フグのカットウ釣りは、ハードルが高いイメージがあるが、マスターすれば釣果の数と型の両面で食わせ釣りを圧倒する。今回、カットウ釣り上達のコツとともに、この釣りが楽しく、早く上達する新仕掛けを使った実釣の様子をリポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
目次
釣り女子がカットウフグに挑戦
さて、ここからは釣り場での実践の様子を見ていこう。挑戦するのはカットウ仕掛けでお馴染みのヤマワ産業のフィールドモニター上森菜月さん。
これまで船の各種ライトゲームなどを経験してきたが、カットウフグは今回が2回目だ。そこで、同社フィールドテスターの鈴木功さんが講師役となりサポートした。
三河湾の日間賀島沖で実釣
釣りに訪れたのは10月半ば、乗船したのは愛知県知多郡南知多町の片名漁港から出船している同町日間賀島の珠栄丸。年間を通してこの釣りが楽しめ、良型のヒガンフグをたくさん釣らせてくれると評判の船だ。
前回の釣りで苦戦したこと
上森さんは前回の釣行で、
・空アワセを入れるタイミングがよくわからない。
・底が荒い場所で底の方を釣るため、根掛かりの多さに困惑した。
・アタリがわかるようになったが、なかなか掛けられない。
これらが主な課題として残ったという。今回はこれを打破して、お土産十分の釣果を、あわよくば良型のヒガンフグをゲットしたいとのことだ。
本番開始、まずはエサ付けから
まずはエサ付けのノウハウから。鈴木さんのエサ付けを見学する上森さん。鈴木さんは当日のヤマワ産業の新ウェポン「カットウ仕掛けダイレクト」にアオヤギ、アルゼンチン赤エビ、ホヤを刺していく。
この仕掛けには3つのエサ付けバリ(以下エサバリ)が付いており、それぞれに異なったエサを刺し、その食われ具合を見て当たりエサを見極めることが可能だ。なお、アオヤギの刺し方は内臓から縫い刺して、ベロ(足)で固定。エビは2~3cmに切って刺していた。
鈴木さんの釣り方
さて、ここから鈴木さんの動作を書いていく。着底後、ゆっくりと仕掛けを上げては下げを繰り返しながらフグの出方を見ていく鈴木さん。さっそくアタリを捉え当日の1匹目をキャッチした。上がったのは良型のヒガンフグで底スレスレできたとのこと。
次の投入からキャストし、サオを立てて仕掛けを上昇させ、ゆっくり下げては手前に引き寄せる動きで探り始めた。
浅場で横に広く探る方法
鈴木さんが先述の攻略法を取った理由は、フグのアタリが底付近に偏り、かつ頻度もそう高くなかったようだ。この状況から、フグは底付近に散在していると推察。
であれば、縦方向の探りだけだと「点」でしかアプローチできないため、キャストして斜め横方向に「面」で探る作戦を取ったのだ。これが奏功し、次弾、三弾とヒガンフグを連発した。
上森さんにファーストフグ
これに先立つ少し前、上森さんはいきなりファーストフグをキャッチ。本命のヒガンフグだ。このあとも朝マヅメの間、鈴木さんがスコアを伸ばす傍らで、上森さんも追加のヒガンフグをキャッチ。出だしから快調な釣れだしとなった。
イージーにゲットできたわけ
上森さんが序盤から好スタートを切った背景には、不慣れなタイム釣りではなく、アタリを根拠にタナとフグの接近を感知して掛けることができた要素が大きい。彼女が今回使っているカットウ仕掛けダイレクトの真髄はここにある。
この仕掛けの最大の特徴は、アタリを増幅させて伝えるところにある。3つのエサバリは金属の線で仕掛け本体の支柱(こちらも金属)とL字型に装着されている。
フグがエサをつついて引っ張ると、L字型の線が微かに開き、まるで楽器のようにビンビンとその振動をミチイトに伝える。わかりやすく言えば、振動増幅器+糸電話のような仕組みだ。
このため、アタリを的確に捉えられるので、タナの絞り込みができ、アワセのタイミングもわかりやすい。まさにビギナーの強い味方。もちろん中~上級者が使えば鬼に金棒だ。
なお、フグシーズンの本番は冬だが、水温が急激に下がったときはフグも活性が低下し、アタリは不明瞭になる。また、人間側も手がかじかんで手感度が低下するが、この仕掛けはこの点をサポートしてくれることも見逃せない。
アタリが出るけど掛からない
朝マヅメ終了後、ときどきアタリは捉えるものの、思うように掛けられない上森さん。さっそく、鈴木さんから聞き上げ&聞き下げの動作について上森さんにレクチャーが。
上げの動作でフグを上ずらせたら、アタリが出たところで下げに切り替えて掛けバリをフグの下に潜り込ませるプロセスを説明。
お手本を示しながら、鈴木さんはしっかりフグをキャッチ。これに倣って上森さんもゆっくり上下の動きを再現するとガガンとヒット。見事良型のヒガンフグを手にした。