一年と通して人気沸騰中のケンサキイカやヤリイカをライトタックルで狙うイカメタルゲーム。その中で最近急速に広まってきたメソッドがオモリグだ。当初はイカメタルでは攻略できない場面での、お助け的なメソッドかと思われていたが、どっこい現在は専用ロッドも多く発売されており、イカメタルをしのぐほどの人気を博す主力メソッドになりつつある。今回はそのオモリグについて考察してみたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
オモリグのメリット
オモリグのメリットだが、まずやはり速い潮でも攻略が可能であること。オモリの役目も果たす鉛スッテとは違い、エギのサイズを変えることなくオモリの重さをどんどん重くできるためだ。鳥取方面の遊漁船では、オモリグシンカーは50号まで用意してくださいという所もある。
そしてスピニングタックルなので、ベイトタックルでは手を出せない集魚灯でできる明暗部を、キャストして攻めることができる。したがって船下にいるスレたイカとは違い、フレッシュなイカにアプローチできるのだ。
またイカメタルよりも良型がヒットしてくる確率が高いこともメリットのひとつ。これは警戒心の高い大型のイカを狙うとき、最も大事なことはいかにエギをナチュラルに見せるかということ。イカメタルの場合、縦にせわしなく動くスッテを大型のイカは見切ってしまうことが多い。潮に乗って横になびき、ナチュラルにフォールするエギは、それだけ大型イカを警戒させることなく抱かせることができる。
実際、大社沖で私1人がイカメタル、他3人がオモリグだった時、胴長40cm以上の大剣はオモリグにバンバンヒットするのに、イカメタルの私には新子~中剣までしか乗ってこなかった。
オモリグのデメリット
さてデメリットだが、何といってもアタリの取りにくさが真っ先に挙がるのではないだろうか。何も介さないイカメタルでは、集中していれば小さなイカパンチでもアングラーは感知できる。
だがオモリを介して、横方向に漂うエギに触ってくるイカのアタリを感知するには、かなりの慣れを要する。オモリグに慣れていない人が、最初に当たるのがこの壁。よく言われるのが「シャクったら乗っていた」、「グーッと持っていくアタリしか分からない」など。
これを補ってくれるのが専用ロッドだ。しっかりしたバットと感度抜群のチューブラティップを搭載しており、オモリを通しても違和感を手元に伝えてくれる。
友人は専用ロッドを購入するまでタイラバロッドで代用していたが、オモリグの有効性をイマイチ実感できていなかった。ところが専用ロッドを購入した途端に「アタリが分かる!」、「オモリグの方が面白い!」と言っていたほどだ。
そして取り回しの悪さもデメリットの1つ。メインリーダーを長く取るほど仕掛け全体が長くなるため、イカを取り込む際もオモリを取り込んでから、メインリーダーをつかんでイカを船内に入れなければならない。
またキャストするときもオモリ単体なら何の問題もないが、その先に1m以上のメインリーダーをエギがあり、これが邪魔でキャストしにくい。そのため慣れないうちはメインリーダーを1m程度にとどめておいた方が無難だ。
またオモリにも工夫を凝らしたものがあり、下部にアイが付いたものがある。ここにエギのカンナを引っ掛けてキャストするのだ。それではエギがオモリに付いたままなので釣れないのでは……と思うかもしれないが、着水して沈む際にオモリが逆向きになり自然にアイからエギが外れる。
そしてもうひとつのデメリットがオマツリだ。仕掛け自体が長いので、イカメタルに比べてどうしてもオマツリの頻度が上がってしまう。潮が速ければなおさらだ。
まとめ
以前は潮がぶっ飛んでイカメタルではどうしようもないときの苦肉の策……的な存在だったオモリグだが、今やメイン釣法といっても過言ではないほど、その有効性は広く認識されている。
ただし、オモリグが絶対的に万能というわけでは決してない。イカの活性が高いときやレンジが浅いときなどは、テンポの速いイカメタルにヒットが集中することもざらにある。
さらに日本海のマイカ(ケンサキイカ)釣りにおいて、秋は新子の季節。警戒心が薄く好奇心旺盛な新子に対しては、イカメタルが圧倒的に有利な場面が多い。
この先、晩秋に向けて日本海の潮流が緩くなることも含め、オモリグの出番は少なくなるかもしれないが、新子の中にたまに交じる良型を狙う場合は、極めて有効なメソッドだともいえる。
よってこだわりがなければ、イカメタルとオモリグを状況に応じて使い分けていくのが正解だといえるのだ。
まだまだ人気沸騰中のツツイカゲームだが、従来のイカメタルタックルとオモリグタックルを携え、秋のセンシティブゲームを楽しんでいただきたい。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>