日本に生息するブリ属の魚は、ブリ・ヒラマサ・カンパチ・ヒレナガカンパチの4種です。いずれも重要食用魚でありますが、「見分け方がよくわからない」という方も多いかと思われます。今回はブリ属4種の見分け方と、ブリ属に近縁な魚の見分け方をご紹介します。
(アイキャッチ画像提供:椎名まさと)
カンパチ(Seriola dumerili)
全長1.5mを超える大型のブリ属魚類です。日本産のカンパチの学名は従来”Seriola purpurascens”とされましたが、現在は大西洋産のものと同一種とされ、地中海のニースを基産地とする”Seriola dumerili”という学名が充てられることが多いです。
日本では各地沿岸に生息しています。沖縄県でも見られ、沖縄県で水揚げされるのはほぼカンパチか、ヒレナガカンパチです。
身は刺身にして非常に美味です。ただし、英語名ではGreater amberjack、またはGreater yellowtailと呼ばれる通り188センチにもなる巨大種で、シガテラ毒をもつこともあるらしく大型個体を食する際は注意が必要とされます。
カンパチとヒレナガカンパチはほかのブリ属と比べると眼の位置がやや高いところにあり、頭部には眼を通る黒い斜帯が入るという特徴があります(「カンパチの同定ポイント図」の1)。
これを八の字に見立て「間八」と呼ぶようになった、とされましたが、成魚ではこれが薄くなるため注意が必要です。
ヒレナガカンパチとの見分け方は背鰭の形と尾鰭の色彩で、カンパチは背鰭の前方がのびずカマ状にならないことや(図2)、尾鰭下葉先端が白くなることでヒレナガカンパチと見分けられます(図3)。
ただし尾鰭下葉の色彩はわかりにくいこともあります。
ヒレナガカンパチ(Seriola rivoliana)
カンパチによく似た南方系の大型種です。学名”Seriola rivoliana”は大西洋産で、記載が不明確な種のものであるとされ、西太平洋(南シナ海)~インド洋のものについては”Seriola songoro”という学名が与えられることもあります。ただしSmith’s Sea Fishesでは”Seriora songoro”は”Seriora rivoliana”のシノニム扱い。
琉球列島ではカンパチよりも太っており身質がよいとされます。ただ筆者はここで紹介している魚についてはほぼすべて食していますが、残念なことにこのヒレナガカンパチだけはいまだ食することは叶っておりません。
なお背鰭はほかのブリ属同様2基ありますが、写真ではうまく写っていません。
ブリやヒラマサに比べ眼が上の方にあり、眼を通る暗色帯がある事から(同定ポイント図1)、カンパチによく似ております。
第2背鰭の前の方は高くのびており「カマ状」になること(図2)、尾鰭下葉先端が白くないことで見分けられます(図3)。