映画のジャンルは多彩ですが、「サメ映画」をご存じでしょうか?身近な恐怖を描くパニック映画にこそ魅力があると筆者は考えます。今回は『ジョーズ』『ディープ・ブルー』を語り尽くす「日本サメ映画学会」の実態に迫り、顧問・中野ダンキチさんと会長・サメ映画ルーキーさんに話を聞きました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
中野さんの初サメ映画
───この流れで、お二人の「人生最初に見たサメ映画」の話と「今1番好きなサメ映画」の話をお伺いしたいです!
中野:私は1番最初に見たのは『ジョーズ’87復讐編』というやつです。
───普通のジョーズではなくて、復讐編なんですね。
中野:ええ、これはいわゆる『ジョーズ4』ってやつですね。多分、14歳くらいの時に映画館で初めて見たのがこれでしたね。
でも、その時は別にサメが出ているからどうってことはなかったです。怖いなぁと思いながら普通に見てました。当時はなんにも考えず見てたんですが、今歳を取ってこれを見ると、確かにツッコミどころはあって、ジョーズの1作目とは違うなっていう風に思ったりもしてます。
見に行ったきっかけ
───ちなみに『ジョーズ’87復讐編』は見に行った理由があったんでしょうか?
中野:映画館の関係者の友人からタダ券をもらったんです(笑)
「チケット手に入ったんだけど行かないか」って言われて、なんとなく見たのがジョーズでした。
───ジョーズ1作目はその頃にご覧になっていたんですか?
中野:テレビで多分1、2回は見てたと思います。当時は多分怖がってて、何なら「怖いな」ぐらいしか印象がなかったはずなんですよね。「サメそろそろ出てくるかも」って怖がってたような気はします。
中野さんの好きなサメ映画
中野:一番好きな作品はもう圧倒的に私は『シャークネード(原題:Sharknado)』です! あれが出てきた時にはもうびっくらこいたっていうことですよ。
サメが空から飛んでくるっていうのもそうなんですけど、シリーズを追うごとにどんどん世界観とぶっ飛び具合が広がっていって。でもよく見ると、いろんな小ネタが仕込んであるんです。
もう、それを見つけるのが楽しくてしょうがなくて。こんな人も出てたんだ、あんなネタも入ってたんだっていうのが、探すのがすごい楽しかったんです。
本国アメリカの方に行って、ロケ地巡りもしているくらいですから。それぐらい思い入れのある作品です。
ルーキーさんの初サメ映画
サメ映画ルーキー:僕は多分、世代的には一番最初に見た作品は『ディープ・ブルー(原題:Deep Blue Sea)』だと思うんですけど、サメ映画として認識して見ていたわけではなかったはずです。
「こういうのがあるんだ」っていう意味で、一番最初にぶち当たったサメ映画は『シャーケンシュタイン』っていう作品でした。日本の権利元が変わったので、その当時は『フランケンジョーズ』っていうタイトルで配信されていました。
たまたま映画のサブスクの見放題作品リストにジャケットが上がってきて、その当時からジャケットのインパクトがすごく強かったので目を引きました。
意味が分からないのに惹かれた
その映画のタイトルを見て、「意味はわかるんだけど、こんな作品を撮る意味がわからない」という部分があったので、じゃあとりあえず見てみようかなと思って見たら、やっぱりすごくて。
普段自分が映画館とかで見られないような表現がたくさんあって、「こんなに自由に映画を作ってる人たちがいるんだ」っていう驚きがありました。
世界の広がりを知った衝撃
しかもそういう作品って1本じゃなくて、1回見るとおすすめ欄に何本も何本も出てくるわけですよ。それを見て、「こんなもの好き好きな人たちがいるんだ」と衝撃を受けました。
作品としてもインパクトは強かったですし、その背後に広がってるその世界の広さを教えてくれたという意味で、印象が強いですね。
ルーキーさんの好きなサメ映画
サメ映画ルーキー:で、1番好きな映画ですよね……。結構時期によって変わるんですけど、今1番好きなのはドイツで作られた自主映画の『シャーキュラ 吸血鮫(原題:Sharkula)』っていう作品です。
この作品は、みんなでサメ映画メーカーのリストを作ってく過程で、タイトルやジャケットだけは出てくるんだけど、一体どんな映画なのか調べても一向にわからない作品のひとつだったんです。どうにかして見られないか、何年間か探した結果、ようやくこの映画の監督の連絡先がわかって。
で、監督にメールをして、監督が自分でやいて作ったDVDを手に入れました。それをなんか見られた時の喜びと、その中身が期待以上だったっていう感動がありました。
自主制作ならではの味わい
自主制作って、「やりたいことは伝わるけど、お金や人の関係でできないことがあったんだろうな」っていうのがあると思うんですけど、 もうまさにそんな作品でした。やっぱり時代は手作りだよなって感じさせる作品で。
だから1番好きな作品というテーマから逸れるかもしれないけど、作品を見つける楽しさもサメ映画にはあるので。自分の探究欲を満たしてくれた1本が、「シャーキュラ」っていう作品なので、そういう意味では今1番好きです。
───なるほど。監督さんにご連絡できたのはいつ頃のお話なんですか?
サメ映画ルーキー:最初に連絡できたのが3、4年前だったと思います。で、その時はまだ「シャーキュラ」のDVDを出していなかったんです。なので監督に「もしDVDを出したら送ってくれ!」って言ってあって。
そこから2年後ぐらいに、その監督のSNSで「DVD焼きました」っていう報告が上がっているのを発見して、改めて連絡をしたら快く送ってくれたんです。
人とのつながりで観れた作品
───そうだったんですね。人の繋がりみたいなのもないと見れない作品もあるってことですね。
サメ映画ルーキー:そうですね。本当に自主制作の作品って、 監督本人に聞かないと、ディスクだったりその映像そのものが手に入らないケースもあります。
例えば、ダンキチさんの会社で配給しているスウェーデンの作品に『えっ?サメ男』っていうのがあるんですけど、それも版権元をみんなで探してた時期がありました。 監督のホームページがあるのが判明して、監督と連絡もとれて、ついでに配給権まで買えたってケースですね。
手作りサメ映画への強い思い
───サメ映画ルーキーさんはCGで作られた作品よりも、個人制作の手作り感のある方が好きっていう感覚があるんでしょうか。
サメ映画ルーキー:僕個人はそうですね。CGはCGで面白い作品はあるんですけど、やっぱり「これ頑張って作ったんだな」っていうのを見たい気持ちがあるんです。
サメよりも後の話なんですが、僕は特撮も好きなので、その特撮の着ぐるみだったりを思わせる部分が強い作品だとより好きになりがちですね。

配給会社との関わり
───そういう意味では、中野さんが運営してらっしゃる配給会社NISIKURA-EXとも関係が深いですね。
中野:メインで取り扱っているのは自主制作作品ではないんですよね。何を持ってしてプロかっていうのが非常に微妙な定義にはなりますが。
一応プロの方や映像作家の方が作ってらっしゃる作品の方が多いですよね。うんうん。