海釣りでは、スーパーマーケットの鮮魚コーナーで見ない魚の数々を釣ることができる。むしろ鮮魚コーナーの常連たちであるブリ、カレイ、マダイなどが釣れたら狂喜乱舞なのだ。特に沿岸の海水魚は地味~なものが多い。しかし、これは逆にいえば「鮮魚コーナーでめったに見ない珍魚」であり、そんな魚を狙って釣ることをテーマとすれば、少年諸君には楽しみながら取り組める自由研究となるはずだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
鮮魚コーナーで見ない魚を釣る
自由研究のテーマは、「鮮魚コーナーで見ない魚を狙って釣ってみた」としよう。その方法は、エサ釣りでもルアー釣りでも、何でもいいだろう。ともかく釣ってみる。調理するところまですると子どもには負担も危険も大きいので、研究はフィールドワークまでだ。
ご心配なく、というべきか――実際に釣ってみればわかるが、沿岸で釣りをしてみて、なかなかそんなカッコいい鮮魚コーナーの「ザ・サカナ」がくることはない。アジ、サバがせいぜいポピュラーなところだろう。むしろ、よく釣れるのは少年たちにとって未知の魚ばかりに違いない。カサゴ、メバルだってなかなか見ないんじゃないか?
漁魚と釣魚の違いを知る
この研究を通して見えてくるのは、あらかじめ言ってしまうと、「漁の魚と、釣る魚は、まーったく別のものなんだ」という話である。もちろんそれは自分の目で見て、手で釣って確かめてほしいが、実際「コレ子ども向けかよ」と君たちも思わず苦笑してしまうような、ドンくさそうな地味な魚ばかりくる。
こうして沖の漁業にかかる魚と、釣魚の違いを知りたいものだ。その理由は何か――ここで答えは述べないが、もちろん水域の違いもあれば、魚をとる「方法」に何よりも大きな違いがある。漁業の人は魚を釣ってとるわけじゃない。なんとなく魚種の違いを見るだけでも――何かしら、気が付くはずだ。
釣ってみて鮮魚コーナーと比較する
まずは近所の鮮魚コーナーを覗きにいこう。いつもよく見る魚が毎度変わらぬ顔ぶれを並べているはずだ。これを写真に撮るか、メモするかしておく。そのあと、釣りに行ってみよう。前提として、鮮魚コーナーの魚を狙って釣ろうとするのではない。また専門的に狙おうとしても、よく知られるところではアジとサバ以外は絶対に釣れない。あくまで、出かけた先の海で、自然に釣りをしてみるとしよう。
自由研究の季節(夏)ならば、日中から魚を狙うことができる。足元にエサやルアーなどの仕掛けを落として釣ってみると、雑魚ならばクサフグやベラやハゼが簡単に釣れる。当たり魚種としては、カサゴやムラソイやメバルやタケノコメバルがくる。これが沿岸の魚種のリアルだ。ブリも舌平目もこない。
ともあれ、そうして意図して比較してみると、君たちは驚くばかりに「初対面の魚」ばかりと出会うことになるに違いない。そのひとつひとつを記録しておこう。
研究時の注意点「魚の見分け」
またまた、はじめに種明かしをするようだが――実は、特に夏の日中、あるいは通年の夜釣りで釣れる沿岸の魚たちには、「根魚(ねざかな)」といわれるものが多い。カサゴ、メバル、ムラソイ、タケノコメバル、キジハタなど。これらの魚種は、海の底につく魚で、自分の身を守るために、海底の色と似た体色・模様を持つ。つまり、魚種をまたいで、一様に似ている。そのため、正確な研究のために見ていくには、「見分け」も肝心だ。
ともかく魚が釣れたら、逃がしてあげる前に、何枚も写真を撮っておいて、あとで類別しよう。もちろん、近くにいる人に、「この魚は何ですか?」と聞いてみるといい。そんな人々とのふれあいもまた、海釣りの重要なフィールドワークである。大人たちに見守られつつ、少年諸君が安全に、かつ実りある自由研究に取り組むことを願う。
<井上海生/TSURINEWSライター>