刺身に飽きたら『さしつけ鍋』で味変をしてみよう 食感もフワッと変化

刺身に飽きたら『さしつけ鍋』で味変をしてみよう 食感もフワッと変化

刺身を食べていると途中で食べ飽きてしまうこともしばしばありますが、そんな時にぴったりの「味変料理」があります。

(アイキャッチ画像提供:茸本朗)

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少し火を通した刺身は美味い

日本食の代表ともいえる刺身。生の魚を一口大に切り、醤油や各種調味料をつけて食べる、シンプルながらも究極の料理です。

刺身といえばもちろん「生」の魚を使うもの! というイメージが強いですが、実際はそうとは限りません。

刺身に飽きたら『さしつけ鍋』で味変をしてみよう 食感もフワッと変化キチジの湯霜造り(提供:PhotoAC)

例えば湯霜造りという手法では、皮付きの切り身に熱湯をかけて表面だけ加熱してから刺身に切ります。これは生だと硬くて噛みきれない皮に火を入れることで、皮のゼラチン質や皮下脂肪の美味しさを一緒に味わえるようにしています。

また、刺身に切った上で熱湯に潜らせる「湯引き」という手法もあります。火を入れることで表面の水分が抜けて味が締まるとともに、身に軽く熱が入ることで純粋な生と比べて風味が良くなります。

「さしつけ鍋」とは

さて、そんな「火を入れた刺身」の美味しさが楽しめる料理に、熊本の郷土料理「さしつけ鍋」があります。名前に鍋とはいっているので、魚を煮込む料理と勘違いされがちですが、実際は「しゃぶしゃぶ」に近い料理といえます。

この料理は、魚を刺身にする際に出る「アラ」を煮込んで出汁をとり、醤油や砂糖などで味をつけ、そこに刺身をさっとしゃぶしゃぶして食べるというもの。魚の旨みが詰まった出汁に潜らせた刺身は、味が重層的でとても贅沢な風味があります。

刺身に飽きたら『さしつけ鍋』で味変をしてみよう 食感もフワッと変化さしつけ鍋(提供:茸本朗)

市販の刺身を食べる際も、めんつゆを薄めたものでしゃぶしゃぶすることで「なんちゃってさしつけ鍋」を楽しむことができます。

刺身はどうしても食べ飽きやすい料理ですが、このさしつけ鍋はいわば最高の「味変料理」なのです。出汁の味を調整することでさまざまな刺身を美味しく食べることができますが、個人的にはタイやスズキのような「フワッとした白身」を使うと、生の時との変化が大きくなり、よりさしつけ鍋を楽しむことができます。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>