが生じる。このようなときはキビキビしたシャクリのほうがプラヅノがしっかり動く。
一方で、オーバーアクションの誘いをイカが好まないときもある。この場合は、胴でグイグイとシャクったほうが良い。過去の経験にとらわれず、自分の釣果や人の釣果を見ながらどちらが正解かを見極めよう。
なお、坂口船長の話では、近年の鳥羽沖ではグイグイとサオの胴でシャクるほうが好釣果が出ているとのことだ。
胴に乗せてシャクるときのフォーム(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)バラシを減らす工夫
波の高い日に気に掛けたいのがバラシ防止を意識したやり取り。特に直結仕掛けを使っているときは要注意。
バラシを減らすためには、柔軟性のあるサオを使うことや、キーパーにサオを固定せず、腰溜め&両手でサオを操作し、テンションの変動を自分の腕で是正すること。そして、船の急激な下降でも張力が抜けないよう、パワフルなリールにグリグリ巻かせることだ。
バッテリー性能も重要
ちなみに、電動リールのモーターの瞬発力を高めてくれるのが、リチウムタイプのバッテリー。上位機種の電動リールは極めて高性能なモーターを搭載しているが、そのぶん求める電力量も大きく、本来の性能を発揮させるには、高電圧を維持できる持久力に秀でたバッテリーが欠かせない。
波が高い日はやり取りに注意(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)

