長く釣りをしていると突然正体不明の魚に糸を切られた、そんな経験があると思う。私も先日近所の海へ小物釣りに出かけた際に思わぬ大物に遭遇した。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター夏野)
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針やエサ付け方を微調整
どうやらヤツは仕掛けと餌がよく見えているようだ。警戒心の強い魚に対しては糸を細く、針も小さいサイズに変更するのがセオリー。ついでに餌も小さくつけて一口で食わせてしまうことにした。
これなら口元に掛からなくても釣れる可能性は上がるだろう。飲み込まれても針外しで取れば良いし、万が一弱らせてしまったら持ち帰って晩御飯のおかずにすればいい。しかしこの作戦にも幾つか欠点がある。
欠点
欠点その1は『針も餌も小さいので餌取りたちが今まで以上に釣れてしまう』だ。ヤツが来る前に小魚が掛かりすぎてしまう。そこで離れたところに撒き餌を打ち小魚をそちらに寄せてから、その隙に仕掛けを沈めることにした。
ついに針掛かりするもバラシ
辛抱強く待つことさらに20分、またまた大きく竿が曲がった。「ヨシッ!」今度はしっかりと手応えを感じる。ついにヤツをかけたのだ。それにしても強い引きだ、元々柔らかい筏竿だが根元近くから曲がっている。
魚は下へ下へとどんどん仕掛けを引き込んでゆく。ドラグ調整と竿さばきでどうにかしのいでいたが、急に手応えが無くなった。作戦の欠点その2『細い糸は切られる可能性あり』である。
オリジナル仕掛けを自作
巻き上げた仕掛けを見ると道糸とハリスの結束部から切れていた。どうやら0.8号の糸ではヤツの引きと重さに耐えられないらしい。そこで針も糸も元の2号に戻しつつ、仕掛けを工夫してみることにした。

餌の中の針のない部分だけを狙って食べるなら餌の中を全て針にしてみれば釣れるんじゃない?というその場の思いつきで図のような仕掛けを試してみることにした。
エサだけ取られる
しばらくすると餌取りの小さいアタリの中に時々強いアタリが混じるようになった。間違いなくヤツだ。が、今までのようにいきなり大きくは引き込まない。どうやらこの変な仕掛けをかなり警戒しているようだ、さすがエリート。
それでも時々来る強めのアタリにタイミングを合わせるが、毎回しっかりと餌だけ取られてしまう、実に悔しい。それにしても隙間なく針が入っているのにどうやって餌だけ食っているんだろ?ヤツには手でも生えてるんじゃなかろうか。
犯人は誰だ?
ここで今までの状況からようやくヤツの正体を考えてみることにした。ターゲットを決めて釣り方を絞るのだ。実はここまで3時間もヤツと戦っている。もっと早く気付くべきである。
カワハギ?
ヤツは餌をとるのがうまい。また植物性より動物性の餌が好みのようで特にアサリに反応が良い。アサリ餌といえばカワハギだが、いきなり引き込む大きなアタリと糸が切られるほどの重さからは少々考えにくい。
シーバス?
次に気になるのは糸が切れた箇所。切れていたのは道糸とハリスの結束部だった。歯の鋭い魚がハリスを噛み切ったのではなく、引きの強さと自重で糸が引き千切られたのだ。ここらの海で強い引きと重さのある魚といえば最初に思いつくのはシーバスだが……。彼らアサリとか食いましたっけ??
目が良いサカナ
針のない箇所の餌を狙って食べたりと、目が良く警戒心が強い。針2個の変な仕掛けを試した時は目に見えて反応が変わった。ま、自分が魚でも警戒しそうなヤバい見た目の仕掛けではあるが……。
チヌが大本命
考察からヤツの正体をちょっと良いサイズのチヌと推測した。目が良く餌を取るのが上手い、警戒心が強いわりに何度も餌を食ってくるほど貪欲、引きは竿を大きく曲げるほど強く重い、総合的に考えておそらく間違いないだろう。
ただ雑食性なのにコーンだけ全く食べなかったのは少し気になるが、まぁ中には野菜嫌いのチヌもいるんだろう。
ついに掛けた!
仕掛けを元の1本針に戻し、餌に小さめのアサリを付ける。ついでに団子のサイズも少し小さめして投入。しばらく待っていると竿先に強めのアタリが出始めた。間違いない、ヤツが餌を突いている。
ここで合わせるとまた空振りするので、じっくりとチヌのタイミングで待つ。次に来た強めのアタリにわずかに糸を送り込んでから大きく合わせた。「ノった!」
慎重にやり取り
相変わらずすごい引きだ、またしても竿が満月に曲がっている。今度は完全に針がかりしているし、糸も2号の通しにしているので切れる心配はないが、何度も逃げられているので慎重にやり取りする。
いつもより弱めに設定したドラグで時間をかけながらゆっくりと巻き上げてゆく。格闘すること数分、ようやく魚体がぼんやりと見えてきた。「ん……??」