2024年4月1日から東京都で「ガサガサ」と称される採集が解禁となりました (東京都内水面漁業調整規則の改正)。この機会にガサガサで淡水魚を採集・観察したいと考えている方のために、関東地方の河川で採集できる主な淡水魚を20種類紹介します。安全やマナーに配慮しながら採集し、淡水魚たちの生活を覗いてみましょう。
(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)
目次
カマツカ属 Genus Pseudogobio
日本のカマツカ属は3種からなりますが、もともと東日本にいたのはスナゴカマツカとされています。
ただし近年はアユなどの放流に混ざって西日本にいたカマツカも関東で見られるようになり、困ったことに交雑もしているようです。
細かい砂を厚く敷くと砂に潜る様子も観察できますが、痩せやすいところがあり、飼育は簡単とは言えません。できるだけ大きな水槽、できれば90cm以上の水槽で飼育してあげたい魚です。
ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus
昔から親しまれてきたコイ目ドジョウ科の淡水魚・ドジョウ。日本で従来「ドジョウ」とされてきたものでも複数の種がいることが知られています。
食用魚としてもしられるドジョウですが、近年は魚屋さんで台湾や中国産のドジョウが販売されていることも多く、それらが放流されるという問題も起こっています。
飼育については砂を敷いてあげるとよいでしょう。意外にも飛び出すこともあるので、フタは必要です。
ヒガシシマドジョウ Cobitis sp. BIWAE type C
シマドジョウの仲間は日本の広い範囲に生息しているグループですが、関東平野に在来で生息しているものはヒガシシマドジョウという種になります。
砂に潜っていることも多く、砂ごと掬うと入っていることもあります。飼育の際にも粒の細かい砂を敷いてあげるとよいでしょう。
成魚の飼育は容易ですが幼魚(写真)は繊細で痩せやすいので注意が必要です。
ナマズ Silurus asotus
日本に生息するナマズ目の中では最もよく知られた種で、ほかのナマズ目魚類と識別しやすくするため「マナマズ」と呼ばれることもあります。
飼育は容易ですが全長70cm以上と大型になる種で、他の魚を捕食してしまうこともあります。そのため他の魚との飼育には向いていないと言えます。
夜行性で、昼間は流木や障害物の陰に隠れていることが多いです。
ギバチ Pseudobagrus tokiensis
神奈川県・富山県以東の本州に生息するナマズ目ギギ科の一種・ギバチ。夜行性で昼間は岩や流木の影でじっとしていることが多く、夜間にそこからでてきて泳ぎ回り、餌となる小魚や甲殻類を捕食します。
絶滅危惧II種とされており、獲りすぎないよう、特に注意が必要な魚です。よく同種同士で争うため、複数個体の飼育はやめたほうが無難です。また大きいものは全長30cmほどにもなります。
ミナミメダカ Oryzias latipes
ダツ目メダカ科の淡水魚・ミナミメダカ。おとなしい魚でいつも水槽の表層で群れています。日本国内では減少傾向にあり、地域によっては保護されていることもあり注意が必要です。
また在来の個体群が放流された別地域の個体群に置き換わった地域もあったり、改良品種が放流されるなど、アクアリストと絶滅危惧淡水魚との付き合い方の難しさを示す例になりやすい魚ともいえます。
飼育・繁殖ともに容易ですが他の魚から攻撃を受けやすいため、同種同士をのぞき、他魚との混泳には向いていないところがあります。
オヤニラミ Coreoperca kawamebari
日本では数少ない純淡水域のスズキ類・オヤニラミ。中国で重要な食用魚とされるモトケツギョを含むケツギョ科の魚では唯一の日本在来種で、京都府以西の西日本に生息しています。
トウヨシノボリおよびその近縁種 Rhinogobius sp. OR
ハゼ科ヨシノボリ属は分類学的に混乱の極みにあります。
従来「トウヨシノボリ」と呼ばれたものも複数種いるようで、背鰭の形状や細かい斑紋、色彩などに違いが見られます。従来から関東にいたタイプのもののほか、近年はやはりアユの放流に伴い琵琶湖由来と思われるものも見られるようです。
水槽に入れた直後は突然死することもありますが、慣れれば丈夫で飼育しやすいです。ただ、他の魚の鰭をかじったりすることもあります。孵化した稚魚は一度海に下り、その後遡上する両側回遊性の魚ですが、海に降りず内陸の河川や湖沼で一生をすごすものもいます。
シマヨシノボリ Rhinogobius nagoyae
頭部に赤い線が入るヨシノボリ属の魚・シマヨシノボリ。
日本の広い範囲に分布し、流れのゆるやかな下流から中流に生息していますが、大規模な河川よりは小河川のほうに多い印象があります。卵を持っている雌は腹部が青くなります。
水槽に入れた直後は突然死亡する個体もいますが、本来は丈夫な魚です。河川の淡水域で産卵し、孵化した稚魚は一度海に下り、その後遡上する両側回遊性の魚です。