夏の釣りは厳しい。何が厳しいといって、外に出てからが厳しい。日中でも夜釣りでも、常に暑さで体力と精神力が削られていくので、釣り場で冷静な判断や手さばきができなくなる。そこで釣行前ルーティーンとして「2時間前行動」で、釣り場での労を最小限にしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
甘く見るな夏の釣り
眩しい夏の釣りには、傍目には楽園的な感じさえするかもしれない。しかし、現に釣っている側はそうもいかない。何せ近年の暑い暑い夏、体感気温は40℃近くにまでなる。海からの照り返しもあり、体を包み込むジッとした暑さだけでなく、眩しさや肌や目への刺激もかなりのストレスになる。おそろしいほど疲労しやすい。
そんな釣り環境では、とにもかくにも事前の準備を最大限にしたい。たとえば釣り場についてサオを出し、「ああ喉が渇いた」と最寄りの自販機に戻るまでも、歩いていく労力というものがある。戻ってきたときに置き竿にダメージでもあれば、疲労度は即MAXとなる。
2時間行動で何もかも準備
釣り場での負担を低減するために、夏の釣りは、自宅で2時間前行動だ。涼しいエアコンの効いた屋内でできることは、完全に済ませておこう。
虫よけと日焼け止め
夏は血気盛んな蚊やブヨが、釣り場で我々を襲ってくる。光に寄る性質があり、夜ヘッドライトを点けただけでワッと襲来する。刺されてしまうと痒くて気になる、気が散る。虫よけスプレーを全身に吹いていくのは、夏の釣りの「当たり前」である。
もちろん日焼け止めも肌を露出する部分には確実に塗っていこう。夏の日差しは肌に多大なストレスをかける。筆者の感覚では、日焼けするのと、きちんと対策して日焼けしないのとでは、疲れ方が断然違う。これもスプレータイプのものがあれば手軽だ。ちなみに飲む日焼け止めもあるが、あれはどちらかといえば「メラニンの生成を抑えるもの」らしく、肌を焼かないものではないという話も聞いた。
虫よけと日焼け止めは、室内で早い段階で済ませてしまおう。出る直前にやるともたつく。
ノット
続けてライン管理だ。リールに巻いているイトがトラブったときが、何より釣りが鬱陶しくなる瞬間である。主にはルアーフィッシングで用いるPEラインのリーダー結束は、釣り場でやるとかなり時間がかかる。FGノットならば最低3分、風など邪魔な要素があれば10分かかるかもしれない。またノットは精神的・体力的に疲れているほど失敗しやすい。微妙な仕上がりとなったノットは自信を持って使えないので、疑心暗鬼の釣りでまた疲れる。
事前に使うリールの、リーダーのノットは屋内で確実に済ませていこう。
ルアー等準備
当然のことながら、釣り場に持参するルアーは、出発前に厳選しておく。適切な量と種類を選別しておこう。「あれもこれも」となると、釣りの密度が薄くなる。参考までに、私はルアーケースはどんな釣りでも2つまでと決めている。それに足してジグサビキでも入れておけば、釣れない時間帯の暇つぶしができる。
飲み物は凍らせて持参
最後に生命線となる飲み物について。これは、2時間前どころか、前日くらいからペットボトルでも凍らせておいた方がいい。水筒にたんまり入れて持っていくも良し。飲み物はちょっと余るくらいでちょうどいいので、多少荷物が重くなっても省略しない方がいい。
暑い海での負担を減らそう
以上の夏の釣行前ルーティーンを抜かりなくこなそうと思うと、2時間は見ておいた方がいい。釣り場に早く着いて場所取りをしておきたい、あるいは「確実に逃したくない時間がある」というのなら、3時間前行動でもいいくらいだ。出発する前の確認事項として、貴重品の他、ヘッドライト、フィッシュグリップ、ライフジャケットも必ず確認しよう。
万事抜かりない準備をすることで、夏の海での負担・危険が低減できるのだ。
<井上海生/TSURINEWSライター>