「釣り好きに悪い奴はいない」という言葉がある。この箴言的なモンは筆者自身のことを当てはめて考えると即座に破綻するが、まあおおむね事実ではないかと思う。私の周りにいる釣り好きも大体いい奴らだ。ところが、釣り好きに「ほかの趣味は?」と聞いてみると、意外に「あれっ?」とびっくりする答えがくることも。今回は、釣り好きの趣味の多様性について、筆者の知るところから述べてみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
釣り好きに悪い人はいない?
釣り好きに悪い奴はいないというのは、まあ同じ趣味なので気が合うという贔屓目もかなりあると思うが、なんとなくそんな気がする。多くの経験則を集めた「ことわざ」に近いものがある。みなさんはどう思うだろう?釣り好きに悪い奴っていますか?(たぶんいますよね)
大体、釣り好きというのは、気立てがおおらかだったりするものだ。辛抱強く、どちらかというと寡黙だが、しゃべってみるとほがらか。
私の知る最愛の釣り好きは、信じがたいほどの元不良で、とある医療現場の長。一度「家庭の事情」で坊主にしたことがあり、酒飲み、当然喫煙者で、毎日近くの喫茶店で同じランチをうまいうまいと言って食べている、優しい男だ。基本的にろくでなしだが、好人物。この人を例にとって、「ほかの趣味って何?」的なことを深堀りし、あるいは敷衍して語ってみたいと思う。
ほかの趣味は何?
まず筆者自身のことだが、釣り以外に他の趣味といえば、うまいものを食べること、読書、人としゃべることだろうか。酒が飲めればもっと社交的な感じになるのかもしれないが、あまり多くは飲めないので、どちらかといえば控えめな人と見られているらしい。
上述の「ろくでなしさん」は、今は、釣りよりもゴルフになりつつあるらしい。主にはタイラバ、ジギングの釣り人で、私と同様に「エギングだけはわからない」と述べる(エギングアングラーの方、失礼なことを言います……)。ゴルフのほかにはギター、世界の酒と煙草をたしなみ、聞いたこともない外車歴の持ち主で、バイクも好き。「車好き」とは、他の釣り人とも通底しそうな趣味かもしれない。
ちなみに「ろくでなしさん」は、プリントTシャツを作って売る副業もしている。非常に面白い人だ。
魚が苦手な人に聞いてみた趣味
もちろん釣りをしない人、中には魚そのものが苦手な人もいる。私の周りには、こちらの「魚なんてめっそうもない」という人も集まりがち。「魚の顔が怖い」「目が怖い」「頭付きの刺身なんて絶対食えない!」とのこと。わからないでもない。
じゃあそんな人はどんな趣味があるのか。この人を例に取ろう。魚の顔、特に目が怖く、頭付きの刺身は絶対に食えないが、「おまえの話を聞いているとほんの少しだけ釣りしてみたい。絶対しないけど」と言う上司だ。この人の趣味は、音楽だ。古今東西の音楽が好きで、ドルオタという側面も持ち合わせている(ドルオタの点では私に影響を与えた人でもある)。旅好きでもあり、自転車でどこまでも行ってしまう。と聞くと乗り物好きなのかと思うが、車には一切興味がない。何かに凝り性ってこともない。
何かに対して「凝り性ではない」ということが、もしかすると釣りをしない人に共通する性向かもしれない。むろん、偏見ではあるけれど、私にはどうにもそのように見える。
女性に聞いてみた趣味
最近釣りを布教しようと頑張っている女性が二人いる。彼女たちは基本的に無趣味だが、最近19歳の女性のほうが、私が釣り好きとモロに自己開示したせいか、自分のほうからも「実は……」といろいろ語ってくれるようになった。なんでも、サイコパス系の映画が好きらしいのだ。これには私はほとんど涙しかけた。自分も同じなのだ!!
その他、何人かに聞いてみると、コンビニの新商品を小当たりすることも、どうも女性らしい趣味みたいだ。これも私と同様で、あれこれ買い食いする。「実はコンビニの服も結構いいんですよ井上さん、ハーフパンツとか」と言われた。釣りに限らず何でも趣味の話を交換するのは、とても良い。
<井上海生/TSURINEWSライター>