「キス(シロギス)」は投げ釣りの代表的なターゲットで、砂浜や砂地の堤防でよく釣れる魚です。特に浅場に差してくる高水温期は狙いやすく、まとまって釣れることもしばしば。そんなときはキスをエサにして泳がせ、大物を狙ってみるのも面白いです。今回はこのキスをエサにした泳がせ釣りを解説します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・YAHA)
泳がせ釣りのエサとしてのキスの特徴
キスを泳がせ釣りのエサとして使う場合、代表的な活きエサであるアジなどと比べると扱い方にコツがあります。
まず、キスは底付近を泳ぐ魚なので、上層や中層を泳ぐフィッシュイーターは狙いにくいです。基本的には同じ底付近を泳ぐ魚を狙うことになります。
キスは弱りやすいのも大きな特徴です。特に投入時のショックに弱く、海面に強く投げ込んだりすると、弱ってフラフラになることも……。そんな風に弱ってしまうとベタ底に定位するのか、動きが減りアタリが出にくくなります。
そのため、元気なままキスを泳がせられるよう、仕掛けや釣り方などを工夫することが釣果に繋がります。また、これは他の魚でも一緒ですが活かしておく際にも、弱らないようにエアレーションなどを行いましょう。
キスを使った泳がせ釣りの仕掛けと釣り方
キスの弱りやすさを考慮すると使う泳がせ用の仕掛けは、エレベーター仕掛けがおすすめです。タックルと仕掛けの例は以下の図の通り。
この仕掛けは道糸と先につけたオモリをまず投げ込んで、後からキスが付いたスナップスイベル付きハリスを道糸に滑らせて投入します。利点としては、投入時のキスへのダメージを抑えられるほか、遊動仕掛けでキスがある程度自由に泳げるので海中でも弱りにくいことです。
仕掛け作りのポイントしては、キスは警戒すると砂に潜る習性もあるので、ハリスが捨て糸のサルカンの高さ以上に長くならないようにして、なるべくキスがベタ底を泳がないようにするといいと思います。捨て糸のサルカンの上にビーズを通すなどして、スナップがしっかりサルカンの位置で止まるようにしましょう。
釣り方の流れ
仕掛けを投げ込む場所はエサとなる小魚などが集まる・回遊しやすいカケアガリや船道、根回りなど変化のある場所。仕掛けを投げ込んで道糸を張ったら、鼻掛けなどでキスを針に付け、道糸にスナップを掛けて投入します。
タナは魚任せで、キスの習性上、底狙いがメインになりますが、上層からキスを送り込んでいく際には宙層のフィッシュイーターにアピールするチャンスもあります。
アタリは遊動式なのでややわかりにくいですが、竿先がコンコンと反応するなどしたら、少しずつラインを巻いていき、捨て糸のサルカンの位置までスナップが来たらアワセをいれましょう。
また、胴付きや投げ釣り用の泳がせ仕掛けも使えますが、キスが弱りやすいのが難点。優しく投入するのを心がけ、エサのキスに動きがなくなったら早めに交換していくといいでしょう。
キスの泳がせ釣りで狙える魚
キスをエサにした泳がせ釣りで狙える、代表的な魚種と釣り方を紹介していきます。
ヒラメ
ヒラメはキスと同じ砂泥底に生息する魚なので、キスの泳がせ釣りで狙えるターゲットです。普段生息しているのは海底ですが、見た目に反して底から浮いて獲物を追いながら捕食を行うタイプなので、弱って底で動かないキスには反応が悪くなります。
エレベーター仕掛けを使ったり、エサを早めに交換したりなど元気なキスを海中に泳がせておくようにしましょう。
マゴチ
マゴチも生息域がキスに近く、狙いやすいターゲットです。ヒラメと違い死にエサにも反応し、ベタ底で捕食を行うので、マゴチメインで狙うならキスが弱ってもあまり気にせずに使うことが可能です。
移動しない待ち伏せ型の捕食なので、広く探る必要があり、エレベーター仕掛けなら定期的にポイントを変えましょう。弱るのを前提で投げ釣り仕掛けで遠投し、リフトアンドフォールで誘いながら探るのも効果的です。
アオリイカ・コウイカ
アオリイカやコウイカもキスを捕食するターゲットで、泳がせ釣りで狙うことが可能です。専門的に狙うなら、ヤエン仕掛けやウキ仕掛けを使うほうがキャッチできる確率は高いですが、前述のエレベーター仕掛けでも釣ることができます。
コツは必ず孫バリにイカ用のカンナ針が付いた仕掛けを使用し、アタリがあっても十分にエサを抱き込むまで待つこと。魚と両方狙える市販仕掛けもあるので、時期・ポイント次第では狙ってみるのも面白いです。
その他の魚種
根魚も障害物周りを狙えば釣りやすいターゲット。また、シーバスなどが掛かることもあります。あまり嬉しくないゲストとしてサメやエイ、ウツボが掛かることもありますが、どんな大物が掛かるか分からないのも泳がせ釣りの楽しみ。ぜひキスがたくさん釣れたらチャレンジしてみてください。
<TSURINEWS編集部・渡辺竜平>