一時期のブームは去ったが、まだまだ人気の海上釣り堀。だが、ここ数年気候変動や平均水温の上昇、放流量の減少などもあり思うような釣果を上げられない人も多いと思う。ファミリーやカップルで気楽に楽しめる海上釣り堀だが、シビアになりつつあるのも事実。そこで今回はそんなシビアな釣り堀攻略の裏技を解説したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

釣り場に着いた時からが釣り
前述の通り、この時期の釣り堀は非常にシビアであることが多い。イケスの中の魚もシビアで、朝一のチャンスタイムですら、アタリが出ないこともある。
ではどうすれば貴重な1匹を手にできるのか。まず船で渡る釣り堀にしろ、桟橋続きの釣り堀にしろ、釣具をかついでイケスに渡った時点ですでに釣りが始まっていると考えよう。
まず水際に立たないこと。「魚がいるかな……」とのぞき込むのはもってのほか。こちらから魚が見えれば、向こうからもこちらが見えている。これで一気に警戒心が高くなるのだ。準備はなるべく水際から離れて行うようにしたい。

もし後ろにスペースがなければ、なるべく立たないようにする。水面に影を落とさないようにするのだ。もちろん釣っているときは、なるべく立たず座ったままが理想。足元に魚が固まっていた場合、立った瞬間に影を落としてしまうからだ。
また移動するときも、なるべく足音を立てないようにする。水の中は思った以上に音が伝わるので、イケスの上をドタドタ歩くだけでも魚の警戒心を高めていると考えよう。抜き足差し足で魚に気配を悟られないように忍び寄り、警戒心を与えないように軽い仕掛けでそっとアプローチする。まさに忍者釣法だ。
貸切と乗合
釣り堀は貸切と乗合に分かれている。貸切は仲間同士6〜8人で1つのイケスを貸し切り、他に気を使わずのんびり楽しめる。乗合は1つのイケスで、他の釣り人と一緒に釣りをする。少人数での釣行は、ほぼこの乗合になることが多い。
忍者釣法をするなら、断然貸切が有利。全員で息を合わせて、静かにイケスの魚にアプローチしたい。

乗合であれば、なかなかこうはいかない。アングラーそれぞれの考えがあり、それぞれの釣り方がある。だが考え方を変えれば、例えば他の釣り人がイケスをのぞき込み、音を立てながら釣りをしていたとしたら、静かにそっと釣っている自分の前に魚が集まりやすい……とも考えられるのだ。
もちろん警戒心が高まっているので、簡単に釣ることはできないだろうが、少なくともチャンスは増えると前向きに捉えたい。
場を休ませよう
また、これは貸切でしかできないことだが、一定の時間一切の仕掛けを上げて水際から釣り人が姿を消すというもの。
決して安くはない料金を払って釣りをする以上、実行するのはなかなか勇気がいるが、人の気配を一切断ったイケスでは一気に魚が浮くことが多い。

実際乗合イケスで終了時間がきて釣り人が続々と引き上げていくと、それまで姿を見せなかった青物やシマアジが、悠々と表層を回遊するようになる。その下にはマダイも警戒心を解いて泳ぎ回るようになる。そしてイケスに近寄ると、慌てて姿を消してしまう。

これを見ると、人が接近すること自体がいかに魚にプレッシャーを与えることになるか、よく分かる。よって貸切イケスで全員が釣りをやめ、サオを引っ込めて休憩スペースで30分〜1時間ほどイケス全体を休ませると、それだけで魚の警戒心が解けてバタバタッと釣れることが多い。
もちろん釣りを再開するときも、なるべく音を立てず人影を水面に映さないように気をつけるようにしよう。
バラシは禁物
いうまでもないが、バラシはその場にいる魚の活性を一気に下げてしまう。放流後や朝一の高活性時は多少バラしても次々アタリが出るが、渋いときのバラシは致命傷になりかねない。

リールのドラグは事前に調整しておき、無理なやり取りは避けるようにしたい。