『シタビラメ』の眼はどっち向き? 間違えやすいササウシノシタとの区別も解説

『シタビラメ』の眼はどっち向き? 間違えやすいササウシノシタとの区別も解説

魚屋に行くと様々な魚が売られていますが、シタビラメという魚を見たことありますか?大抵、シタビラメは加工されて売られていることが多いため、どのような魚が知っている人は意外にも少ないと思います。この記事ではシタビラメについてご紹介します。

『サカナト』で読む

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

アバター画像
サカナト編集部

サカナに特化したメディア『サカナト』編集部のアカウントです。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

×閉じる

その他 サカナト

舌の様な見た目の『シタビラメ』

シタビラメはカレイ目ウシノシタ科に属する魚の総称です。浅海から深海まで幅広く分布し、2024年5月現在、日本では22種ものウシノシタ科魚類が知られています。

本科の魚はいずれも平たく特徴的な体を持ち、まさに舌平目や牛の舌という名前が相応しい分類群。この分類群の特徴は通常のヒラメやカレイとは異なり背鰭、尾鰭、臀鰭が連続していること、有眼側の眼は左にあることです。

『シタビラメ』の眼はどっち向き? 間違えやすいササウシノシタとの区別も解説ウシノシタ科の魚(提供:PhotoAC)

また、ウシノシタ科は砂地に生息する種が多く時に底引き網で大漁に漁獲されることもあり、味が良いため中型~大型の種は食用になります。有明海ではコウライアカシタビラメをクチゾコ、クッゾコと呼び、この魚を使った煮付けはこの地方の郷土料理です。他にも、本科の魚はゲタやベタなどの別名が各地で付けられています。

日本ではウシノシタまたはシタビラメと呼ばれているウシノシタ科ですが、その特徴的な体型から英語でSole(くつぞこ)やTonguefish(Tongueは舌という意味)と呼ばれているようです。日本語でも英語でもほぼ同じ意味ですね。

ややこしいササウシノシタ

ウシノシタの仲間にはややこしい問題があります。

それがササウシノシタ科の存在です。このササウシノシタ科の魚たちはウシノシタ科に名前と姿が似ていることに加えて、ウシノシタ科同様に食用になることからしばしば混同されます。

『シタビラメ』の眼はどっち向き? 間違えやすいササウシノシタとの区別も解説シマウシノシタ(提供:PhotoAC)

しかし、ウシノシタ科とササウシノシタ科の区別は非常に簡単。ササウシノシタ科では有眼側の眼が右にあることで、左に眼があるウシノシタ科とは区別することができます。また、ウシノシタ科では垂直鰭が連続する特徴を持ちますが、ササウシノシタ科では連続する種と不連続の種が混在しています。

このようにカレイ目の魚は眼が右にあるか左にあるかが同定する上で非常に重要になるのです。

ササウシノシタ科は浅海から深海に生息し、中には淡水域に進出する種もいれば、毒を分泌する種まで様々。本科の魚は小型種が多く、食用となる種は限られているものの、ウシノシタ科よりも色彩に富むことから観賞魚としての需要が高い魚です。

ウシノシタは高級食材

ウシノシタ科とササウシノシタ科の魚は日本のみならず世界各地で食用になる重要な水産資源。ヨーロッパ圏では欠かせない食材であり、ムニエルなどに使われています。

日本ではコウライアカシタビラメが有明海の郷土料理に使われている他、大阪湾の底引き網で漁獲されるイヌノシタ(別名:アカシタビラメ)は「魚庭のアカシタ」として大阪府のプライドフィッシュに選定されています。また、大阪湾では標準和名「アカシタビラメ」も漁獲されますがこちらは「アオシタ」と呼ばれているとか。

西日本ではアカシタビラメ系を食べる文化が根付いており、大型の個体は高価で取引されます。

『サカナト』で読む

<サカナト編集部>