私事ながら、西日本を縦断することとなった経緯を掻い摘んで話しをしよう。2020年まで私は愛知県の某釣具店で勤務していた。紆余曲折あり、出身地の福岡にUターン転職をすることとなったのだが、ただ愛知から福岡に帰るではつまらない。なので、せっかく車で福岡まで戻るのだから、2週間ほど掛けて各地をふらふら釣りしながら車中泊で帰ろうと思い立ったわけである。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター檜垣修平)
三重の無限カサゴ釣り
2週間の釣り旅最初の釣り場は当時ちょくちょく通っていた三重県の日本鋼管突堤である。このポイントはシーズンによっては青物、アオリイカ、メバル等多種多様な魚が釣れる超人気スポットである。主にメバル釣りで通っていたのだが、このポイントはカサゴもめちゃくちゃ釣れる。馴染み深いカサゴだが、近年は良型を釣ろうと思うと中々難しい魚になってしまった。
しかし日本鋼管突堤では文字通り無限に釣れた。立ち位置を変えることなく、ジグヘッドやテキサスリグでネチネチやっているといくらでも釣ることができた。しかもサイズが粒揃いで20cmクラスがポンポン釣れたのである。あんなにカサゴが釣れる場所は今のところあそこだけである。行けるならまた行きたい釣り場だ。
愛媛はアジ天国だった
一気に飛んで愛媛になってしまった。途中の大阪、兵庫、岡山と方々に寄り道はしていたのだが、ふらっと立ち寄って理想の釣果が出せるほど甘くはない。だが愛媛の何の変哲もない漁港で度肝を抜かれた。昼過ぎのその漁港ではおじさんが一人サビキ釣りをしていた。釣れますか?と聞くとボチボチだね、と返ってきた。海の中を覗くと、銀色の魚の群れが海底が見えないほどひしめきあっている。丁度温排水が流れ込む場所に群がるボラの群れのように大量にいるのだ。
これなんですか?とおじさんに聞くと、アジだよと言われた。え??これ全部???一体何匹いるのかわからないが、海底が見えないほどの密度でアジが漁港にたむろしていた。だがおじさんは色めき立つこともない。これが普通なのだろう。なんというアジ天国。
その後はナイトゲームでアジングをしたが、ふらっと立ち寄った漁港で尺アジが釣れてしまった。ちょっと老後は愛媛に住むのも有りかな、と思ってしまうほどだった。
去って気付く愛知の良さ
ここにきてまさかのスタート地点の愛知県を回顧する。愛知県といえば伊勢湾の中にあり、外海とちょっと距離がある為か回遊魚との縁が薄い。また、有望な釣り場に対して集まる釣り人の数が多く、優良釣り場ではテントを張っての場所取り合戦も巻き起こっていた。その為、愛知県の釣り人たちは県外に思いを馳せる人も多かったが、実際愛知を離れてみるとそんなに悪くなかったなと思う事もままあるのだ。
まずは風に強いという事である。湾の中なのである程度の風ならへっちゃらだし、北風にも強い。また、南に伸びる知多半島は真南の風以外ならどこかしらが風裏になるのも良ポイントだ。
また、知多半島は漁港の数が多く適度に地磯やテトラもある。名古屋方面に向かうと港湾部や河川が多くシーバス狙いにはうってつけである。クロダイ釣りも盛んだ。さらには夜間に日間賀島や篠島へ渡る海上タクシーがあるので離島への釣行もしやすい。ちょっと車を飛ばせば静岡のサーフでヒラメが釣れるし、日本海側に出ればマイカやキジハタが釣れる。意外といろいろ出来る良い場所だったなと今さらになって思うのであった。
<檜垣修平/TSURINEWSライター>