日本第2の面積を誇る湖・霞ヶ浦。先日そこで「外来種の魚を狙う釣り大会」が開催されました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
霞ヶ浦で「アメリカナマズ」の釣り大会が今年も開催
茨城県にあり、琵琶湖についで日本で2番めに大きい湖沼である霞ヶ浦。ここで先日「アメリカナマズ」という魚を狙った釣り大会が開催されました。2021年より開催されている大会で、今年で3回目となります。
アメリカナマズはチャネルキャットフィッシュとも呼ばれる魚で、名前から分かる通りアメリカ原産の外来種ナマズです。かつて食用魚として移入され、霞ヶ浦でも盛んに養殖されましたが、そこから逸出して野生化し、現在では霞ヶ浦全域に生息しています。
大会では70人以上の参加者が思い思いのポイントで竿をふるい、80cmオーバーを筆頭に大型個体が次々と釣り上げられました。釣り上げられたアメリカナマズは食用にされたほか、隣接する水族館で飼料としても活用されました。
どんな外来種が釣れたのか
アメリカナマズは大きくなることや食味が良いことから有益な水産資源として移入されましたが、非常に貪欲で何でも食べてしまうことから外来種問題を引き起こし、今では特定外来生物として飼育や移送が厳しく制限されています。
それでも霞ヶ浦では最も多い魚となっており、大会では一昼夜で300匹近い個体が釣り上げられました。釣りの経験がほぼないという参加者でも簡単に釣り上げることができ、大会としては盛り上がりましたが、その生息数の多さを痛感させられることになりました。
また大会期間中にはアメリカナマズの他にダントウボウという中国原産の外来種やヘラブナ、ブルーギルといった魚たちも釣り上げられました。これらの魚も霞ヶ浦には本来いない「外来種」です。
外来種天国となってしまっている霞ヶ浦
消費地に近く、広大で波の静かな霞ヶ浦では、これまで様々な水産資源の養殖や導入が試みられてきました。
食用魚としてはアメリカナマズの他にペヘレイという南米原産の魚やブルーギル、ハクレン、ソウギョ、アオウオといった中国原産の魚が導入され、アメリカナマズとハクレン、ソウギョは今でもかなりの数が生息しています。
またゲームフィッシュとしてブラックバスやヘラブナが導入され、それとともにワタカやハスなどの国内外来種も侵入しました。その他、淡水真珠の養殖のために中国からヒレイケチョウガイという真珠貝が導入されたのですが、その繁殖に役立つとしてオオタナゴという中国原産のタナゴも導入されました。
これらの魚は在来種や環境に対して深刻な侵略性を発揮しており、アメリカナマズ、ブルーギル、ブラックバス、オオタナゴが「特定外来生物」に、その他も「生態系被害防止外来種」にリストアップされる状況となっています。人の先見性のなさ、不可逆的な環境改変によって、いまや霞ヶ浦は国内最悪の外来種天国となってしまっているのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>