カサゴには背びれや胸びれに毒がある、と言われる。しかし一般的に毒魚の扱いはされない。どうにも中途半端な話だ。一体どういうことなのか、白黒ハッキリつけよう。結論は「弱毒程度」のようだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
毒があると噂のカサゴ
カサゴに毒があるのか、ないのか。結論からいえば、ある。しかし、人体にはほとんど危険がない。
そもそもカサゴの毒のあるなしについては、長いこと言われてきた。筆者も父から「あまりガッと掴まないように」と言われたことがあるし、某プロが「カサゴにだって毒があるわけだから……」と何気なく話していた。
しかし例によって、というべきか、どうにもその毒の深刻さ・危険度について、誰がはっきり教えてくれるわけでもなく、また毒魚の扱いもされていない。
よって、これまでは、カサゴの毒は私にとって噂に留まるものであった。ただ個人的にこの夏、カサゴゲームにハマってとくとその赤い魚体に見惚れ、感じたものだ。
確かにコイツの表皮の色は、いわゆる“警戒色”である。毒をもつ、あるいは持たないが毒を持つフリをする自然生物が身にまとう、派手な色だ。主には赤系で、スズメバチなど黒黄色もいる。ヒョウモンダコも黄色系だ。
カサゴの棘には微量の毒が含まれるらしい
カサゴは背びれや胸びれの棘に毒を持っている。目で見てわかるほど、尖っている部分だ。確かにそこに触れてしまうと、ちくっと痛い。しかし通常の感覚では、この痛みはまったく悶絶級のレベルにはなく、「あらら」という程度のものだ。
どうやら微量の毒を持つようだが、その毒の種類も、ネットをじっくり調べても出てこない。もちろん詳しい方ならご存じだろうが、まあ、毒があるというのなら、不用意に触らないほうがいい。調理の際にも、背びれと胸びれはカットするようにしよう。
「痛み」が毒?
以下は全面的な筆者の私見だが、カサゴの毒とは、要するに誤ってちょっと尖ってしまったところを持ってしまったときの、あの「ちくっ」とする感触そのものなのではなかろうか?それが微量の毒による一撃とは考えられないか?
メバルの良型なども素手でつかむとエラブタがちくっとして痛いので、まったく根拠があるものではないが、どうもそういう気がしてならない。
ミノカサゴやオコゼとは違う微毒
カサゴには微量の毒がある。今後は注意して扱われたい。また、それとは別に、「カサゴ」の名を持つ他の魚には毒魚が多い。
たとえば、ミノカサゴやオニカサゴだ。ミノカサゴはどこか神秘的な風貌をしたふわふわ触手系カサゴで、この触手そのものに毒がある。オニカサゴはカサゴをちょっとおどろおどろしくしたような外見で、あちこちの棘に毒がある。
またオコゼという近似種にも毒がある。沿岸でよく釣れるヤツで、カサゴと似ているのでご注意を。
ちなみに、オコゼ、ミノカサゴ、オニカサゴすべて食用にも適する。オニカサゴないしオニオコゼあたりは特に美味で知られる。素人では調理が危ないので、おすすめはしない。
海では危険な魚はすぐ帰す
海釣りをしているといろんな魚が釣れる。そうはいっても十年一日みたいなもので、同じ釣り場ならば滅多に特定の範囲から外のヤツはこないが、たまーにワケのわからないものが釣れたりする。
筆者は一度アジング中に、下のようなゲストを釣った。これはカライワシという南方の魚である(TSURINEWS編集部に聞いて知った)。こいつに毒はないらしいが、もちろん、未知の魚なのですぐに帰した。
海釣りではこういうことがあるので、見た目から何かわからない魚が釣れたときには、まず絶対に触ってはいけない。食べなければいいものでもない。触ってすらいけない。帰すときにも、かならずフィッシュグリップでつかんで帰す。
カサゴだと思って突然オコゼが釣れて、油断して素手でつかんでしまうと泣くことになる。いきなりヒョウモンダコが釣れることだって実際あるのだから怖いものだ。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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