サメ映画をこよなく愛する【日本サメ映画学会】とは? 顧問と会長にインタビューしてみた

サメ映画をこよなく愛する【日本サメ映画学会】とは? 顧問と会長にインタビューしてみた

映画のジャンルは多彩ですが、「サメ映画」をご存じでしょうか?身近な恐怖を描くパニック映画にこそ魅力があると筆者は考えます。今回は『ジョーズ』『ディープ・ブルー』を語り尽くす「日本サメ映画学会」の実態に迫り、顧問・中野ダンキチさんと会長・サメ映画ルーキーさんに話を聞きました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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サカナト編集部

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サメ映画の魅力とは?

───私自身もサメ映画は好きですが、サメ映画にはそのジャンル独特の文化色が強いように感じます。見ない人は本当に見ないまま一生終えてしまうようなニッチなジャンルの作品だと私は思っているのですが、お二人がサメ映画に感じている魅力を教えてください。

サメ映画ルーキー:やっぱり自由なところですよね。でも完全に自由なわけじゃなくて、「サメを出す」っていう1つの縛りがある中で、新しいことだったり自分の好きなことだったりをやってる作品が多いので、作り手の意志が見えやすいんです。

「この人はこういうの作りたかったんだな」っていうのが伝わるのが僕は1番グッとくるので、単純に映像表現やストーリーが優れているものよりは、その作り手の痕跡みたいなのが逆にありありと見えてくるもの。その部分が魅力の一つなんじゃないかなっていう風に思いますね。

観客の“懐の深さ”とサメ映画の寛容さ

───中野さんはいかがですか。

中野:ちょっと話がずれるかもしれないんですけど、サメ映画のイベントに来てくださるお客さんがすごい独特なところかもしれません。

特に我々がルーキーさんと一緒にやってるような上映会なんかだと、 お客さんも優しい人が多いんですよね。なんか我々も上映始まる前に「作品がどんなものであれ、怒ったら負けだ」とかって絶対言うんですけど、それを理解した上で結構来てくださる方がすごく多くて。

サメ映画をこよなく愛する【日本サメ映画学会】とは? 顧問と会長にインタビューしてみたサメ映画上映会の様子(提供:中野ダンキチ)

中野:ですから、その懐の深さみたいなのを感じさせてくれる作品があるっていうのが、唯一無二のジャンルかもしれないと感じます。 サメ映画って排他的な雰囲気が全然ないように感じます。もう、ホントになんでもありです。

サメ映画は自由な方が面白い

最近はサメ映画でも、全部笑える方向に持っていくような映画の方がむしろ多かったりもするんです。そういう多様性を受け入れられる作り手やファンの人がいて、全て受け止めるサメっていう存在があるっていうのがすごくいいです。それもサメですから、誰も傷つかないっていうのがまたいいですよね。

それでいて、出てくれば一目でサメとわかるっていうのがすごく良い。背びれの三角形の印が、海面にバーっと来るだけで、「あ、サメが出てきた」っていう、そのわかりやすさもいいですよね。

───サメ映画はやっぱり自由な方が面白いですか。

中野:うん、そうですよ。自由な方がいいですよね。もうあらゆる可能性にチャレンジしてもらいたいです。

───頭が3つになっても……下半身がサメじゃなくてもですか?(笑)

中野:えぇもう!頭なんて1000までやってほしいですよ!!

サメ映画学会が目指すこと

───今後のお二人の目標であったりとか、将来取り組んでいきたいイベントの形であったりとかありましたら、教えてください。

サメ映画ルーキー:そうですね。最近は頑張ってサメ映画の統計(データ)を取っているんです。

作品を見てストップウォッチを持って、サメが何分出るかとか何匹出るかとかっていうデータを集めてる段階なんですけど、それが結構途方もないのでみんなで手分けしてやってるんですけど、まずはそのデータ収集を終わらせたいです。

サメ映画の総数って?

───結構途方もない作業じゃないですね。今この世にサメ映画って何作品ぐらいあるんですか?

サメ映画ルーキー:今大体200本ちょっとぐらいですかね。

───もっと1万とか2万とかあるのかと思ってました!意外に少ないんですね。

サメ映画ルーキー:実はそうなんです。ゾンビ映画は本当にそれぐらいある気はします。 そう考えるとサメ映画はそんなに多くはないんですけど、大体年に10本以上リリースされているので、 数としては多い方なんじゃないかなという気がします。

中野さんの配給視点と若い観客層

───中野さんの方は何かありますか。

中野:私はちょっとね、配給会社の事業にまわってしまって、最近実はあまりサメ映画が見られてないんですよ。特に大手や中堅会社さんのサメ映画ってあんまり見られてないのですが、皆さんに見ていただけるサメ映画を1本でも増やしたいです。

サメ映画のイベントをやると、来てくださる方の年齢層が、大体20代、30代の方がメインだったりするので、すごく若いんです。楽しんでいただける方にどんどん入ってきてもらったらいいんじゃないかなっていうのはありますよね。

意外とクレームは少ない

映画館の人にも、いつもそれは驚かれるんです。「サメっていつもこんな感じなんですか!?」って。こっちが聞きたいよって話です(笑)。

───それは別に理由が判明している訳ではないんですね。

中野:なんででしょうね。でもね、やっぱり皆さんサメ映画ルーキーさんのXでの投稿だったりを見ていらっしゃる方が圧倒的に多いです。

ですから、皆さん結構そうやって劇場に来たら「サメ映画がなんたるか」みたいなものをわかってらっしゃる方が多いので、どんなひどい作品でもクレームいただいたことはほぼないですね。劇場の方にも、「なんかサメ映画のお客さん、いいお客さん多くてあったかいですよね」って言われてます。

読者へのメッセージ

───では最後に、無茶振りで大変申し訳ないんですが、このインタビューを読んでいる読者にお2人から一言ずつコメントをお願いします。

中野:フィクションとしてのサメ映画を楽しんでいただいて、本物のサメとは別物として楽しんでいただく。サメ映画に関しては、面白かったり怖かったりっていう体験もできるので、「どっちもいいもんだ」って感じて、楽しんでいただければいいんじゃないかなっていう風に思います!

サメ映画ルーキー:「こういう風にサメを捉えてる人間がいるんだ」っていう発見もあると思うので、楽しみ方の1つとして見ていただければいいなっていう風に思います。

インタビューを終えて

私は幼少期から水族館が好きで、サメを好きになったという経緯があります。幼いころは特に、生きている、動いているサメが大好きでした。

そんな中で、水族館より身近にサメを感じることができるものはなんだろう……と考えた時に最初に思いついたのが「サメ映画」でした。単純に映画としても楽しめるサメ映画は、特に魅力的なジャンルの作品に感じていました。

本物の生きているサメとは別物として考えても、作中で忠実にサメが描写されていればそれはそれで素晴らしいと思いますし、一方で3個頭があるサメやトルネードに乗って飛んでくるサメといったサメ映画も、それはそれで直感的に面白いと感じます。

今回のインタビューでは、そんな「サメ映画」という異彩を放つジャンルの知られざる魅力に触れることができました。

<しょうじ/サカナトライター>

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