水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説

水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説

この記事を書いているのは、年末の12/26だ。有馬記念やクリスマスの興奮が冷めないうちに、年末最後(12/29)には、大井競馬場で東京大賞典という、競馬の大一番が控えている。毎年熱い激戦が繰り広げられるが、今年は、静かなミクロの世界を覗いて新年を迎えてみたいと思う。そう、目には見えない「バクテリア」についてだ。それも釣り場にも生息する、「鉄バクテリア」という不思議な生き物を紹介しよう。

千葉県のリアルタイム天気&風波情報

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

アバター画像
宮坂剛志

ボート、ウェーディングなしの100%陸っぱりアングラー!陸っぱりからのシーバスフィッシングの楽しさを追求して行きます!

×閉じる

お役立ち その他

鉄バクテリアとは

まず、筆者はその手の専門家ではないので、写真もそうだが、あくまで独自に調べたものを記事にしている。なので、足りない部分はあると思うが、その辺りはご了承いただきたい。

まずはこの不思議な生き物だが、水溶性の二価の鉄イオンや二価のマンガンイオンを酸化するバクテリア、いわゆる土壌生物だ。とはいえ、バクテリアなんて名前は付いていても、人間に害を与えるものではなく、全くの人畜無害。しかし、この鉄バクテリアは、油膜を張ったように見えたり、赤茶けたり、茶色の毒々しい堆積物などを残すのが特徴だ。

水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説赤茶けた跡もバクテリア(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

なので、初めて見ると間違いなく、油の流失事故だ!とか、環境汚染だ!と思ってしまう。しかし、実は土壌生物が起こす生物の神秘だったりするのだ。ちなみに、なぜ赤茶けたり油膜のように見えるかだが、二価の鉄イオンが酸化されて水酸化第二鉄が生成すると、赤褐色の沈殿物や、水面に油のような皮膜が発生するのだそうだ。

油の流失と鉄バクテリアの違い

では、この油膜のように見える鉄バクテリアと、本当の油の流失との違いを確認する簡単な方法を紹介しよう。まず、分かりやすいのは、臭いだ。油は独特の石油臭さがあるが、鉄バクテリアにはそれはない。

水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説村田川には鉄バクテリアが多い(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

そしてもう1つは、油膜のようなものを崩してみると、鉄バクテリアは形が戻らず崩れたままだが、油はそもそも形が崩れない。こんな方法で違いを確認できるなんて驚きだが、確かにやってみるとその通りになるから面白い。

生息環境と人との関わり

次に、この鉄バクテリアがどんな所にいるのかだが、これは普通の土壌に広く生息している。だが、面白いのは、地下水や河川水、井戸水に多く生息している所だ。そんな水が流れ出る自然豊かな釣り場でも実は観察できる。

水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説自然が残る村田川(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

特に筆者がシーバスを釣る、村田川の河川敷。詳しくは写真を見てもらいたいが、地下水や井戸水が豊富なようで、あちらこちらで油膜のようなものを確認できるし、赤茶けた錆びのようなコンクリート護岸もある。まさに鉄バクテリアの生息に適しているのだろう。身近にいるミクロな生物に驚きだ。

水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説村田川には鉄バクテリアが多い(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

鉄バクテリアの被害

さて、ここまで鉄バクテリアについて色々書いてきたが、実は人間の生活に被害を及ぼすこともある。それは、鉄製の配管やタンクが錆びてしまう事例だ。特に、井戸水が通る配管などに鉄バクテリアを含む水が流れると、漂っている鉄バクテリアが配管に付着し、増殖することで配管に穴をあけてしまうこともあるようだ。なんて悪い奴だ!と思うが、これも地球が生み出した奇跡なのだろう。

水辺の不思議な生き物『鉄バクテリア』って何? ミクロの世界を大きく解説地下水?などが多い河川敷(提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)

あまりというか、ほとんど聞き慣れないであろう鉄バクテリア。しかし、その正体は、知れば知るほどわからない、不思議な生き物であった。釣りに行くと、ついつい魚のことばかり考えてしまうが、たまにはこうして、自然環境の不思議な世界を覗き込むのも悪くない。

<宮坂剛志/TSURINEWSライター>

▼この釣り場について
村田川