どの乗合船にも必ずと言って良いほど、「釣りの上手い常連客」が存在する。そんな常連客はどんな方なのか気になったことはないだろうか。今回は、横浜市金沢八景の船宿進丸の常連客である竹田和正さんにインタビュー。実は、数々の有名スポーツ選手を育成されているトレーナーのエキスパートであった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 河野)
進丸はキスとアジが楽しめる船宿
進丸は、神奈川・金沢八景にある船宿であり、「キス」「アジ」2つの釣り物で出船している。船長の川島さんは、明るく言葉遣いも丁寧な為、初心者や家族連れでも安心して楽しむことができる船宿だ。
進丸の常連客・竹田和正さん
そんな進丸常連客の情報を川島船長から伺った際、最初に出てきた名前が竹田さんだった。竹田さんは、ピーク・パフォーマンス・ラボラトリー「竹田塾」を運営しており、Jリーガーやソフトボール選手など、今をときめくアスリートを担当しているトレーナーのエキスパートだ。本職とはかけ離れた「釣り」のインタビューにも気さくに応じてくださった。
メインの釣り物は?
キス釣りをメインに楽しんでいます。
進丸にはどれくらい前から通っている?
もう、20年以上前から通っていますね。口コミがきっかけで、船長の人柄が良いことを知って初乗船して以降、ずっと進丸さんにお世話になっています。
進丸の魅力とは?
船長の人柄です。とても人情味に溢れた方ですね。面白い一面もあって、出船前に釣りの一連の流れを説明してもらえるのですが、それが子芝居みたいで非常におもしろいデモンストレーションなんです。
船宿にはしっかりとした女将さんがいらっしゃって、それが船長の優しさとすごく合っていて、他の船宿には無い良い空間があるのも魅力ですね。初心者さんがキス釣りを始めるなら絶対に進丸が良いと思います。
いままでで一番釣ったのは、何匹?
86匹です。その日は帰港まで15分くらい時間があったんですけど、そこで納竿しました。それまでの記録が85匹だったんですけど、大幅に更新してしまうとその後がしんどいですからね(笑)。
キス釣りの極意
20年以上キス釣りをして、竿を握ったことのない塾生のアスリートも連れて行く竹田さんにキス釣りの魅力や、釣果を重ねるコツ、マル秘の道具立てについて伺った。
キス釣りの魅力は?
イチから自分でできる所ですかね。他の釣りだと針選びやライン選びは上手くなってからですよね。キス釣りであれば、シンプルな仕掛けなので、初回からでも仕掛けを自分で作れます。針やラインのセレクトも自分で考えて組み立てることができ、それで釣った時は一層喜びが味わえますね。
また、キス釣りは隣同士が近くてもオマツリする可能性が低い為、「今日何の料理で食べようか」などコミュニケーションを取りながらできます。社交的な目的でも楽しめるのがキス釣りの魅力ですね。正直、食べて美味しいというのは、当たり前の話なのでね。
道具立てのこだわりなどある?
隠し針で、フライ用の小さな針をラインに通しています。本針には、イソメを頭ではなく腹あたりに刺します。余った頭の部分をフライ用の隠し針に通すことで、海底付近でもエサがズレない為、見切られにくくなる訳です。この仕掛けは他の常連さんも真似されるくらいです。
初心者がキスの釣果を重ねる為に必要なこと
続いて、初心者がキス釣りを楽しむ為に注意することや、必要なことについて伺った。
初心者が注意することは?
常連さんや上級者だと、2本竿を使って釣果を重ねています。これをラインコントールができない初心者がやってしまうと、他のお客さんとオマツリしてしまうことが多い為、まずは1本竿で集中して「海と会話する」ことが大事です。
「海と会話する」というのはどういうこと?
簡単に言うと、潮の流れや、海底の状況を想像することです。
初心者がキス釣りで釣果を上げる為には?
仕掛けはテンビンではなく、胴付き仕掛けがおススメです。胴付き仕掛けであれば、錘を動かさなくても、エサが動いてくれるので初心者でも釣りやすいです。ただ、底を意識せずにずっと仕掛けを緩めてしまうと、海底付近でオマツリすることに繋がってしまうので、そこは「海と会話する」ことが重要になってきますね。
後、春先~夏前のキス釣りは誘いを入れると釣れるようになります。具体的に言うと、錘を引きずって砂煙を出し、その中にエサを入れる誘い方です。この誘いはエサを動かす誘いとは違うのですが、「錘を引きずって止める」ことを意識すると釣果にも影響してきます。キス釣りは「待つ釣り」じゃないことは理解していただきたいですね。
その他に伝えたいことはある?
4-5月は暖かくなり、釣りを始められる方も増えると思います。ただ、この時期は「クラゲ」が大量発生する時期でもあり、海一面クラゲだらけになることもあります。この状況になると釣りどころではないです。毎投仕掛けにクラゲが絡まる為、それを取るのにも一苦労です。
またクラゲの触手には毒があるので、家族連れは特に注意です。上記で説明したようにクラゲの大発生はとにかく厄介なので、事前にクラゲの発生情報をチェックしてから釣りに出掛けることをお伝えしたいですね。
竹田塾×釣り
日々、アスリートを指導されている竹田さん。塾生を連れて進丸に乗船することも多く、キス釣りにハマるアスリートも多いのだとか。そこで、釣りで使う筋肉を鍛える為に竹田塾に通うのはアリなのか聞いてみた。
釣りで使う筋肉を鍛える?
正直、そんな人はいないです。(笑)。ただ釣れない時にどう釣るとか、どう工夫するとかはアドバイスができるし、面白いかもしれません。キス釣りはとにかく集中する釣りなので、帰りはどっと疲れます。
そこまで疲れることってスポーツではないので、メンタルだけを鍛えるという点ではアリだと思います。実際、良い選手ほどキス釣りにどっぷりハマって上手くなる傾向にあるので、通じる物はありますね。
竹田塾の紹介
今回、取材に協力いただいた竹田和正さんが運営している「竹田塾」は、数々の有名アスリートを育成している完全予約制の身体能力向上塾だ。「レギュラーになりたい」「怪我を再発させたくない」など様々な要望も持つ選手が、年齢関係なく集まる場となっている。
<河野/TSURINEWS編集部>
進丸
船釣り入門に最適アジやシロギスなどで出船している船宿です。初めてでも挑戦しやすい半日船やショート船で出船。子ども連れも歓迎している。迷っているなら相談して出掛けよう。