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活き餌で根魚や大物を狙う、泳がせ(ノマセ)釣り。上手い方は、数だけで無く、サイズも大きな魚を釣り揚げます。何が秘訣なのでしょう?
目次
診断結果:泳がせ下手
活き餌を泳がせてブリ・カンパチといった大物を狙うのが泳がせ釣りです。活きイワシで狙うヒラメ釣りも広い範囲でいえば“泳がせ釣り”です。
魚たちが自然の中で食べている活き餌で狙うからこそ良い魚が釣れる泳がせ釣り。つまり活きエサが不自然な泳ぎをしていたら釣れないのです。
今回は私が実釣で気を付けていることを踏まえ泳がせ釣りの基本を解説しましょう。
不自然な要素を取り除くべし!
魚たちは生きるために海の中で活き餌を追って食しています。潮の流れ具合や時間帯での多少の差はあっても、活きた餌を自然に海中で泳がせればお腹を減らした魚は活きエサにアタックしてきます。
泳がせ釣りではいかに活きエサを海中で“自然に泳がせる”ことができるかにかかってきます。裏返せば、如何に不自然になる要因を取り除けるかが重要になります。
また、ブリ・カンパチといった大物を仕留めるためには、確実な仕掛け強度も必要です。せっかくヒットしても本物の魚は、いい加減な強度の仕掛けは切って逃げて行きます。
活きエサ扱い上手になるべし!
泳がせ釣りでは活きエサに針をつけなければなりません。この時イワシやアジなど活き餌たちは「人の手に触れる」という自然界では絶対にあり得ない経験することになります。
ヒラメ釣りなどでは事前に生け簀に活きイワシが用意してありますが、大物釣りのように、アジやサバ、ムロアジをサビキで釣りあげて調達する場合はサビキ仕掛けから外す時にもそのリスクにさらされます。
泳がせ釣りでアタリを出せる釣り人の共通点は、活きエサにダメージを与えぬよう優しく、素早く、サビキから外したり、針をセッテイングできることに尽きます。
「そんなこと解っている」と思われるかも知れませんが、上手い人の活きエサの扱いは想像以上にレベルが高く「優しく」「素早い」のです。
活きエサの取扱い方はコレ!
イワシは人の体温でも火傷して鱗が剥がれ弱ると言われます。針付けの時は手を生け簀の中に入れて水で包み込むようにそっと魚を抱えるようにします。
手袋をしていれば体温によるダメージは軽減できますが、ギュッと力を入れてしまうと接触のダメージで弱らせてしまいます。手指や掌と魚体の間に水のクッション層をつくる意識と実践を徹底します。このことは、身体がヌルで覆われているムロアジの場合、特に重要になります。
また活きエサを釣りあげて調達する場合、サビキから外す時は生け簀の上で針外しを使い、人肌に触れさせること無く生け簀に入れましょう。
針や仕掛けにこだわる以前に、泳がせ釣りで釣果をあげるには活きの良いエサを使うことが鍵を握るのです。
針付け方法をマスターせよ!
一本針なら通常鼻掛けか、下顎・上顎掛け、背掛けになります。外れにくさも大切ですが、やはり針付け時、そして海中で活き餌が弱らないことを最優先に考えると傷が出来ず負担の少ない鼻掛けを私は基本にしています。
顎掛けの場合、針を貫通させる時に活きエサの頸部(首)に力が加わり、それだけで骨折やいわゆる捻挫状態になり、弱らせてしまうリスクがあります。
二本針の場合、孫針は肛門掛けが負担が少ないのですが、外れやすいことと、肛門に丁寧に掛けようとすると尻尾掛けや背掛けに比べ、数秒多く時間がかかり、活きエサに触れる時間が増え弱らせるリスクが高いことから、私は尻尾に近い腹や背に素早く掛けています。
使用する針のサイズ
また針のサイズは、活き餌の種類・大きさと狙う魚の種類・大きさを考慮してハリス径と共に選択します。
小さなイワシに大きく重い針を付ければ、当然負担が大きく弱ってしまいます。
外房や茨城で活きイワシ餌のヒラメ釣りならハリス6号で針・伊勢尼13号。
大きなサバやカマス餌でブリを狙う相模湾の場合は、小さな針だと外れたり、ヒットしても掛かりが悪くなるのでハリス14号・ムツ針20〜22号といった大きなものを選択します。
銭洲のムロアジ餌でのカンパチ狙いなら、チビムロでハリス40号・泳がせ針21〜24号、中ムロならハリス50号・28〜30号といった具合です。
釣り座周りを整頓せよ!
泳がせ釣りでは、船長は魚探を睨み、良いポイントや良い感度を捉えると丁寧に船を流します。当然のことながら、船下のやる気のある魚、活性の高い魚は、いち早く落とし込まれた活き餌にアタックしてきます。
少人数の時でも、まして大勢の釣り人が乗り合わせる場合は特に、いかに素早く自分の活き餌を海中で待ち構える魚にアピールできるかがアタリを出す必要条件です。
そのためには仕掛け投入の際にもたつかないことです。まずは 釣り座の機能的なセッティングです。
手前マツリの原因になる無駄なものは置かず、ロッドキーパー、生け簀も、具体的な活き餌の針付けシーンを想定して事前にベストな位置にセットしましょう。活き餌に針を付ける際の錘の置き場所も含めてです。
そして先述のように、餌の針付けは素早く、最小限の負担で行い、船長の投入合図に一秒でも遅れること無く投入するのです。
文章で書けば当たり前のことですが、真夏の暑さや冬の極寒、揺れる船上でコンスタントにそれを行い続けられることが、泳がせ釣りの極意なのです。